第49話 「聞いて下さいよ~」
「…と言う訳で出だしの段階で躓いちゃったんですよ…って聞いてます?」
ここは神の間、神様なら何か最適解を出してくれるかも?という淡い期待を抱きつつ絶賛愚痴放出中だ
神様はお土産(と言う名のエサ)にと持参したホールケーキに顔を突っ込んでるんじゃないか?という勢いでガッツいている
「ほふぇっ?」
「口の中に詰め込んだまま返事しないで下さいよ、汚いなぁ…」
俺は神様の口から飛び散った生クリームを掃除しつつ愚痴を溢す
神様だから聞いてない様でいて全てお見通しの筈だ、きっと。
「はぁ~…このケーキ、凄いわね。カズヤ君の前世ではこんな魅惑的な食べ物が溢れてたのね?」
「これはシンプルな部類です、本当はもっと多彩で美味しいモノもあるんですが俺はコレが一番好きなんですよ…って聞いてました?」
「え?えぇ‼も、勿論よ‼」
そう言いながら決して目線を合わせてくれない
「そうね…貴方の案には大きく欠けてるモノがあるわ、だから決まらないのよ」
(やっぱり神様だ、ちゃんと聞いててくれたんだ…)
(ふぅ…危ない危ない。「完全記憶能力」がなければ嫌われる所だったわ…)
「大きく欠けてるモノ?」
「えぇ、それがなければカズヤ君の夢もただの空想でしかないわ」
「それって何です?」
「それはね…『敵』よ」
「あ‼そうか‼」
自分が出来る事が沢山増えて夢に手が届きそうになってすっかり抜け落ちていた
コスチュームや必殺技を考える前に「誰(何)と闘うか」、こっちの方が重要だった!
戦闘には相性があり万能なモノはない
近接戦闘中心なのに遠距離攻撃技術しか持っていなければ間合いを詰められ逆なら間合いを詰められなければ敗北は必至だ
「神様、本当にありがとう。感謝してもしきれないよ」
「フフ…もっと崇めても良いわよ?」
「いや、崇めはしませんよ?」
「…(チッ)」
よーし‼明日からは旅に出て『敵』を探すぞー‼
(わざわざ敵を探すとか本末転倒だけど…カズヤ君がやりたい事だもんね)
神様の含みを持った視線に気付く事もなくヒーローへの道を目論むカズヤであった




