第4話 合法
ネウレアとドラゴン討伐の報告をする為にギルドに向かっていた。
正直言ってマジで怖い……
ドラゴンの屍を抱き締めた後の返り血を浴びた顔を思い切り出すと、体の震えが止まらない。
歩くこと数時間、やっと街に到着できた。
門番にはビックリした顔で見られたが、こいつのせいなので大目に見よう。
……街中の視線が凄く痛い。
そりゃあ血まみれの少女つれた高校生見たら、日本でもヤバいヤツ扱いされるだろう。
というか一発通報だろう。
「そういえば、名前。何?」
ネウレアが唐突に聞く。
確かに、まだ自己紹介をしていなかった。
「俺の名前は三上政光。三上政光だ」
「ミカミマサミツって言うんだね。ミカミはまだ未成年みたいだけど、どうして一人でこんな所まで来たの?」
少女に言われてしまった。確かにモンスターとかが出るような街の外を一人で歩くのはおかしい。
だがそれはネウレアにも言えることのはずだ。
「未成年って、ネウレアこそ少女じゃないか」
すると、ネウレアは少しムッとして、
「これでも二十歳だけど」
「いやそんな訳な……」
言いかけたところで、俺はとんでもないことに気づいた。
こんなナリでステータスは、しっかりと二十歳だったのである。
ケアレスミスどころではない。
「よくそんなこと言われるけど、十二歳から急に年を取らなくなったから」
そんなことあり得るのかよ! 合法ロリじゃねえか!
十二歳から年取らないとか一部の人間からは夢のような設定だが、本人達からしたら逆に不便だな。
というか、俺達は合法ロリ(※実質小学生)と違法ショタ(いちおう未成年)のコンビなのかよ……
すると追い討ちをかけるかの様に自称神のお告げが来た。
『ホッホッ、三上君、妹属性を手に入れると、その時点で年を取らなくなるのだよ』
「ふざけた設定だな! お前の好みかロリコンジジイ!」
『おやおや、今から大事なことを言おうと思ったのに言う気が無くなったではないか』
「そもそも言う気なんて最初から無かったろ。さっさと失せろ」
酷いのぅ。と、無駄にジジイ感を出しつつ、お告げは終わった。
「……あの、時々何で一人で叫んでいるんですか?」
周りを見れば、街中の目線を集めている。
ヤベェ、凄く恥ずかしい。俺はそこまで悪く無いのに。
遂に俺まで危険人物として知れ渡りそうだ。
逃げるようにして、俺はギルドまで急いだ。
◇
「えっと……お帰りなさいませご主人様」
「待て、それは職業が違う」
ギルドの受付でまたあの失礼なヤツの所に報告。
「あの、何で生きているのですか?」
「おし、表出ろ! お前、絶対ぶっ飛ばす! 性別なんて関係ねぇ、男女平等パンチだゴラァ!」
「ミカミ、元ネタ知らない人いるからやめて」
俺の現宿敵へ報告をした後、しばらくギルドで待つことになった。
ドラゴンはあまりにも大きいので、職員が現場に向かい確認をするそう。
時間があるのでどうせならと、ギルドの中をじっくりと見ることにした。
受付から見て正面奥には、長机があり、その机には数人ほどが座れる長椅子が一緒に並べられている。
まぁ、普通にイメージ通り。むしろ日本でのそれらのイメージと変わらなさすぎて怖いくらいだ。
それから階段を登ろうとした時、どこからともなく女剣士の叫び声が聞こえた。
「おい、お前! そう、お前のことだよ! さっさとこっち来い!」
また次回!




