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第29話 旅は道連れ、世は…

連日投稿!って、これ話分ける必要無かったかもですね。


 その後ロベリアが語った話はここに来てからの事になる。

 最初は本当に脆弱な生き物から始まり生きるのに必死だった。俺だって生きてるのが不思議なくらいだ、捕食者に怯えて生活していたのは皆一緒に違いない。

 上位の魔物、つまりモンスター化する前に死んでしまったクラスメイトも多いのではないだろうか?

 今まで見たのはヤドカリ、鳥、カマキリ、ナナフシ、タコ、サンショウウオだ。俺を合わせたってまだ7人しかいない。

 …いや、あの環境下で7人も生き残っていたのなら凄い事なのかもしれない。それに、既にクラスメイト同士の殺し合いもあったに違いない。

 あのタコ…サトルの大きさはどう考えても異常だった。海中に転生した他のクラスメイトを食べたのだろう。正直あのサイズのミズダコに勝てる奴なんてそうそう居ないはずだ。


 そしてカーラの村の話になる。

 俺はカーラに捕獲されただけ、そしてロベリアは俺を助けに来ただけ。

 あの化け鳥、ナパームが来たのは偶然で、そして…ナパームを追い払ったのは間違い無く俺だった事を説明するとカーラは俺の脚を撫でてくれた。


「やっぱり、ベートカが村を守ってくれたんだよね。ありがとう。ベートカが居なかったら…村は全滅してたのにね。誰からも感謝されなくて…可哀想」


 あー、別に気にもしてなかったが。…まぁ、カーラが分かってくれてるなら良いさ。

 俺は地面に一言だけ文字を書くとロベリアに目配せした。


「……気にすんな、って?そっか…ベートカは強いね」


 自分を強いと思った事は無いけども、俺からカーラに伝言送るの割と面倒だし、まぁ…そんなに多くは語るまいて。

 俺→ロベリア→プルメリア→カーラって順番の伝言ゲームになるんだよなぁ。



「そういえば、ロベリアはどうして私の人形の持ち物と同化してるの?」


 ロベリアの腹部の甲殻にはプルメリア用のアンティークカップに付いていた花柄模様が入っている。俺があげたやつなんだけど…元々はカーラの持ち物なんだよなぁ。


「え?ベートカがくれたの?って事は…ベートカ…盗んでたの?」


 ですよねぇ、バレますよねぇ。

 ここはあれだ。プルメリアけしかけられても困るし素直に謝るとしよう。

 そう、久々のあれだ!体を深く伏せて鋏脚を前へ!土下座ポーズ!


「…ぷ、あははは、ベートカのそのポーズ久しぶりに見た気がする」


 おや、怒ってらっしゃらない?というか…ちょっと笑ってる?まだぎこちないけど…笑えてる、よな?うむ、いつかまた前みたいに明るく笑ってほしいものだ。


「でも…ロベリアもそのプレゼントを大事に持ってたって事だよね。…ふーん、ロベリアってベートカの事好きなの?」


 ふぁ!?おい待て、そういうのストレートに聞くんじゃないよ!どっちにしても気まずくなんだろうがおい!


「へー、ほほー、そうなんだぁ」


 え!?どっち?どっちなの!?好きなの!?どうなの!?


「女の子同士の秘密だね、分かった」


 気になるやつぅ!…くっそぉ、好意はあると思うんだけどなぁ。ラブなのかライクなのか…って何で俺がそんな乙女な悩み事せなあかんねーん!


 ロベリアはその後カーラを俺から引き離すと自分の甲殻の上に乗せた。え?それ大丈夫?ロベリアの高さ3メートル以上はあるよね?危なくない?

 俺がオロオロしているとその様子に気付いたカーラが俺に手を振って答えた。


「私は全然平気だよ。見晴らし良くて気持ち良いし、それに女の子同士のが良いもんね」


 お、おおう、あの巨大なヤシガニを女の子と認識してるカーラも随分と大物だな。

 まぁ、あの二人が仲良くなってくれたのは有難い。ロベリアはカーラの事嫌ってるもんだと思ってたからな。いったい何がきっかけで心を開いたのやら。



「ふっ…ふふふ、なかなかに罪作りなカニだねぇ、君は」


 リベットはやや含みを持たせたような笑みを浮かべていた。

 ラフロイグもリベットももう俺やロベリアを敵とは見なして無いらしい。一番の強敵と和解出来たのは大きいな。


「俺とリベットは…これから山猫軒を探してみるつもりだ」


「そうね、魔王が山猫軒を根城として異界を移動しているのなら…こちらの世界に山猫軒が出現した時が魔王復活の時だと言えるものね」


「お前ら魔物の事情は分かった。無闇に魔物を殺さないと約束しよう。だが道を踏み外した奴には容赦はしない」


「今度こそ…魔王ヤマネコを倒さないと、ね。封印なんて言ってられないわ。消滅させないと…同じ事を繰り返すはず…だもの」


 んー?それは俺らにとっては都合の良い事ではあるのだけど、何か一つ見落としている…ような?

 ……あ、そうだよ!俺らを元の世界に返せるのってその魔王だけなんじゃねぇの?俺は最悪戻れなくても良いけどよ、戻れるなら戻りたいのは当然の主張なんだよなぁ。


「ねぇ、ロベリアが…魔王が消えたら私たちはどうなるの?って、元の世界に戻れるの?って、聞いてるんだけど、どうなのかな」


 あー、やっぱりロベリアも気になってたか。そりゃそうだよなぁ。俺らの目的と勇者の目的は似て非なるものだからなぁ。


「んー…、そうねぇ。帰る事は可能だと思うわ。山猫軒は魔王によってあなた達の世界への通行手段へと作り替えられた。私がそれを起動させれば、理論上可能…ね」


 おー!なんだよ、万々歳じゃねぇか!それなら俺ら殺し合いしなくて良いし、勇者が魔王倒してくれるの待ってれば良いだけじゃん?楽勝楽勝。

 いやー、一時はどうなる事かと思ったわー。肩の荷が降りた気分だわ。

 ……あれ?それでも何か見落としてるような。まぁ…気のせいだな!



「それじゃあ私とラフロイグは先を急ぐわね、カーラを…よろしくね」


「私は大丈夫。ベートカもロベリアも良い人達だから」


 おお?こんなカニでも人扱いしてくれるのか、カーラはやっぱり良い子だなぁ。


 さて、仲間も増えて心機一転ってやつだ!旅を続けるとしましょうか。

 旅は道連れ、世は異世界ってな。


さぁ、勇者と和解して新たな冒険が始まります。

やっと人間のヒロインが追加されましたねー。

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