第58話 「お礼と仲間の証として」
ラオさんを無限収納に避難させて一時間、俺は怒る皆を説得して落ち着かせた
「ラオさんじゃなくても…例え俺がラオさんでも同じように欲しくなったと思いますよ?そうでしょ?リーダー?」
「うむ、そうだな…流通している普通の無限収納でもひと財産だからな…」
リーダーの話だと無限収納は本当に高額で普通は一般人が持てるアイテムではないと言う。
大抵は貴族等の特権階級以上、大富豪、王族しか持てないらしい
何故リーダーが持っているかと言うと昔貴族崩れと賭けをして勝ち取った品だかららしい
「そうですか…皆さん、俺の無知のせいでご迷惑をお掛けして申し訳ありませんでした」
「カズヤ君が謝る必要はないさ」
「お詫びと言うかお礼と言うか…皆さんはもう俺の仲間みたいな存在ですのでその証として是非受け取って下さい‼」
「カ、カズヤ君っ⁉ちょっと待とうか⁉」
リーダーは俺の意図を察して食い気味で待ったをかけた
「「証」を貰えるのはとても嬉しいし光栄な事だ、けどその性能そのままを受け取ったら…自分を律する自信はないよ」
リーダーの話はこういう事だ
俺の作った無限収納は国家機密にも匹敵するレア中のレアアイテムだ。
故に持ち主は常にその秘密を秘匿する義務がそれこそ死ぬ迄、いや死後も続く
人は揺れる存在だ
欲に揺れ感情に揺れ恐怖にも揺れる。
だからこそ「証」を守りきる自信は持てない、と言われた
リーダーの言葉に最初は浮かれていた他の人達もその事実に気付いて青ざめていた
「そこでこうしたらどうだろう?そのままの性能ではなく一般の無限収納並みのモノを作れないだろうか?それなら…それでも過ぎたアイテムだが皆も安心出来るのでは…」
「分かりました。深く考えもしないで軽率な事を言ってすいませんでした」
「いやいや、謝られると困るよ」
リーダーの申し出を快諾して早速具現化しようと思ったがそもそも「普通の」無限収納の性能が分からないのでリーダーの袋と説明を参考にそれよりも少し高性能な袋を人数分具現化した
途中すっかり忘れていたラオさんを袋から取り出すと魂が抜けた様な姿に変わり果てていた
「ラ、ラオさん‼大丈夫ですか⁉」
「…ワシは人類初の経験をした…」
てっきり無酸素等の過酷な条件で魂を持っていかれたのかと心配したが
どうやら未知の体験に万感の思いを抱いて昇天していた様だ
落ち着いたら感想を聞こうっと




