第7話 「未知との遭遇」
~村娘ノア視点~
ー…う~ん…はっ⁉い、生きてる⁉ー
両親の墓参りの帰り、廃屋から物音が聞こえた
村娘、ノアは怖いと思いつつも音の主を探さないと!と決意を固めて廃屋に近づいた
動物ならともかく魔物が巣くっていたら村に甚大な被害が出る
いつも村を守ってくれる老師様も今日はお出掛けされている筈だ
勇気を振り絞ってドアを開けると…そこにはゾンビがいた
気付かれた上に雄叫びが聞こえて死を覚悟したノアは気絶してしまった筈だ
なのに今生きてソファー?の上に横たわっている
「た、助かった?」
慌てて飛び起きて周囲を見渡す
「ぐ、ぐがぁぁ?」(だ、大丈夫かい?)
ー助かってなかったぁぁぁっっ‼ー
ノアの真横にはさっき見たゾンビが何故か困った様な顔をしながら唸って?いる
全力で自分の考えの甘さを呪いつつ再び気絶しそうになった時
「ぐ…ぐが…き、気付い…た…かい?」
ーえ?ゾンビが喋った?ー
ノアの認識ではゾンビは話すどころか知能もない
ただただ生者を襲い血肉を貪るだけの存在だ
なのに今、目の前のゾンビは私の事を襲わないし更に安否を気遣っている様だ
「あ…あのっ‼すっ…すいませんでしたっ‼」
ノアは慌てて謝罪する
土気色で泥だらけの彼はもしかしたらゾンビではなく普通の人なのかも?
そう考えたら姿を見て気絶までしてしまった自分の行為は激しく失礼だ
少なくとも目の前の人?は微笑みつつ私に気遣ってくれている
「私ったら…貴方をゾンビと勘違いしちゃって…ゴメンなさい」
状況が飲み込めないがとにかく謝ると彼は微笑んでくれた
(悪い人じゃないわ、きっと…)
見た目で判断してしまった自分を恥じてノアは微笑みを返し。。。
ーポロっ?ー
にこやかに微笑む彼の耳がまるでオモチャの様にボロッと落ちた
早々に意識を手放した