第9話 「会話をしよう」
。。。。。。地獄だ。。。。。。
突然フェイドアウトした視界、気付けば土中、判明したのは自分がゾンビらしい事。
偶然遭遇した女性に出来うる限りの努力をして接触を図り成功したかと思われた瞬間
自分の…己の耳がポロリと落ちてしまった
言い訳なんぞ出来る状況じゃない
もう目の前の女性は再び目覚めたら俺をゾンビ(化け物)としか認識しないだろう
(もう終わりだ…)
このまま女性を放置しても逃げ出されて誰かに助けを求めるだろう、
そしてその誰かに俺は倒されてしまうだろう、
(じゃあ女性をいっその事…?)
出来る訳がない、俺はこう見えて虫も殺せぬ平和主義者だ
八方塞がり、ジ・エンドだ。
俺は考える事を放棄して頭を抱え込んだ
「。。。あ…あのっ⁉」
「すっっ…すいませんっ‼」
半ば朦朧とした意識の隅で誰かが呼び掛けている
頭を上げるとソコにはあの女性が心配気にこちらを伺っていた
「あ…すいません…」
絶望を味わったせいか口から出た言葉は普段通り何の濁りもなく発する事が出来た
「いえ、こちらこそすいません」
女性は恐る恐るながらもこんな俺に対して改めて謝ってくれた
二人ともお互いの一挙一動にビクビクしながら会話を始めた