表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
1/34

無数の屍の上にて

※この作品で使われる「戦犯」は実際のものとは異なることがあるのであらかじめご了承ください。また、ご要望等あればなんなりと。

眼前に広がるはすでに肉塊と化した

夥しい数の兵士の群れ。

嫌悪感を呼び覚ますこの臭い。

己の嗅覚を執拗に刺激するその正体は

死の臭いに他ならなかった。


―何度経験しようとこればかりは慣れることはないだろうな。


戦場で一人佇む少年は胸の内に葛藤を抱え、

しばらく身動き一つ取れなかった。


―みんなを…。俺がこの手で…。

俺もここで果ててしまおうか。

そうすれば、もう…。


罪悪感と絶望と苦痛を練り合わせたような

そんな気持ちが沸き上がる。

自然と手に持った小刀を胸に突き立てていた。


あとほんの一瞬この手を引き込むだけでいい。

たったそれだけでこの苦痛から解放されるのだ。

迷うことはない。死ぬ覚悟は初めからできていたのだから。


『トーリ!』


頭の中で愛しい声が響く。


「だめだ、まだ、死ねない。彼女を…。」


そう呟くと彼は前方にそびえ立つ鉄の巨城を見据え歩き出した。



評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ