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第七話 ファイリング機能

紙が悪者っぽいですが、被害者ですので!

人攫いを助ける筋合いは、ありません。


屑女に隷属の魔道具を装備させたので、ここにいる連中は無茶はしないだろう。

データシート改変による隷属も機能しているが、この世に絶対と言うのは無い筈だからな。

絶対とか完全と言うのは、概念で存在するだけだ。理想主義者などが好んで使いたがるが、生憎俺はおっさん何で、現実主義者なんだよ。


お面が保存データのチェックなどは出来るので、俺が時間を稼ぎつつ確認をして貰ったのだ。お面は、データシートの改変は出来ないけどな。

一応、日本に戻った時にも保存データのチェックはしているが、世界の狭間を移動する時に影響を受けて、内容が変質する可能性を考え、異世界に戻った時に確認したのだ。


紙 『お面よ。屑女他チリ紙に紙変換した連中のデータは、変化あったか?』


お面 『特に変化なしでやす。次元転移門を使用しても、データシートへの影響は無いと判断しても良いと思いやす。』


紙 『わかった。屑女が第一王女なのは、間違いないようだ。本人や周りの発言と、データシートの情報に食い違いが無いからな。』


お面 『旦那、あの機能の確認をしましょうや。』


紙 『わかった。こっちの世界の物には触りたくねーが、仕方がない。必要なこととは言え、屑女に腰掛けて、剣触っちまったからな。直接触らないように、革手袋はしているけどよ。』


お面 『旦那のデータシートに変化は無いですぜ。』


紙 『刃物程度なら、影響ないか?まあ、普通の刃物みたいだからな。この世界特有の魔法の効果があるような物だと分からんが。』


お面 『取り合えず実績として、隷属の魔道具とやらは問題無しでは?』


紙 『ああ。ただサンプルが、一つだからな。運が良かった可能性もある。かと言って、べたべた触るわけにもいかん。』


読者の皆さんは、創平とお面が何故こんな会話をしているのか、お分かりだろうか?

創平もファンタジー小説やライトノベルを読んだことがあるが、異世界と日本を行き来できる場合の問題が、あまり描写されていないのが気になっていた。

細菌やウイルスもそうだが、魔法が存在する世界では、主人公が魔法を使用したがると言うことに疑問を持っている為、こういった確認をしている。これは、地球では存在しない魔法などを使用したり、触れたりすることによって、自身の肉体や精神と言ったものが変質し、地球環境で生存が可能なのか判断できないからだ。異世界での生存に適合することにより、肉体が地球環境に適合しなくなり、戻れなくなることを憂慮したのだ。

創平以外の召喚勇者は日本に戻る手段が無かった為、こちらの世界に適合することを選択したのだろうが、戻れる手段があるので慎重になるのは当然だ。他人を隷属可能だからと言って、ハーレムを作るなど言語道断。交配可能な実績はあるようだが、確証はない。リスクコントロールは必要だろう。性欲優先の青少年とおっさんは違うのだよ。

既に”特殊能力:紙”を持ってしまっている為、日本に戻った場合の影響を最小限に抑える必要もある。

余計な厄介ごとは、小市民は抱えたくないのが本音だろう。


紙 『よし、紙変換のファイリング機能を確認だ。』


武装解除した武器をポケットに入れるふりをして、紙変換し(今回はメモ用紙A6サイズ)、ファイリング機能と言うので、データ化し保存した。これは、通常のデータ保存と違い、物質自体をデータ化する処理だ。異世界物小説でお馴染みのアイテムボックスみたいだが、処理に手間がかかるのでめんどくさい。データシート改変で、そう言った能力も追加できるだろうが、出来るだけ余計なことはしない方が良いと判断した。


白髪頭 「異世界にもマジックバッグのような物があるのか?歴代勇者は、異世界に魔法は無いと言ったそうだが…。」


白髪頭が、ファイリング機能を使うのを見て呟いた。

ここは、肯定も否定もしないで黙っている。

反応しないのも大人の対応だ。相手が勝手に勘違いするなら、それでいい。

白髪頭は気付いていないが、マジックバッグとやらが、この世界に存在することを暴露している。


さて、ファイリング機能で武器は保存したので、必要な物を保存データから複製して出すとしよう。

これも処理が面倒だが、便利ではある。コストも不要だからな。

ロープとポケットナイフを複製して取り出した。勿論、ポケットからだ。特殊能力の効果範囲内なら、どこでも出せるが、マジックバッグから出していると思わせる方が良いからな。


紙 「おい!屑女と白髪頭。他の連中を後ろ手で縛れ。それと屑女を姉上と呼んでいた女!こちらへ来い!」


屑女の妹なら、女も王女だからな。部屋を出るのに、こいつを盾にするのが現実的だろう。

後ろ手に縛られた状態で、女が目の前に来た。


紙 「お前を盾にさせてもらう。人攫いなど信用できないからな。発言を許可するので、俺を攻撃しないように命令しろ!わかったな?」


女 「はい。勇者様の言うことは、ごもっともです。皆の者、勇者様に一切の手出しは無用です!分かりましたね。」


お面 『旦那。効果範囲が半径150mになりやしたぜ。どうやら、特殊能力を使うと効果範囲が広がるようですぜ。』


紙 『そうなのか。あまり範囲が広くなっても悪影響が出てきそうだ。データシートに、その辺の情報は?』


お面 『今の所、情報は無えです。』


紙 『わかった。定期的に確認を頼む。』


お面 『了解しやした。』


効果範囲を任意で調整可能にした方が、良いかもしれない。

データが増えすぎて、処理できないとかありそうだし。


屑女 「ご主人様。縛り終わりました。」


紙 「わかった。屑ども!部屋から出ろ!お前らの親玉に会いに行く。案内しろ!」


屑女とその妹を盾にしながら、部屋を出ることにする。余ったロープとポケットナイフは回収済みだ。

屑の親玉の国王は病人のようだが、病原体をデータ保存できれば、それをばら撒いてやる。王族が罹患したぐらいだ。きっと強力な病気だろう。


…性病とかは勘弁だけどな。後、うつらない病気だと、意味が無いけど。


そうそう、自分のデータシートを確認した時に分かったのだが(”データシート詳細表示”ってのがある)、召喚勇者は、こちらの世界において、かなり強化された存在になるようだ(イメージとしては、超人だな)。病気にならないし、怪我をしてもすぐ回復するようだ。まあ、データシート改変で、俺も対策はしているけどね。

情報だけで確証が無いのは、結構恐怖があるが仕方がない。一応、使い捨てマスクを複製して装備するとしよう。

効果があるかは、不明だがね。


二度と召喚する気にならないよう、嫌がらせするのが目的だからな。

どんな三文芝居をするのか見ものだぜ。

忍者みたいな刺客が出るかな?そう言ったのも想定済みで、対策はしてある。


さあ、覚悟完了だ!

異世界の屑どもに、目にもの見せてやる。



やっと召喚部屋から出ます。

あ、魔族の攻めてくる周期と勇者召喚魔法陣の使用条件が揃うのは、必ずしも一致するものでは無い設定です。

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