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第5話 さよならサワガニ生活

遅くなって申し訳ありません。少々軌道修正を行っておりました。

今回からサワガニのターンに戻ります。というか、タイトルから分かる通りサワガニでは無くなります(笑)



 ……くるか?お?そろそろ謎ポップ出るか?


【サイズLに成長しました】


 来たあああぁぁぁああ!!


 ふっふぅー♪脱皮を終えて手足も10本に戻って上機嫌ですよ!

 そう、仲間に脚を食われ、謎のヤドカリに鋏を折られ、アンバランスな体で逃げ隠れする生活ともおさらばさ。

 しかし案外成長早いね。サワガニってこんな風に成長するものだっけ?

 まぁ、俺は元人間のスーパーサワガニだからね、ちょっとくらい常識外れなくらいで丁度良いのさ!何せ進化出来るらしいからね、普通のサワガニとは違うのだよ!

 何かもうサワガニである事に誇りすら感じるレベルのスーパーサワガニだよ!


 進化…ああ…何という甘美な響きだろうか。

 ゲームでも定番のスーパーパワーアップイベントだからね。

 きっとあれだよ、辛いサワガニ生活を勝ち抜いた俺は褒美として伝説上の生き物になれるに違いない。例えはドラゴンとか!?

 んー、流石にカニからドラゴンは無理があるかな?でも夢が広がるねー、んふふふ。



【進化条件を満たしました。現段階での進化先を表示します】



 んっほおぉおい!これだよ、これ!来たんじゃない!?何が来たかっておまえ、俺の時代がだよ!言わせんな恥ずかしい!

 さよならサワガニ生活、こんにちは新しい自分。



【通常進化】

【シオマネキ】【アカテガニ】


【特殊進化】

【スナガニ】【アシハラガニ】


【今進化しますか?】



 ………カニじゃないか!しかもこれまた小さい奴だろ!?

 いや、シオマネキとアカテガニくらいしか知らねぇけど!でも両方サワガニと同じくらいの奴だろ!?だいたい1~3センチプラス脚だろ!

 いや、いや待て、落ち着くんだ。自分の手足を数えて落ち着くんだ。

 ………良かったぁ、十本あるぅ♪うふふふ♪

 ってこれ現実逃避だわ!



 はぁ……まずは状況を整理するべきだろう。

 今の俺は脱皮直後のか弱いサワガニだ。取り乱している場合では無い。周囲の確認!

 ……良し!オールグリーン!オールグリーンの意味よく知らねぇけど、一度は言ってみたかった言葉だ。満足満足。



 さて、次に進化先の確認だが。シオマネキと言えば言わずと知れた干潟のアイドルだ。片手が大きくてピョコピョコ踊る可愛いカニだな。

 うーん…特に強い要素は無い気がするけど、大きい鋏がある分サワガニよりは攻撃力アップな感じなのかな?有名な奴だから安心感はある。


 アカテガニ、これは前テレビで見た。内陸まで進出するカニで水をほとんど必要としない。群れで道路を横断する映像が衝撃的だったから覚えている。

 サワガニよりも体がガッシリしてたし、サルカニ合戦のカニのモデルになったカニでもあるらしいから安心感もある。陸にも強くなるしこれは候補だな。


 問題は特殊進化の二種類だ。全然情報が無い。というか、特殊進化っていったい何なんだ?そう言えばサワガニ生活してる時に何か進化先が増えました~とか言われてたな。

 確か…鳥から逃げ切った時と共ぐ…カニの脚食った時だったか。

 と、なればだ。特殊進化の片方は逃げ足速い奴で、もう片方は狂暴な奴だと考えて良いのかもしれない。ならば狂暴な奴は避けたいな。平和が一番。


 して…どちらが平和か…だが。スナガニは…文字通り砂場に居るんだよな?砂に穴掘って潜る系か?イメージ的には逃げる感じだが、どうだろうか。

 アシハラガニは…んー、アシハラって何だ?



 良し!決めたぞ。俺はスナガニになる!

 せっかくの特殊進化だしな。選ばないと損した気分になってしまうというものだ。

 名前の響き的にも平和そうだしな。岩場の陰よりも砂の中のが安全かもしれない。



 そう決めた途端に足下に淡い光を放つ魔方陣の様な物が出現して…て、これ魔方陣ちゃうわ、ただのサークルだわ。もうちょっと演出頑張れよ。な?

 まぁ、とにもかくにも俺の体は淡い光に覆われて神秘的な様相を醸している。でも大丈夫かこれ?目立つと死ぬんだけど?食われるんだけど?

 更に言うとね?俺の体縮んでませんかね?これアレですか?Sサイズに戻る系?てことはやっぱり小型のカニかー。いや、分かってたけどもね。それでもやっぱり残念な物は残念なんですよ。また雑魚蟹じゃないですかーやだーってなるじゃないですか。

 あれ?そう言えば現段階での進化先とか言ってなかった?もうちょいサワガニ頑張ってれば進化先増えたとか?もうちょい大きなカニになれたとか?

 いや、もう遅いけど、明らかに進化完了してるもんコレ。



【スナガニ サイズS】

【砂浜に生息するカニ】

【素揚げや唐揚げにして殻ごと食べる事が可能、薄味】

【食べると足が速くなると言われているがそんなことは無い】



 また食材扱いかよ!…て、食べると足が速く?てことはこっちが逃げ足の速いカニだ。とりあえず当たりを引けた事に安堵するとしましょうかね。

 戦うカニよりも逃げるカニ。何とも俺らしいな。



【サワガニの特性を引き継ぎました】



 ん?コレどういう事だろうな?サワガニの特性?雑魚い事以外に何かありました?

 あー、そういえば体がやや赤みを帯びた赤褐色なような気がするなぁ、これか?体がちょっと赤い感じなのがサワガニ要素?

 んんー?違うなぁ、だって何か色変わってきてるもんね、黄褐色に変わって来てるよー、あと何か視界に色鮮やかな鳥も見え……はうあ!カワセミセカンドインパクト!


 やはり進化エフェクトが派手過ぎたんだ。だが大丈夫…ここは岩陰。奴は来れない。大丈夫だ、まだ慌てるような時間じゃない。

 それに俺には頼れる仲間だっている。俺の後方1メートルくらいの所にサワガニ先輩Lサイズがいつの間にか来てくれていたから心強いね。

 ん?後方も見えてる?サワガニの時よりも目が良くなっているような。

 後ろに居るサワガニ先輩は体も鋏も太めで、鋏はサワガニのオレンジ色よりもずっと濃い赤色で…ってあれサワガニじゃねぇわ!テレビで見た事ある奴!アカテガニ!


 嫌な予感がする。そう思う度に俺の体は黄色味を増していく。これもしかして警戒色?逃げろっていうメッセージ的なやつ?

 ここは…直感を信じるしか無さそうだ。だって、あのアカテガニ確実に俺の方寄って来てるもん。もうカニなんて信じられるか!俺は逃げるからな!


 こんな所に居られるか!それは普通であれば死亡フラグ。だが自然界においては直感を信じて逃げる事こそが生存の道なのだ。辛いサワガニ生活で学んだのだ。



 逃げる。そう決めて脚を動かした時、俺は確信した。スナガニの足の速さを。

 脚が驚くほど俊敏に動くのだ。こう…シュビッと!空気を切り裂く様な鋭さで稼働する。そして足のストロークも長い。これで遅かったら逆に驚きだ。



 岩陰から逃げ出す様にして脚をフル回転させると見える景色が一変した。ほんの一瞬、本当に瞬きする様な僅かな間でさっきまで俺が居た場所は遥か遠方の彼方である。

 分かる。これは自分が小さいゆえの錯覚なんかじゃない。目が良いおかげで何にもぶつからずに走れているが、目が悪かったら自分の速さに目が追い付かずに衝突して自爆してるに違いない。それほどまでに速かった。


 さっきまで自分が居た筈の遠方に見えたのは追いかけてきたアカテガニと、それを捕食するカワセミの姿。俺は余裕で逃げ切り、カワセミは俺を諦めたようだ。



 え?待ってこれ、速過ぎない?俺今最速の小型生物なんじゃない?台所に出るあの黒い悪魔よりも、それを捕まえる八本足の軍曹よりも速い自信がある。



 ふ、ふふ、ふはははははははは!大当たりじゃん!スナガニ大当たりじゃん!

 最速こそ最強!スナガニ生活は楽しくなりそうだ!

 …ん?スナガニ生活?スナガニってどうやって生活すんの?確か砂浜のカニだよね?海岸のカニだよね?つまり…海水無いとダメなんじゃないの?

 ふおおおおお、もしかして俺このままだと死ぬ系?今岩陰に隠れて一息付いてたとこだけど、一息付けて無い感じだった!?


 んー、でもそれにしては全然辛く無いんだよねぇ。なんなら今俺水に浸かってもいないし、真水でもオッケー?てか陸でも全然オッケー?

 沢でも平気なスナガニとか、俺スーパースナガニだったんかな。



 …あ、これがサワガニから引き継いだ特性か!



固有名詞はそのうち付きますが、今は主人公の事好きに呼んでいただいてかまいません(笑)

スナガニの速度は時速16kmと言われています。3cm程度の生き物がそれほどの速度を出すのはだいぶ異常ですね(笑)

その速さから幽霊ガニの異名も持ちます。

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