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死を見つめる瞳  作者: 自由の梨
7/10

長谷川君からの誘い

 転校してから2週間が経った。軽く会話する友人くらいはできたが、どこか皆気を使っている様な心の壁をどこかで百合愛は感じていた。素の状態で話せるのは長谷川のみだった。

 そんな百合愛に期末テストが迫っていた。2期制なのでこの時期に期末テストが行われる。終われば短い秋休みを挟んで2学期が始まる。

「(転校して初めてのテストだから緊張するな)」心の中でそう呟いた。


 帰りの電車内マナーモードにしているスマホが振動した。見ると長谷川からメールが来ていた。

『おつかれさん。体調と勉強の方は大丈夫か?』

 自らの体調を気にかけてくれるのは嬉しい。長谷川からのメールだと素直に喜べる。

 百合愛も返信を打った。

『気にかけてくれてありがとう。部屋だと雑念が多くて勉強いまいちはかどらないの、どこか自習スペースでもあれば良いんだけど』

『それなら中央図書館行こうぜ!』

『中央図書館?聞いたことがあるけど場所知らないな』

『案内してやるよ明日暇か?』

 突然の申し出にうろたえたが、少し考えて長谷川君となら良いかと思った。

『ありがとう、明日はバイト休みだから空いてるよ』

『なら横浜駅の相鉄西口交番前に16時に集合しよう』

『わかった。本当にありがとう』

 そう返信して百合愛はスマホをカバンに入れた。

「私、長谷川君に助けられてばっかり」子声で呟いた。

 自分だけがこんな幸せで良いんだろうか?幾度となく考えたことだ。心がまたズキンと痛み、締め付けられるような感覚に襲われる。

 そんな時百合愛は遠くを眺める癖がついてしまった。どこをという訳ではない。どこか遠い目をしてしまうのだ。列車に飛び込もうとした時から遠くを眺めている気がする。

「(皆、天国で幸せかな)」そんなことを思いながら百合愛は航空機事故で亡くなった人の葬儀のことを思い出してしまった。マユも楓も遺体は見つかっていない。それなのに葬式開くっておかしいだろう。と当時は考えていた。

 今になって思えば何もせずただ事故を風化させることの方が酷い気がした。

 また泣きそうになったので再び百合愛は遠くを眺めた。そうして緑園都市駅に着いた。


 自宅に帰ると父親がいた。

「おお、百合愛お帰り」

「ただいま。お父さん珍しいねこんな早く帰っているの」

「午後半休もらってたんだ。3人でご飯食べよう」

「わかった」

 百合愛は部屋で着替えて18時頃に部屋から食卓に向かった。


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