第84話 「やっと謁見しました」
門にいる番兵に謁見の旨を伝え、カズヤ達は王城の中に案内される
(うわぁ…凄い調度品ですね…)
前回訪れたガイとヒルは平然としていたがカズヤはまるで「おのぼりさん」の様にキョロキョロしていた
「カズヤ君、王の前では落ち着いて打ち合わせ通りにな…」
ガイさんも緊張でピリピリしつつ忠告を挟む
「うわぁ…凄く緊張してきた…」
ガイもヒルももうカズヤを構ってやれる程余裕が残っておらず皆固唾を飲んで呼ばれるのを待った
「宿場町イール代表、ヒル殿。イール警備部統括ガイ殿、エノール村カズヤ殿、謁見の間にお進み下さい」
いよいよケノン王との謁見だ。
カズヤは動いていない心臓の鼓動が響く位緊張していたが何とか玉座の前まで進み出た
「ケノン王様のお出ましです」
三人はその声に合わせて頭を下げると静かに衣擦れの音をさせながらケノン王が現れた
「頭を上げるが良い。」
三人が頭を上げる
「おぉ、そなたがカズヤか。噂を聞いておるぞ」
「は、はひ。王様にお、おかれましてはご、ご?あ、ご機嫌麗しく…」
「ワハハハ!カズヤよ、そう畏まらんでも普通で構わん。忌憚なく話すが良い」
「は、はい。申し訳ありません。こういう事は初めてなモノで…」
「普通は民草(一般人)がこのような形で謁見する事などあり得んからな、気楽にするが良いぞ」
「ありがとうございます」
「さて、謁見の間では詳しい話も聞けん。至急茶の用意を!」
侍従達が速やかに支度を整える
「さぁ、こちらへ。」
侍従長に促され三人は隣の応接間に案内される
「遠慮せず座るが良いぞ」
既に着席している王に勧められ椅子に座る
三人の前に紅茶が置かれ少し間を置いてケノン王が口を開いた
「さて、カズヤよ早速冒険譚を聞かせてくれるだろうか」
「は?…あの、自分はそれほどあちこちに出た訳でもなくそれほどお話しする様な事は…」
「ん?お主はエノール村に急に現れ墓地等を無償で修繕し、数々の奇跡を起こして活躍していると聞いたが?」
「奇跡?は分かりませんが良くご存知ですね」
「それが王というものよ。そう言えば「ケーキ」なるモノを村の民に配るとか。我にも食させて貰えるか?」
(良く調べてるなぁ…)
「あ、はい。今は持参しておりませんが厨房をお貸し願えれば直ぐにでも…」
「おぉ、では誰か!カズヤを厨房に案内してやれ!」
侍従の1人がスッとカズヤの脇に控える
「それでは楽しみにしておるぞ?」
「はい」
侍従に付き添われ応接間を出る
「はぁ~、緊張したぁ‼」
「フフッ、凄く緊張されてましたね…」
「えぇ、流石に王様にいきなり会えば緊張もしますよ」
案内してくれている侍従さん、エルさんは優しそうな美女だった
「ここが王の厨房になります。何かお入り用でしたら用意させますが?」
「あ、多分大丈夫です。少し待っていて貰えますか?出来たら呼びますので」
「じゃあここでお持ちします」
何故か王様にケーキを出す流れになってしまった




