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第19話 伏線って張りすぎると忘れる

「ミカミ、手続きは終わったのか?」


「終わったよ。てか、あの受付嫌いなんだけど」


「まぁ仕方ないだろ。そのうち慣れるし、ここではむしろあの人に慣れたらベテランと言われるほどだからな」


 どんな基準でベテランを決めてるんだよ。

 まぁ、慣れているのなら今回の報告はパリスにさせよう。

 地図を開き、今回のおおよその場所を伝えると、エリトリナが大きめのバッグをハイっと渡してきた。


「これ昨日のアレの罰ね。パリスも同じくらいのを持っているから」


 エリトリナは容赦が無いな。

 というか、もうそろそろ許してくれても良い頃だと思うのだが……


「ほらほら、突っ立ってないで行くよ!」


 重い荷物を持った俺達を尻目にネウレアとエリトリナは、さっさと街の出口に向かう。


「おい、待てよ。もう少しペース落としてくれ」


「えー、ミカミさんってひ弱だったの? 何度も言ってるけど、早く行かないと日が暮れるよ」


 エリトリナに急かされ、荷物を引きずりながらペースを上げる。

 すると、街の出入口の方から、ボロボロになった人が一人、息を切らしながらギルドの方に走って行く。


「む? あの者はどうしたのだ? 何やらただ事ではなさそうだが」


「ちょっとパリス、足を止めないの!」


 気にはなったが、今は自分達のことだ。


 しかし、まさかあんなことになろうとは、この時は全く思っていなかったのであった。


 ◇


「さて、休憩休憩。パリス達も降ろして良いよ」


 荷物を降ろすのも許可制なんだな。

 それはともかく、大きめなバッグがパンパンに膨れ上がっている。一体何が入っているのだろうか?


「エリトリナ、この荷物は流石に多すぎる。一体何を入れたのだ?」


「ふふ、ヒ・ミ・ツ。それはそうとパリス、お湯取って」


 いろいろありすぎて今回の目的を言い忘れていたが、今日受けたのも討伐の依頼だ。

『バーンライオ』それは、炎のごとく燃え上がるようなたてがみを生やした大獅子。

 図鑑に注意があるが、燃えてはいないらしい。

 しかし、見た目の通り口から吐いた炎で獲物を追い込み補食するという習性を持つとても賢い生き物なのだそう。


「ミカミさん何を読んで……あぁ、図鑑ね。そうそう、バーンライオは思い出がある獲物なんだ」


「エリトリナ、長くなるから今はやめておけ。そうそう、噂程度の話なのだがバーンライオは大きなモノに挑みかかる習性があるらしいぞ。まぁ、ミカミの身長では縁の無い話だが……」


 パリス、また言うか。

 せっかく読者がそのことを忘れてかけていたのに……

 それはそうと、エリトリナの隣に座っているネウレアがまたもや俺達の後ろを見ている。

 ペットとかが何も無いところをじっとみていると何かいるのではと思ってしまうが(当然、ネウレアはペットではない)、何かいるのなら言って欲しい。


「ネウレア、さっきから何をじっと見つめているんだ?」


 すると、ホラーの幽霊を見ている子供みたく指を指して、


「何となく、あっちが気になるの」


 その方向は確かーー地図によれば『常夜の森』とある。

 昼でも暗く、奥地は光が一切届かない暗黒の世界だそうだ。


「ネウレア、そっちには何も無いわけではないが、残念ながら今から行く所ではない。でも何となく怖いから他の方を向いてくれないか?」


「でも、気になるの」


 パリスはこっちに視線をやり、調べて来いと言う。


「なんだよ、めんどくせぇなぁ。むしろパリスが行くべきなんじゃあないのか? 俺だと下手すればワンパンだぜ?」


「むぅ。ではミカミ、ついて来い」


 はいはいっと、しぶしぶ腰を上げて茂みの方へ。

 だが、何となく怪しい気配が確かにする。


 草をかき分け進んでみると、何やらうずくまっている最近よく見る野郎が……


「やぁ、こんにちは、また会ったね。……なんだい、どうしてそんなに睨むのかな?あとボクを攻撃して良いのはヤンデレだけだから剣を納めてくれると嬉しいなぁ……」


 アメスかよぉぉぉ!

次回もよろしく!

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