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第26話 愚痴は始まると止まらない

「それでさぁ、言うこと聞かない癖に失敗したら私のせい。もう嫌なんだけどぉ!」


 かれこれ二時間、ブライバスの愚痴に付き合わされている。正直に言うと、もう帰りたい。

 もう嫌なのはこっちの方だ。


「ブライバス、もうそろそろ二時間になるぞ。てか、街の外ずっと静かなんだけど、もしかしてお前の部下迷子になってないか?」


「嘘でしょぉ! アイツら確かに遅すぎだしてか真っ直ぐ行ったら着くってちゃんど方角まで教えて地図も渡したのに迷子ぉ!?」


 うん、メチャうるさい。夜は静かにしてくれよ絶叫愚痴魔族。

 というか、もう何時間も経っているのに他の冒険者達は何をしているのだろうか?

 流石におかしいことに気づくはず……


「ミカミ、私は少しエリトリナとネウレアに今の状況を説明してくる。しばらくブライバスに付き合ってあげてくれ」


 と、終わらない話と全然街にたどり着かない魔族に痺れを切らし、俺にブライバスを押し付けて店から出て行ってしまった。

 ブライバスはしばらく出ていくパリスを見た後……


「それからさぁ、昨日とか……」


「まだ続けるのかよ! もうそろそろ察しよ!? まだ来てない部下早く呼んで来いよ! いやダメだけど!」


 気を取り直して。一旦落ち着いてから、話を再開する。

 先ほどパリスが言っていた和解案(一方的だが)を通せないものだろうか?


「えっと、さっきというか数時間前にパリスが言った通り、俺達はお前らと戦いたくはない。だから、できれば撤退してもらえるとこちらは助かる」


「それは私も賛成だよ、でも私はそれを決めるほどの権限が無いからさぁ。しかも、それ言ったらジジババが反対するし、場合によっては私もしかしたら追放されるしでできないのよ」


「輝く光的なヤツの退治が目的なら『侵入して調べてみましたが、そんなヤツいませんでした』って報告すれば良いと思うぞ」


「あぁ、なるほどね!」


 それ気づかなかったんかい!

 ブライバスは「良いこと聞いちゃった!」っとルンルン気分で、本日十個目のアイスを冷蔵庫から取り出す。


「えっと、ミカミだっけ? これ食べたら村帰って説明しに行くから、ここで待っててよ」


「部下に報告しろよ。それとアイス代を払ってから行け」


 はぁ、何とかなったかもなぁ。

 しかし、街の外で待っている冒険者達が気の毒だ。

 そうとしても、このまま平穏に事が済むのなら、それに越したことは無い。

 パリスが帰ってきたら冒険者のとこに説明させに行くか。それにしても、今日も散々だった。

 異世界とは、こんなに疲れる場所なのだろうか?


「あ、そうそう。ミカミって何かメッチャ光っているけど、何でなの?」


 はい?


「何、俺をハゲ呼ばわりしてるの?」


「いやいや、真面目な話。全身輝いててちょっと見え難いからさ。パリスとかいうヤツと違って物理的に発光しているからなぜなのかなぁって」


 ということは、魔族が見ると俺は光って見えるそうだ。

『あの街の方角に一つの煌めく光が舞い降りた。我々の障壁になる前に駆逐せよ』


 これ俺のことぉぉぉぉぉ!?

 確かに転生して来たからこの世界にとっては異質なんだろうけど、俺もしかして魔族の脅威扱いされてる!?


「ぜ、ぜんっぜんわっからないですねぇぇ」


「どうした? 急に裏声になったけど」


「いやいやいや、全然問題ない。本当に問題ない」


 即効で挙動不審になる俺に不審感を抱いている様子だが、アイスを食べ終わり、食器の片付けをして帰る準備をする。

 そして、ドアに手を掛けて……


「じゃあ話つけてくるから。たぶんすぐに帰ってこれると思う」


 ブライバスがゆっくりとドアを開けると、


「話って何?」


 パリスとエリトリナにつれられたネウレアが外にいた。

 もちろん包丁を装備済み。


「え、あぁこの街のことに和解したから、権力者に説明に行くところ。てか、パリスは良いとして、そのロリと魔法使いっぽいお姉さんはどんなご用で?」


「私はネウレア。魔族だったら知らないかもだけど、どこに逃げる気なの?」


「え、その包丁に静かな雰囲気。まさか、あなたがネウレア……」


 固まる魔族。

次回もよろしく!




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