第110話 「新たな依頼part5」
「おぉっ⁉カズヤか‼相変わらず心臓に悪い訪ね方だな⁉」
「すいません、ちょっと緊急事態なモノで…」
カズヤは事の次第をケノン王に報告した
「うーむ、なるほど。誘拐犯達は逮捕したが奴隷商の実態が掴めていない以上国として軍を動かす必要がある、と言う事だな?」
「はい。これは「根切り」です」
今回関わった犯罪者を全て捕縛・収監する事でこのルートでの犯罪を撲滅する、
そして大規模に展開すれば他の犯罪者へ見せしめにもなるのだ
「カズヤは一般人にしておくには惜しい人材よの」
「一般人じゃありませんよ?「正義の味方」です」
「ワハハハ!そうかそうか!」
これで軍が動き誘拐・奴隷密売をしていたグループは文字通り壊滅するだろう
ガイさんが犯人達に吐かせれば吐かせる程そのスピードは加速する筈だ
カズヤは一通りし忘れた事・伝え忘れた事を確認して無い事を確認するとエノール村の広場へと転移した
広場に戻ると既に皆は解散した様だ。
カズヤは村長の元を訪ねると結果報告をした
現在進行中ではあるが誘拐犯全員は確保、警備部のガイさんによって取り調べ中。
他の関係が疑われる関係者や奴隷商に関しては軍部が主導で捜索を開始している
後は村人以外の被害者達の安否を彼等の身内等に伝えるだけだ
ここまで伝え終わるとシーラグさんに行動の漏れがないか確認した
「いやぁ、ワシではここまで深く考え行動なぞ出来なかった。カズヤ君、感謝するぞ」
「どういたしまして」
カズヤが村長宅を出ると救出された人達がカズヤを待っていた
「「「カズヤさん、助けてくれてありがとう‼」」」
皆からの感謝の言葉を聞いてカズヤの胸は熱くなった
(この言葉だけでもヒーロー目指して良かったと思えるよ)
カズヤは照れ臭そうに片手を挙げると流れ出た涙を隠す様に転移した
「ただいまー‼」
「。。。あ‼」
ノアはカズヤがいない事を良い事に1人ケーキバイキングパーティーの真っ最中だった様だ。
気のせいか、というより出会った頃より確実に丸くなったノアに近寄りスッとほっぺを撫でた
もう直線的に叱るより行動で示した方がノアの心に直撃すると思ったのだ
「あぁぁぁぁぁっ‼‼」
自分の部屋に戻るカズヤの背中にノアの慟哭が突き刺さった
ーこれで良いんだ…ー
ノアにとってケーキは麻薬なのだろう。
本能では抗う事など出来ない。
後は物理的に遮断する必要があるが本当の問題は「本人の断ち切る意思の強さ」なのだ。
自覚と強い意思によって再発は限りなく低くなる
カズヤは心を鬼にしてノアのケーキ断ちに舵を切るのであった




