第251話 「なんか勝手に…」
ドルド王国での懸賞金騒ぎはカズヤの知らぬ所で騒ぎとなっていた
「おい、知ってるかい?救世主様からまた支援物資が配給されたってさ」
「あの御方には返せない恩を受けてるんだ、せめて何か出来ないのかよ?」
「そうだ!王様に言って何か勲章とかを贈呈して貰うのはどうだ?」
「それだ‼皆で嘆願してみよう‼」
ドルドの住民はこぞって王城へ押し寄せカズヤへの叙勲を嘆願した
「王様、民衆がカズヤ殿への叙勲を嘆願しに城に押し寄せて来ておりますが如何致しましょう」
「ほぅ、ワシも前々から思っておった所じゃ。流石のカズヤ殿も民衆の頼みとあらば断れまいて。早速叙勲の準備をしろ」
「は。」
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「タジン王様、どうしました?」
カズヤは要請を受けドルド王国にやって来ていた
「フフフ、カズヤ殿。此度はお主に叙勲をしようと思っての」
「え?前にそういうご配慮はお断りしましたよね?」
「それがのぅ…民衆から是非にと嘆願が上がってワシとしても看過出来ぬのよ…」
タジン王はさも困った様な態度でカズヤの逃げ道を塞ぐ
「このまま看過すると暴動が…」
「あーっ‼分かりました分かりましたよ‼謹んで受けさせて頂きます‼って何ちっちゃくガッツポーズしてんスか⁉」
女性の仕草としては満点だがちっとも可愛気がない
こうしてカズヤはドルド王国での功績に対して叙勲を受ける事になったのだった
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カズヤの叙勲騒ぎはこれで収まらなかった
バルド、クリエもこれを聞きつけ我が国でも!となったのだ
ジル王国のケノン王がこの騒ぎに反応しない訳がない。
「うぬぅぅぅ…他国に遅れを取るとは我一生の不覚‼こうなれば叙勲等温い褒章では我の気が収まらぬ!」
。。。
「…ケノン王様?」
「ワハハハッ‼カズヤよ、我がジル王国の爵位を受けよ‼」
「…えぇ?」
「受けぬとあらば民草の反感が募り我が国は…」
「分かりました‼全く…何で王様共通で同じ恫喝をしてくるかなぁ…‼受けますよ‼」
こうしてカズヤはドルド・クリエ・バルドより叙勲を、ジル王国に於いては「公爵」の位を授かったのだった
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「おばあちゃん、これで全部ですか?」
カズヤはおばあちゃんの依頼を受け買い物代行をしていた
「まぁまぁ…助かったよ。公爵様にこんな事頼んで申し訳ないねぇ」
「あはは、爵位とか飾りですから遠慮なく言って下さいね…」
(やりづらくなったなぁ…)
薄々予感はしていたが叙勲や爵位のお陰で依頼者が畏まる事が多くなってカズヤはやり辛さを感じていた
「何か対策をしないと気持ち良く人助けが出来ないのは厳しいよな…ただいま…」
「おかえり、カズヤ君。あれ?何でそんな暗い顔してるの?」
神様は心配気にカズヤを覗きこんだ
カズヤは叙勲等により依頼者達との「壁」を感じている事を話すと神様は首を傾げる
「あら、そんなに居心地が悪いなら大神様に頼んでみたら?」
「え?何を?」
「ドルドで始まった叙勲騒ぎの「前」に戻して貰うのよ、時間を」
「そんな事が出来るんだ⁉」




