第７３話 「え？」
コンコン…
「失礼しまーす…」
「どうぞ、入りたまえ」
(何でも屋)の彼が部屋におずおずと入ってきた
「ソコに掛けたまえ」
「ありがとうございます」
「確か…名はカズヤ君だったか？」
「あ、はい。そうです」
「待たせてすまないね」
こんな感じで始まった会話は警備部のガイも代表者のヒルにとっても驚愕に値する内容だった。
ガイとヒルは先ず先刻のお礼を改めてした後で辻褄が合わない部分等を聞いてみたのだが…
「あの「投函箱」には特殊な呪文を付与してまして…直ぐに俺の所に届く様になってます」やら
「実は魔法で直ぐに目的地まで行く事が出来るんです」など
思わず聞き返したくなる様な内容を説明されたのだ
「ま、まぁそれが可能じゃないと先刻迄の活躍の辻褄が説明出来ないのだが…君の依頼主であるテルマに確認したのだがその…何か円盤状の武器？で魔物を倒していたとか…？」
「えっと…それも魔術です」
「私は以前王国の兵士で魔術師とも面識があるが…そんな魔術は聞いた事がないのだが…」
「えっ⁉。。。アハハ…そうなんですか？俺の生まれた所だと普通の魔術なんですが…」
「その(生まれ)は何処かね？」
「えーっと…南の島…です」
「うーむ…」
とその後の会話もイマイチ要領を得ない
「そして君は…受傷者をその…何だ、棒の様なモノで治療もしてみせたらしいが…」
「あ…これですか？(懐から取り出して見せる)えっとですね…これは魔導具の一種です」
「うーむ…初めてみる魔導具だ…」
「えっと…魔導師の師匠から貰ったモノです」
「その君の師匠と言うのは？」
「⁉。。。少し前に他界しまして…」
「うーむ？そうか。。。」
どうも答えたくない秘密が相当ありそうで微妙にはぐらかしている
ガイは自身の結論として答えを導き出した
「カズヤ君。これ以上は聞くまい。結果として君は町の民と私の部下を魔物から救い討伐した。
そして怪我人をその棒で全て治療した。この事実は変わらない」
「はい」
「私もこの町の代表者、ヒルも君の行動に報いたいと思っているのだ」
「そんな…大丈夫ですよ…」
「いや、そういう訳にはいかんのだ。確かに最初の依頼はテルマより出されたがその後の活躍は１個人の報酬では到底賄えまい」
「えっ？そんな事はないですけど？」
「む？それではその報酬はどの位なのだ？」
「えっと…特に金額は決めてないんですが…依頼された方の「お気持ち分」だけ頂いてます」
。。。
「え？」
「え？」
警備部の応接室、３人の男達は思い思いの疑問符を放り出した
