第61話 (幕間)「ノアの心情、神様の心情」
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帰宅したら更にブースト掛けます
(カズヤ君、今頃どの辺を旅してるんだろうなぁ~)
ノアはカズヤの自宅で留守番をしつつ旅の無事を祈り思いを馳せた
(1人旅じゃなくて良い出会いがあればきっと楽しいわよね?)
そんな事を思いつつ何気に冷蔵庫を開けた
「な、何これっ⁉」
冷蔵庫のドアの先に広がった光景は。。。魅惑的な物体が大量に置かれている「天国」だった
(これって…全部私へのお礼かな…?)
流石に全てではないだろうと思いつつ見慣れた真っ白なケーキを取り出す
今迄は綺麗な二等辺三角形の姿をしたショートケーキが目の前で完璧な真円となって顕現している
ー。。。ゴクリッー
溢れ出る潤滑油をたまらず飲み込む
(じゃ、じゃあ少しだけ…)
ナイフを持つ手が震える
ノアは慎重に慎重を重ねて完璧な二等辺三角形に切り出す
今、ノアの前にあるのは決して誰もその誘惑から逃れる事が出来ないであろう、ショートケーキだ
一口、フォークで運んでみる
「…‼」
素晴らしい‼完璧である。
何度食べても感動を抑えきれないこの甘さと酸味のハーモニー
気付くと取り分けたケーキは姿を消していた
(余りにも美味しすぎて一気に食べちゃった…)
いつもであればそれは「一欠片の幸福」で終わってしまう
どれだけ渇望しても「おかわり」を願う事は自身の矜持に対する裏切りになる
ーしかしー
目の前にはその飢えを満たすに足る物体が鎮座し今も尚ノアの嗅覚と視覚に誘惑という攻撃を仕掛け続けているのだ
「も、もう少しだけ良いよね?」
ノアは気付いていなかった
自分が既に正常な判断を無意識に放棄していた事に…
甘味という快楽に身を委ね、欲望の赴くままにケーキを口に運ぶ
正気を取り戻した時、テーブルの上には皿を残すのみとなっていた
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自称:慈愛の女神は目の前の食べ物に逡巡する
五感をくすぐる夢の食べ物カズヤが旅立つ前に手土産として置いていったホールケーキである…
「折角だし頂こうかしら?」
動揺を隠せず1人なのに疑問文で呟く
本来は禁忌である「神の御業の付与」をカズヤに施した事に悩んだ時期もあったがこの神々しい甘味をもたらされた事だけでもその行いは正しかったと確信させる
女神は神故に望めば森羅万象を網羅出来る
カズヤの記憶から「ホールごと食べれば人としての何かを失う」事も当然知っていた
それでも…目の前の誘惑に神ですら抗う事は出来なかった
(神の持つ素早さ)『神速』により一瞬でホールが消滅する
人であれば「無」は全ての終わりである
では神ならば?無は無ではなく有限は無限の始まりともなる
誘惑に堕落した女神は自らの欲するがままにケーキを具現化し己の神性を手放して一匹の獣になった




