第175話 「要は…」
「はい‼先生(神様)‼」
「はい、カズヤ君‼」
「ぶっちゃけ難解過ぎて分かりません‼」
「正直で宜しい‼」
どれだけ理屈を捏ねられても自身の存在を疑った事のない者には理解すら困難なのだ
「さっき迄の説明は所謂「理論」なのよ。頭に置くだけで理解しなくても大丈夫よ」
「前世でいう「哲学」でしたね」
「そうそう。「哲学」を知らなくても生きていける。こんな捉え方で良いわ」
「分かりました」
「じゃあさっきの「理論」を踏まえて「実践」を再開しましょう」
「はい、先生(神様)‼」
「あ、それと」
「はい?」
「カズヤ君は既に「制約」は突破してるからね?」
「え?」
「普段から何でも具現化してるじゃない?あれって無意識に「制約」を排除しないと無理なのよ?知らないで使ってたでしょう?」
「仰る通りです…」
「例えばね、(空を飛びたいなー)って思っても物理的に「翼」がなければ飛べないでしょ?」
「はい」
「じゃあ翼と動かす筋力があれば飛べるか?というとそうじゃないのよ」
「ん?」
「鳥は翼の存在と飛べる事を疑わないわ。「それが当然」だからね。でも人に翼が付いても「疑う」から飛べないの」
「ん?ん?どういう事です?」
「そうねぇ…喩えを変えましょうか。大抵の人は生きている事に疑問を持っていないわ、「当然の事」だからね」
「はい」
「けどその「当たり前」の事を疑ったとしたら?」
「…場合によっては「出来なく」なる?」
「そう。「病は気から」ってのはその類いね。人は自分自身の存在を疑える「思考」が備わっているから不自由ではあるけど意図的に取り払う事も出来るの。カズヤ君みたいにね」
「なるほど?」
「じゃあ今の理論を踏まえて目の前に「お城のおもちゃ」を具現化してみて?」
「はい。…むむむ?…具現化出来なくなりましたよ⁉」
「アハハ、上出来よ‼」
「洒落になってませんよ~⁉どうしよう…」
「そう落ち込まないの。じゃあ今度は「何にも考えないで」出してみて?」
「はい。あ?出た⁉」
「ね?出来たでしょ?」
「はい、どうしてですか?」
「これが今まで説明した事の「全て」よ」
「ん?」
「そうね…「信じる者は救われる」、こんな感じかしら?人が「常識」にさえ縛られなければその存在は「神」にも等しいのよ」
「なるほど…「在る事」を疑わなければそれは「真実」となる。こんな感じですか?」
「正解‼もう教える事はないわ。卒業おめでとう‼」
「え?終わりですか??」
「えぇ、だってカズヤ君は既に半分卒業してた様なモノだもん。理論さえ理解出来ればおしまいよ」
「「Don't think, feel」ですね⁉先生‼」
「ん。それは分からないけど正解?かも?」
「先生‼」
「はい?」
「卒業祝いを貰っても?」
「え?何を…あ、ダメぇ~…⭐」
カズヤは本気で爆ぜさせなければダメだな…




