第13話 13と聞くと何故か金曜日を思い出すのだが、それはたぶんチェーンソーでお馴染みの某ホラー映画のせいだと思うんだ
詠唱をするエリトリナから魔力的なオーラみたいな何かが出てきて、火に変わる。
変換された火が、炎となり火球となりだんだんと大きくなっていく。
そして、スイカ位の大きさになったころ、火球がパリスの入った横穴に向かって飛ぶ。横穴の付近に当たった火球は洞窟の壁を轟音を洞窟内に響かせながら破壊的した。
しかし、洞窟内に上がった砂煙が視界を遮るので、パリスが脱出したのかがわからない。
「パリス! どう、抜けられた!?」
「うぅ、口の中がジャリジャリする……」
幸い崩落することも無く、パリスは横穴から脱出してしまったようだ。
個人的には残念だが、エリトリナにその後魔法を何発か連射してもらい、パリスがしゃがめば入れる程度の大きさにまで広げてから、全員で先に進む。
穴の向こうは今までと同じ大きさの道が通っているが、先ほど魔法を撃ちまくったからなのか、アリとはまたもや遭遇しない。
「後ろには――いないな」
後ろを確認した俺を見て、パリスは笑いながら
「なんだ、さっきのことがトラウマなのか? ヘタレめ」
「お前、今度挟まったら助けないからな」
「今度とはなんだ! 先ほどの穴は人が通れないような大きさだったのだ! まぁお前のようなチビは例外だがな」
「言っておくが、お前がデカイだけで俺は意外と平均的だ……たぶん」
少し迷ってしまったが、日本人としては俺は平均的だ。コイツがデカイだけ。
「おっと、ストップ」
と、先に歩いていたパリスが止まる。
曲がり角に差し掛かっていたのだが、パリスがその先を覗きつつ
「ヤツらがいる。1、2、3……まぁまぁな数だが、広めの空間だ。アイツらにとっての倉庫のようなところなのだろう」
パリスは抜刀し、エリトリナが杖を構える。
「よし、ネウレアは危ないから下がっていてくれ。……なぁミカミ、ネウレアはわかるのだが、なんでお前も包丁なんだ?」
「仕方ないだろ、街でまともな武器買ってないんだし」
「はぁ、準備くらいしっかりしておけ。この先は広いから私はこの愛剣を使う。この剣貸すから後で返せよ」
パリスは先ほどまで使っていた短めな剣を俺に渡すと、背中の大きな剣を抜く。
が……
「なぁパリス。何かこの剣、生暖かいし少し汗臭いんだけど」
「うるさい、さっきまで握っていたから体温が伝わっているんだろう! それに私の汗は臭く無い!」
パリスは地団太を踏みながらそう反論した。
臭くない汗の匂いってあるのかよ。
そんな茶番を繰り広げている俺達にエリトリナが言いにくそうに
「あのミカミさん、パリス、そんなにドンドンするとアリ達が気付いて……」
倉庫の方を向くと、中のアリ達と目が合った。
あ、これヤバい。
「く、お前がいると予定が狂う! エリトリナ、少し遅れたが魔法の準備を!」
「はぁ、今日は散々な1日になりそうだよ!」
エリトリナが詠唱を開始。パリスは大剣を振りかぶり、一人で突っ込んでいく。
それでは、次回もよろしく!
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