第1話 王道的(?)転生
☆じょーかーヤンデレプロジェクト作品
この小説は、ヤンデレコメディです。
「よく来てくれた! 突然だが、君に頼みたいことがある!」
俺は三上政光。
いつの間にか居たのは、周りが真っ白で、部屋のような謎の場所。
目の前で俺に話しかけているのは、見おぼえの無い白髪の老人だ。
確か俺は、道路でダンプカーに轢かれそうになっていたはずだったのだが、一体何が起きているのだ?
「な、何ですか? 頼みたいことって」
「それはずばり、君の今まで暮らしていた地球とは遥か遠くにある惑星を最終的に救って欲しいのだ!」
「は? それ、どういうことですか!?」
「おっと、君は生前そういうのには疎かったな。俗に言う異世界転生というものだ。基本的にはこのようなことはあり得ないのだが、この広い宇宙の中で、君にしかできないことなのだ!」
「生前って、まさか俺、死んだんですか!?」
「無論そうだ。だが安心してくれ! 君という存在は、君を愛する人々の中で、永遠に生き続けるのだからな!」
「いや、カッコよくねぇから! てか、そういうのを聞きたいんじゃない!」
「あぁなんだ、死因とかのことか。安心しろ、事故で処理しといたぞ」
「言っていることが悪役だろうが! 処理ってことは他殺かよぉぉぉ! そもそも何なんだよ、とある惑星を救って欲しいって!」
「その言葉の通り。いや、最終的にだな。君に頼みたいのは、異世界の魔王を直接倒しに行け! とか、そういうことではないのだ。その惑星の第一級特異点のお世話を頼みたいのだ」
「お世話? 竜とか魔獣とかの育てるってことですか? 小学校の飼育係みたいじゃないですか」
「君に世話を頼みたいのは人間だ。彼女はその世界で圧倒的な強さを持っておるのだが……その、なんと言うか……」
白髪の爺さんが言葉を濁らせる。どうも訳ありの案件なのだろうか?
それとも、これから世話させられるのがとんでもないヤツだったりするのか?
「その……何ですか?」
「いやーちょっと特殊って言うか、まぁそれほどヤバいわけでもない。気にする程では無いが、世界のシステムで制御できない程度の者だ」
「今さらっととんでもないこと言ったよな。普通にヤバいよな」
世界のシステムで制御できない?
規格外というやつなんだろうが、普通に考えて一般人の俺に押し付けるのは、常軌を逸した判断なのではないのだろうか?
俺にはできない。しっかり断るか。
「あの爺さん、悪いけど俺には荷が重すぎるから断らせてもらおうかと思うんだけど……」
「君の気持ちはよくわかる。だが、君にしかできない仕事なのだ! お願いだ、この通りワシの顔に免じて頼まれてくれ!」
「いやそんなこと言われても、あんたそもそも誰なんだよ……」
「頼む! 全知全能の神の名においてどうか! もし君が世界を救うことができたのなら、この宇宙の半分を君にやろう!」
「それラスボスが言うやつ! てか宇宙の半分とか使い道あるか!?」
「じゃあわかった! 君がもしも受けてくれなかったら君の黒歴史ノートが、各メディアを通じ、全世界に発信されるようにしよう!」
「やってることが脅迫じゃねーか! あんた本当に神なんか! 自称神のヤバそうな狂人なんじゃねーのか!」
「そんな訳ないだろう、私は神だ! とにかく君のような、顔が良くても彼女を作ったことも無く人生暇してた君にしかできないことなのだ! どうか頼む!」
「最初から最後まで悪口じゃねーか! ふざけるんじゃねぇ!」
「く、ならば仕方ない。こんな手を使いたくは無かったのだが……詳しいことは向こうで話す! ではご武運を!」
ジジイがそう言い、手を天に掲げる。
すると、足元から青白く光る魔方陣が表れ、身体がだんだん薄くなっていく。
え? マジで!? 本当に異世界へ送られるのかよ!
「ちょ、待て! 話終わってないだろ!」
「それでは君が異世界を救ったとき、ここでまた会おう! さらばだ、三上政光!」
「ふざけんなぁー!!」
意識が薄れる。
冗談じゃない。
こうなったら絶対異世界救ってこいつを殴るためにここまで戻ってきてやる。
このジジイに泣いて謝らせよう。
そう考えながら、俺は異世界へと旅立ったのだった。
次回もよろしく!
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