兄妹とお菓子の家
ヘンゼルとグレーテルは手をつないで、二人で森の中をすすんでいきます。あるいて、あるいて、すすんでいきます。
すると、だんだんと歩いていくにつれて、あまいかおりがつよくなってくるのでした。そして、森のようすもかわっていきます。
「お兄ちゃん、この草、アメでできているよ!」
「ほんとうだ……! この木も、おかしでできている。森の中に、こんなところがあったなんて!」
なんと、森の中の草や木が、あまいおかしでできているのです。
ためしにヘンゼルがかじってみると、口の中にあまい、おかしの味が広がります。
「すごい、ほんとうにおかしだ……」
「お兄ちゃん、見て!」
「ん?」
グレーテルが指をさす方をみると、そこにあったのは、お菓子の家。
屋根はケーキで、壁はパンで、窓はさとうで。すべてがお菓子によってつくられたお家が、そこにたっていたのです。
「すごい、すごいよお兄ちゃん!」
「行ってみようぜ!」
二人は、まっすぐに家へとかけよって行きます。お菓子の家のちかくへ行くと、よりあまいかおりがしてきました。
グレーテルは、ぱくりとひとくち、お家をかじってみます。
「あまくておいしい!」
「……そうだ! グレーテル」
「なに、お兄ちゃん」
そのようすを見たヘンゼルが、何かを思いつきました。
「ここに住もうよ! ……そうしたら、おかしもたくさんあるし、お水は川まで行けばのめるし」
「そうね、そうしよう!」
うなずきあった二人は、お菓子のお家の中へ入ろうと、とびらへと手をかけます。
ゆっくりと押しあけて中へと二人は入ります。
「わ、すごい!」
「ぜんぶ、おかしだ……!」
二人は、驚きました。なんと、お菓子の家は、家の中もすべてお菓子でできていたのです。いすも、つくえも、ベッドも、なにもかもがお菓子でつくられていました。
「だれもいないね」
「そうだな……。だれもいないんだったら、使ってもいいだろ」
「……そうだね!」
そうして、居場所を無くした二人は、このお菓子の家に住むことにしたのでした。
ひととおり、家の中をあるき回ったところで、グレーテルがおおきなあくびをしました。つられてヘンゼルもあくびをします。森の中をあるいてここまで来た二人は、つかれてしまったようでした。
「あたし、ねむたくなってきちゃった」
「おれもだ……。ベッドで、ねるか」
「うん」
そう言うと、ヘンゼルとグレーテルは、お菓子のベッドに、寝ころびました。あまいかおりが、二人をつつみます。
そしてそのまま、二人はぐっすりとねむってしまったのでした。




