第118話 「じゃあいきまーす」
マインさんとカズヤは現況報告の為に一旦城に戻りトルン王に説明をする
「してカズヤ殿、勝算はありそうか?」
「確実に…とは言えませんが取り敢えず攻撃してみます。元々行き当たりばったりな性格なので」
「そうか、余としては民や兵に被害が及ばないのであれば僥倖である。早急に討伐をお願いしたい」
「分かりました、じゃあ行ってきます」
(…随分と軽い調子だが本当に大丈夫なのであろうか?)
マインとトルン王は一抹の不安を拭えなかった
「ではマイン、カズヤ殿に同行し必要であれば援護を」
「は。」
報告を終え再び馬に乗ろうとするマインさんをカズヤは引き留める
「時間が勿体ないんでお手を拝借します」
「ん?あ…何を⁉」
カズヤはマインの手を取り先程の山麓迄一気に転移する
「ここは…な、何という魔術なのだ…」
マインは呆然と立ち尽くす
「じゃあ…いきまーす‼」
カズヤは監視の兵達を撤退させる様に頼むと散歩でも行く様な雰囲気でサーバルグリズリーに向かって歩きだす
「あ、そんな無造作に…⁉」
マインが慌てて声を出すが次の瞬間驚愕の光景を目撃する
「サモンメイルッ‼」
カズヤは鎧を召喚しデスビ○ムを連射する
(あー、やっぱり弾いちゃうか)
サーバルグリズリーに全弾命中するが装甲に弾かれノーダメージだ
攻撃されて興奮したサーバルグリズリーはカズヤに突進する
「あ、危ないっ‼」
マインはカズヤの死を確信し顔を背ける
「ウェイブカノン‼(波動砲)」
カズヤはサーバルグリズリーを十二分に引き付け周囲に影響が出ない様に斜め上に向けて攻撃を繰り出した
一条の光柱はサーバルグリズリーを消滅させ止まらぬ勢いは雲を掻き消してしまう程だった
「…は?」
マインは勿論その場にいた兵達もあんぐりと口を開け状況を飲み込めずに立ち尽くしていた
ーバルド王国王城、王の間ー
「すいませんでしたっ‼」
カズヤは日本人の魂「土下座」を披露している
1つ目の討伐依頼は達成したがサーバルグリズリーを「消滅」させてしまった為、2つ目の依頼である「兵器開発」へのサンプルを取り損なってしまった為だ
「むぅ…カズヤ殿、早急の討伐を望んだのは余なのだ。頭を上げて欲しい…」
膝をつき足を畳み前方に手を置き上半身を床と水平に倒す完成度の高い気高さすら感じる見事な土下座に流石のトルン王も動揺を隠せない
マインはカズヤに手を繋がれ一緒に帰還してはいたがカズヤの後方で脱け殻の様に呆けていて無反応だった
「こうなれば2つ目の依頼、兵器開発に粉骨砕身務めさせて頂きますっ‼」
カエル…ならぬ土下座を崩さないカズヤは額を床に擦り付けつつ謝罪をしていた
「な、何もそこまで謝る必要はカズヤ殿にはないのだぞ⁉頼むから頭を上げてくれたまえ…」
トルン王の目尻には光るモノがあったとかなかったとか…後に目撃していた侍従の口から漏れたとされる噂の誕生であった




