第96話 「策略?旨いの?それ?」
カズヤとケノン王はバルド王国の使節団に対する事情説明への打ち合わせを簡単にまとめた
・鎧はカズヤが国の依頼を受けて作成
・性能に関しては秘匿する(国家総機密)
・国で標準装備化するかは目下検討中
・機密であるが故にデモンストレーションの要請は受け付けない
何せこの世界に於いて鎧の能力は異端過ぎてブラックボックス扱いだ
この鎧を研究されて模倣されたら武器や戦争の定義が大きく変革されてしまう
カズヤ自身は鎧は単に「漢の浪漫」を満たす為のハリボテなので正直国同士のわだかまりになるなら使節団にくれてやっても痛くないのだが
ケノン王もまさか鎧がハリボテだとは知らないのであくまで鎧を保護する内容で打ち合わせは終了した
「うむ。大体まとまったな。では早速使節団に会って貰おう」
「分かりました」
「バルド王国使節団、謁見の間にお進み下さい!」
(おー、こっち側からだとこんな感じなのか)
カズヤは呑気に謁見の間に入る際の雰囲気を楽しんでいる
白亜の扉が開くとせかせかと忙しい人物(多分使節団代表)と数名の文官が慌ただしく進み寄ってきた
「ケノン王、これです!この鎧が我等の技術を盗んで作られた「盗品」ですっ‼」
「。。。は?」
カズヤは使節団の代表のとんでも発言に呆れた声をつい出してしまった
「ゴホンッ‼代表よ、王の御前で礼節を欠き他人を貶める言葉を吐くとは狂ったか⁉」
近衛兵隊長が使節団の代表を諌めた
周囲の近衛兵は刀に手を掛ける
「こ、これは失礼致しました。バルド王国使節団代表、ゲンガ。ケノン王にお目通りを。」
「うむ。ゲンガよ、うぬはバルド王国の代表でもある。言葉を選べよ?」
「は、はひっ‼このゲンガ、肝に銘じます‼」
(うわぁ…小物感満載だな…)
「して、うぬの訴える「盗品」とはこの鎧で間違いないか?」
「はい!ケノン王!この鎧は我が国の技術、機密を盗み作られた物に相違ありませんっ!」
「…ゲンガよ、そなたの言う事は我が国を愚弄するに等しいが何か確たる証拠でもあるのか?」
「はい、勿論でございます!」
この後はゲンガの独壇場だった。
ゲンガは宿場町で見た鎧の運動性能、
攻撃の際に使用された魔術(?)を自身の国(バルド王国)で開発されたモノと断定し
それらを盗んで鎧を作ったのは完全にバルド国に対する宣戦布告だと論じきった
ケノン王は呆れた顔を隠しつつ一通りゲンガの言い分を聞き、口を開いた
「ゲンガよ、うぬはバルド国の王なのか?」
「は?いえ、その様な事は…」
「では先程我が国に対して「宣戦布告」と申したのはどういう了見での発言なのだ?」
「‼…申し訳ございません…些か口が過ぎました…」
「先程のうぬの言い分を全て「是」とすると我が国がバルド国の機密を盗み武器を作成した、と言わんばかりだったがこれは如何に?」
ケノン王とゲンガ、役者が違い過ぎた様だ




