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001話 ホワイハウスにて

1942年6月6日 『アメリカ合衆国 ワシントンDC ホワイトハウス』


「大統領閣下、我が艦隊はミッドウェーの海戦で敵を撃退する事に成功致しましたが、その代償は大きく壊滅致しました」


 おいおいおい、スティーブ勘弁してくれ!

 いやスティーブじゃなくてキングだけどさ。

 内心で一人ボケツッコミしてる場合じゃぁない。


 取り敢えず深刻な表情を取り繕ってキング大将の報告の続きを聞いた。

 ミッドウェーに出撃した我が方の空母は3隻全部が沈められた。

 だが、敵の空母を8隻中、主力となっていた大型空母を4隻沈める事に成功した。

 敵はミッドウェー島の占領を諦め撤退。

 「ミッドウェー海戦」は戦略的にも戦術的にもアメリカ海軍が勝利した。

 

 ……しかし犠牲が大きすぎる。

 

 オゥ! ジーザス!

 どういうことだ?

 何故、歴史が変わった?

 自分は海軍には何もしてないぞ。


 陸軍ならマッカーサーを更迭したけど。

 マッカーサーがいたら戦争が長期化する。

 だから排除する事にした。

 

 マッカーサーはマスコミを使うのがうまい。史実では自分を悲劇のヒーローに仕立て上げ、国民の人気を取り付けてフィリピン失陥の責任を問う事を難しくした。

 その結果、そのままマッカーサーを使わざるを得なくなり、到来したのは海軍と陸軍の対立の先鋭化と、攻勢軸が2本となって戦力が分散し作戦が複雑化した事と、フィリピン奪回戦への拘りだ。

 おかげで戦争は長期化し犠牲も多くなった。


 だが、今回の歴史はそんな事にはさせん。

 この自分がルーズベルト大統領になったからには、戦争を無駄に長引かせる気はない。

 寿命の尽きる前に戦争を終わらせてやる。

 

 だから今回の歴史ではマッカーサーを彼の得意技で逆に封じてみせた。

 大統領権限をフルに使いマスコミに便宜を使ってフィリピンに内密に送り込み実際に何が起きているのかをつぶさに見せ、記事にさせたのだ。


 その結果は…

 コレヒードル島要塞で引き籠りの生活をして将兵から愛想を尽かされているマッカーサー将軍への議会と国民の非難は凄いものだったよ。

 

 おかげでそんな人物をフィリピン防衛の責任者にしていた自分の任命責任についても国民と議会から非難の声が上がってしまったが、まぁそれは仕方がない。


 ただ逆にマスコミには、秘密は持たない大統領と、受けがよくなった。 


 他に粛々と進めているのは後世に公表される事を前提とした日記を書いているだけだ。

 

 日記には日本から手を出させた形にして戦争に突入しようと、フィリピンから囮の船を出して日本に最初の一発を撃たせる計画だったと正直に書いた。


 キンメル太平洋艦隊司令長官の日本艦隊のハワイ攻撃は能力的にあり得ないと言う言葉を信じていたとも書いた。自分の信頼するその道の専門家の言う事なのだから、まさかハワイが攻撃を受けるとは夢にも思わなかったと書いておいた。

 日本軍はフィリピンに来るものと考えていたとも書いた。


 くっくっくっ。これで後世の歴史修正主義者どももルーズベルト大統領がハワイ攻撃を知っていたなんて陰謀説は主張できまい。くっくっくっ。

 まぁ囮船を出すという陰謀については自ら認める事になるが。


 いや、いや、いや、今はそんな事はどうでもいい。

 それより何故、ミッドウェー海戦の歴史が変わったかだ。

 こちら(アメリカ)側に歴史を変える要素は無い筈だ。自分は何も変えていない。


 ならば歴史が変化した要素は……日本側にある事になる。


 ……待てよ。おいおいおいおい!

 まさか、これはあれか? あれなのか?

 また、自分が二人いるのか?


 いつぞやは、自分が同時に二人いた。

「伏見宮博恭王」海軍軍令部総長と「閑院宮載仁親王」陸軍参謀総長となっていた。 

 分裂したと言うか、二重存在と言うか、多重存在のような形で自分は2人になって存在していた。


 今回も同じか?

 また、2人いて、しかも今回はアメリカと日本に、敵と味方に分かれているのか?

 だとしたら今回は自分VS自分なのか?


 ならば日本での自分はどの地位にいる?

 

 敵は8隻もの空母を集中しアリューシャン方面への作戦は行っていない。

 つまり第2機動部隊を南雲機動部隊に参加させ兵力の集中を行ったと言う事だ。 

 それは自分が山本五十六連合艦隊司令長官の時に使った手だ。

 

 ではまたもや山本五十六連合艦隊司令長官をしているのか?

 いや空母を集中させる事ぐらいなら他にもできそうだ。

 連合艦隊司令部の幕僚かもしれない。

 もしくは軍令部にいるのかもしれない。

 

 ともかく面白くなって来た!


 まっそれは置いておき、今は善後策を講じなくては……


【つづく】

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