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死を見つめる瞳  作者: 自由の梨
2/10

運命の日

 翌日百合愛は朝一で駅前の内科にかかった。体のだるさはさらに増しインフルエンザのような症状が出ていた。おまけに痛みを伴う発疹が体にできていた。

 百合愛からの話を聞いた医師は症状から「手足口病ですね」と答えた。

「夏場に多いんです手足口病は。成長してからなると重症化することもあるので1週間分お薬お出ししますので必ず飲みきって下さい」

 医師が淡々と話すので百合愛は質問した。

「明後日から修学旅行なんです、行けないですよね」

「手足口病は飛沫感染でうつります。修学旅行は行かないのが賢明でしょう。先にも述べた通り重症化することもあるんです」

「そうですか」

 百合愛は心底残念そうに答えた。


「ただいま」

「お帰りなさい、お医者さん何だって?」母が迎えてくれて訪ねた。

「手足口病だって、修学旅行も休めって。もう最悪」

「そうなの、残念ねぇ。食欲があったらおかゆ作るから食べて」

「ありがとうお母さん。でも部屋で休む」

 そう言って百合愛は自室のベットに着替えて横になった。

 楓と真弓にはメッセージアプリを使って修学旅行に行けなくなったことを伝えた。

 楓からも真弓からも残念がる返信が届いた。

『お土産期待してる!』とメールに返信しておいた。


 そして修学旅行当日の朝をむかえた。楓と真弓双方からメールが届いていた。

『じゃあ行ってくるね!お土産期待しててね』と楓。

『百合愛の分まで楽しんでくるよ、帰ったら沢山お話しようね』と真弓。

百合愛は『楽しんできてね!』と返信しておいた。

 返信した後は怠くて二度寝してしまった。百合愛が目覚めたのはお昼過ぎだった。

 とりあえず起きられそうだったので、歯を磨いて顔を洗った。

 母親がたずねてきた「体の具合は大丈夫なの、おかゆ作ろうか?」

「何とか大丈夫、熱も下がってきたし。おかゆ食べるよ」

「わかった」そう言って母親はキッチンに向かった。

 テレビでは昼の情報番組が放送していた。普段は見ることのできない番組だ。

 するとチャイムが2度なりニュース速報の文字が出た。

『羽田空港から那覇空港に向かっていたジャンボ旅客機が消息をたった模様』

「那覇空港…」百合愛の脳裏に嫌な予感がよぎる。

 まさか自分の学校とは関係ないだろう。と気持ちを落ち着かせた。

 だが母親がおかゆを作り終えリビングに来た時、テレビの放送が報道特別番組に切り替わった。ニュースキャスターが原稿を慌てた様子で読み上げる。

「ここで緊急のニュースをお知らせします。羽田空港から那覇空港に向かっていたジャンボ旅客機が海上で消息を絶ちました。この旅客機には神奈川県立青園高校の修学旅行生ら300人以上が搭乗しており…」

 百合愛はおかゆを食べることができなかった。

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