プロローグ
趣味で初めて書いた小説なので、なにか間違っている所や改善点などを教えてくださったら幸いです。不定期な投稿となるかもしれませんが、基本的には日曜の夜には投稿しようと思います。
少し都市伝説の話をしよう。あるゲームのβテストで、運営が意図して倒せないはずのレイド級(複数パーティ推奨)クエストを作ったらしい(はずの、というのは事実、倒されてしまっているのだが)。そのレイドクエストを制したパーティーはたったの2つ。そう、2つだ。運営がお遊びで、倒せないモンスターをたった2つのパーティで倒してしまったのである。そのパーティーには多大なる能力がクエストのクリア報酬として用意されていたらしいのだが……そのパーティーも正式版からは全く姿を見せなくなり、2ヶ月が経過していた。故に都市伝説となったのであった。
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ある冬休み前で帰宅時間が早くなった時間帯に
「なあ、GOD WORLD ONLINEって知ってるか?」
と、俺の幼なじみの黒峰快人が学校の帰り道、唐突に尋ねてきた。それに俺、西条晴昭が
「うん?……ああ、確か、少し前に新しく出たVRMMORPGで、かなりの出来だと評判になって、すぐに売り切れたやつだろ?でも、なんで今そんな話するんだ?お前、もうやってるのか?」
と答えたら
「ちげぇよ。逆だ、逆。今からやろうぜ!今から!お前、確かβテストに応募したけど当たらなかった……とか言って嘆いてただろ?」
と、無駄にイケメンスマイルで返してきた。……殴りたい。
「今、お前からものすごく殺気を感じたような気がしたんだが……」
と、快人が身震いする。それに俺はニッコリと
「大丈夫、それ本当だから。」
と即答する。
「うん、お前が何で怒っているのかは分からんが、少し落ち着こうか。」
「で、なんでそんな事いきなり言い出すわけ?」
「それはな……これだよ!」
とジャジャーンと効果音が出そうな感じでカバンから取り出したものは………
「お、おい…それって…」
「そう!GOD WORLD ONLINEのソフトだよ!」
そう、それはさっき話題に上がっていたゲームのソフトだった。
「……盗んできたのか?」
「違うわ!普通に買ってきたんだよ!」
「分かってる分かってる。冗談だって。」
「はぁ……まあいい。俺が買えたんだから、お前も買えるはずだよな?在庫もまだありそうだったし。」
「……そうか、なら、買いに行こうかな。」
「なら、さっさと買って一緒にやろうぜ!」
「……はいはいわかったよ。」
「約束だからな!」
と、いつもの分かれ道に差し掛かったので、そこで話を切り上げてそれぞれの家に向かう。
「ただいまぁ」
と家に帰ると
「あ、お兄ちゃん。おかえり~」
と妹の舞衣が返事をした。相変わらずテレビの前でスマホをいじっていた。
「あれ?母さんは?」
「母さんなら買い物〜」
「そうか……なら母さんに俺は今日夕飯いらないって言っておいてくれるか?」
「?なに?お兄ちゃん買い食いしてきたの?それなら、私にも買ってきても良かったのに……」
と頬を膨らませた。
「あ〜……ゲームやるんだよ。快人に誘われてな。」
「ふーん。お兄ちゃん、高2なのに遊んでていいの?」
「いや、中3で受験中のお前に言われてもなぁ……」
「うっさい!私はもう行く高校決まってるし、余裕で受かるから遊んでていいの!」
そう、実際、うちの妹は完璧人間という部類だ。勉強や運動が何故か人並み以上に出来るという。だから、実際に平凡な俺の方が大学に受かるかが心配になってきていた。
「はいはい、賢い賢い。じゃあ、俺は部屋に戻るな。」
「むぅ……」
妹はむくれながらも俺に絡むことを諦めてくれたようだ。そうして俺は、ゲームをするために自室に向かった。