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第27話 MPの利用は計画的に

 そういえばネウレアがヤバいヤツとしてその名轟かせていたのを忘れていた。


「パリス、なんでネウレア達を連れて来たんだ?」


「私は止めたのだが、報告をしたらどうしても行くと、聞かなくてな」


 来てくれたのは嬉しいがすまない。話は既に終わった。

 まぁ、いちおう話がついているので、説明くらいはするか。


「えっと、これはエリトリナとネウレア。とりあえず和解はした。コイツが上と掛け合って魔族は撤退するらしい」


「そうなんだ。準備とか大変だったけど、結果オーライかな。じゃあ冒険者の皆様に報告してくるから」


 エリトリナがさっさと街の入り口へ行こうとすると、顔を青ざめたブライバスが慌ててエリトリナを止める。


「ちょ、待て待て。気が変わったというか、ネウレアがこの街にいるのは知らなかった。光の件は置いといて、私達的にネウレアは放ってはおけないよ」


 と、あっさりと条約を破棄。

 婚約を破棄するなら、まだあり得るが、それはちょっとねぇ。世間は許してくりゃあせんよ。


「ブライバス、それは話が違う。撤退ということで交渉成立じゃあ無かったのか?」


「それはそうなんだけど、ネウレアはちょっと知らなかったというか……正直言ってこちら的にはマズイんだよね。ジジババの意味わからない光の話よりこっち優先だよ」


 ブライバスは手を掲げ、禍禍しい杖を呼び出す。

 ゆるふわな先ほどとは一転、辺りに緊張が走る。

 まさかこんな所でシリアスに入るとは思わなかった。増援を呼ぶひまも無い。


「さっきまで話していた相手とやり合うのは気が引けるけど、しょうがない。ネウレアも確か女は滅多に刺さないんだよなぁ!仕方ないけど、私の名前を冥土の土産にしてもらうよ!」


 と、恐るべき速さで魔法を詠唱。完成させると、ブライバスのバックには巨大な魔方陣が浮かび上がる。


「エリトリナ、防御魔法は?」


「そんなこと言われたって、詠唱が速すぎるから間に合わないよ!」


 ブライバスは月を背に、先ほどまで面影すら無かった黒い翼を広げる。そして杖の先をこちら向けて……


「絶望の淵に沈みな"ペインデス・ムーンナイフ"!」


 紫色の魔方陣が怪しく輝き出したかと思うと……


 魔方陣は突然、パッと消えてしまった。

 数秒の沈黙が辺りを包む。


「……あれ?」


 それはこちらのセリフだ。

 普通ならここで必殺技的なものを放たれ、笑いながらなぜかトドメを刺さず帰っていく敵をただ見ることしかできない、みたいなシーンになるはずなのだ。

 よりによって不発かよ。

 俺達四人からの視線に堪えきれなくなったのか、ブライバスは杖を構え直し、


「ご、ごめん。もう一回やるから。だから許して!」


「一回だけだぞ。もう無いからな」


 とパリスが。

 確かに見かけ倒しというか期待外れというか、気持ちの良いものでは無いが……

 ブライバスは、恐る恐る詠唱を開始。

 先ほど防御魔法を完成させられなかったエリトリナも、なぜか見守る。


 そして、先ほどと同じように紫の魔方陣が浮かび上がり、怪しく輝き出す。


「"ペインデス・ムーンナイフ"!」


 だんだんと光が増していき、眩しくなったかと思えば……やっぱり消えた。


「…………」


「ちょ、ごめん。視線が痛い! おかしいなぁ、普段はちゃんと決まるハズなのに」


 と、今度は別の魔法を詠唱してそれを放つ。

 すると、水の塊ができ、勢いよく飛んで行った。

 それを見て、ブライバスは一言。


「……魔力が……足らなかった」


 俺達はキレイにズッコケた。

次回もよろしく!

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