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東方創生判  作者: オリーブ油
紅魔館編
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第四審 幼き吸血鬼姉妹の巻

Barato,sPROFILE2

茨戸秀(15歳)

■身長 170cm 体重 50kg

■眼の色 黒 ■髪の色 黒  ■宗教 仏教(結構くわしい)

■出身地 日本 ■特技 工作

■好きな食べ物 リンゴ 鮭 ■好きな動物 カエル 

■嫌いな動物 カラス(頭が良くて気に食わない)

■将来の夢 医者(能力も使う気でいる)   

「あの女、戦い慣れていた。相当訓練されている奴しかできないはずだ。あんなナイフ投げは」

 いろいろと考えながら治療を始めた。治療と言っても自分は医師免許も無ければ、医学知識も無い。ただ傷を埋める。それだけである。

 自分の体は生命を持っている。生命を与えるのが自分の能力。つまり欠けた生命を補うわけである。すこしの出血は、自分の能力を応用し止められる。次に、軽めの石を左手に変え手首につなげた。まだ少しぎこちない感じだが、時期に手首に馴染んでくるだろう。

「さて、今度こそ吸血鬼に会いに行くか」

 女を肩に担いで屋敷へ向かった。流血のせいか少し足元がふらふらする。血は能力で作れない。時間が経ち、血が作られるのを待つしかない。女にも治療は施した。施したといっても破損した部分は無いし、背中の痛みを和らげただけだが。やはり遠距離から攻撃される痛い。自分も何か飛び道具を編み出さなければ。

 先ほどの門に着くと、門番が起きていた。やはりさっきの暴動で起きたらしい。

 自分は女を門の前で下ろすと、門番が声をかけてきた。

「そこの君、ここから先は門番の私が通しませんよ」

「お前、この女の仲間か。やむを得なかったんで倒した。だが、安心しな。まだ息はある。安静にすれば助かるかもしれん。早く介抱してやんな」

「咲夜!?いったいあんたどうしたのよ?」

 中国門番がメイド女に詰め寄る。そのすきに、門の奥へ入っていった。先ほど塀の上で見た屋敷の中庭が広がっている。実に綺麗にしてあり、噴水まである。花壇もあり鮮やかな赤い花が咲いていた。

 屋敷のドアを開けると、目の前に小さい女の子が立っていた。透き通るような白い肌をしている。

「やあ、こんにちは。オレは茨戸秀。レミリア・スカーレットさんはどこにいるんだい?」

 女の子の口が開いた。そのとき彼女の口元がすこしキラッと光ったように見えた。

「レミリア?それは私の事だけど、何しに来たのかしら?」

「おっと失礼。あなたでしたか。地獄から上司の命令で来たんです。挨拶をしてこいとね(なんだと~!この幼女が吸血鬼かよ。威厳も何も感じなかったぜ。よく見りゃあ背中にコウモリみたいな翼もあるし、牙が生えているのを考えれば、口元が光ったように見えたのも説明がつく。めんどくさいことになっちまったぜ......)

「そう......でもまさか、そのためだけにうちのメイドを倒したの?」

 ドキッとした。まさかもう、さっきの件がバレていたのか。実際に見ていたのだろうか。吸血鬼の視力は知らないが霧の中背中の小さな羽で飛んで見ていたのだろうか。

「どこで、それを?」

 恐る恐る聞いてみた。彼女はニッと笑うと、

「私のメイド、十六夜咲夜(いざよいさくや)は狙った標的は必ず仕留めるの。侵入者は100%捕まえられるわ。だけど、あなたは今生きている。あの子は侵入者を見失うとか逃げられたりするような子じゃない。だからわかったのよ。さあ、立ってるのもあれだから中にはいっていいわよ」

「失礼します(この女言動、見た目、性格、すべてにおいて子供みたいな感じだぜ。だとしても、自分の部下を倒されて怒らないのか?心が寛大な人(人ではないが)には見えねーし、何か理由があんのか?)」

 紅魔館という名前だけあり中の内装も赤い絨毯や赤いカーテン、赤い壁に赤いドアという赤づくしである。中は外から見るより広く感じた。廊下を歩いているが自分と吸血女以外誰も歩いていない。人の気配も無い。自分は能力で生命の強さを感じることができ、自分を中心とし半径約15mの円にいるすべての生物がどんな動きをしているかわかるのだが、今感じる生命は人間以外の生命が3人程度しか感じない。

「ここが私の部屋。さあ、入って」

 少女はドアを開けて中に入った。続いて自分も部屋に入る。小さめの家具が置かれてあり、子供部屋のようである。

「まあ、ソファに座って。話でもしましょう。退屈していたの。リンゴでも食べる?」

 自分はゆっくり腰を下ろし、リンゴをもらった。左手ての痛みは引いていなかったが、リンゴと聞いて痛みも忘れてしまった。自分はリンゴをナイフで剥いていると、少女が質問を投げかけた。

「あなた。ココじゃ見ない顔だけど、どこから来たの?」

「もともとオレは、この世界の人間じゃあないんだ。あんたらの言う外の世界から来た。」

「たしか、地獄から来たって言ってたわね。じゃあ、四季映姫の部下ってことかしら」

「あんた、映姫様を知っているんスか」

「彼女はときどきこの世に来るんです。教えを説くとか言ってね」

 リンゴを食べながら話を聞いていた。自分はリンゴが好きだ。この幻想郷のリンゴも自分の生きた世界と変わらないようである。ナイフは特徴的な装飾が施されている。西洋の物だろうか。それも中世の騎士がいたような時代の物といった感じである。だとすると、今から500年ほど前の物となる。

「この果物ナイフ......相当年代モノですね」

「ああ、それ私の生まれた頃のやつだから。」

「ええっと...。じゃあ、あんた500歳位なのか。随分若いっスね(500歳つったらもうババァどころか化物じゃあねーか!)」

「ナイフの形だけ見てわかったの?すごい!さすが咲夜を倒した程の男ね。ねえ、そんなに頭も良くて強いあなたを見込んで頼みがあるんだけど」

 自分は頼みと聞くと、とりあえずイエスと言ってしまう。要件が何であろうと頼まれると何がなんでもやらねばと思ってしまう。女性から頼まれれば、なおさらそう思う。

「何をするんですか?できれば怪我をしないことが良いですけど」

「うちの妹の遊んでやって欲しいの」

 妹と聞いて思い出したのは、自分の弟だ。自分には2つ下の弟がいてよく遊んでいたのを思い出した。自分の母はドイツと日本のハーフで自分と弟はクォーターになる。自分は日本人よりだったが、弟は髪の色も眼の色も、肌の色も母にていた。弟は結構モテて女性人気も高かった(当然オレ様ほどじゃないがねという確固たる自信の程はあるが)。

「あんたの妹と遊んでやったら、何か貰えるのか」

 大きい態度で言ってみた。誰でもこんな交渉になったとき一度はこんなプロの殺し屋みたいなセリフを言ってみたいのだろうと思う。

「何か欲しいものはある?できる範囲で用意させましょう」

 流石は屋敷の主といったところであろう。この女は幻想郷でも大きい権力を持っているに違いない。

「じゃあ、何か武器になる物と、工具をもらおうか。あと、腕時計もあるとありがたい」

「お金じゃない物を要求するなんて、珍しい人ね。契約成立ね。妹は地下にいるわ。じゃ、よろしく」

 言葉どおり地下に向かった。地下への階段は石で出来ており冷たい空気を感じた。部屋がいくつかあるが物置とかに使われているだけとても日常的に人が住む空間ではないと思った。こんなところに、主の妹がいるんだろうか。

 すると、一つだけ明らかに違う部屋があった。部屋というよりは牢獄の一つと言ったような感じだが、中で明かりが点いていて影が動いている。ドアは固く閉ざされ固まった血が付着していた。

「(やはり、妹も吸血鬼ということか。血をときどき与えられているんだろうか)」

 ドアの鍵をとりあえずカエルに変えた。何も意識しないで動物にしようとすると何故かカエルになる。理由はわからないが、きっと前世で何かカエルと縁があったのだろう。

 中に入るとさっきの姉に似ている吸血鬼が遊んでいた。見た目は姉よりも小さく見え、10歳もいかないほどに見える。

「あなたが妹さんですね。お姉ちゃんから遊んであげてって言われてきました。よろしくお願いします」

「お兄さんがわたしと遊んでくれるの?」

 姉と同じような透き通るような白い肌で口には牙が見える。違うのは羽が枝のような物と宝石のような物で出来ていることだ。

「オレ、茨戸秀。秀って呼んでくれ。君、名前は?」

「フラン。フランドール。」

「フランちゃんか......何して遊ぶ?いつも何して遊ぶんだい」

 次の瞬間、少女がとんでもないことを言い出した。

「いろんな物を壊してる。見てて」

 少女はさっきまで遊んでいた積み木を見ると、積み木に向かって手を握った。自分には何をしているのかわからなかったが、答えはすぐにわかった。次の瞬間、積み木が木っ端微塵に爆裂したのだ。

「今......フランちゃんが、やったのか...?」

 少女は笑いながら言った。

「そう。なんでも壊せるのよ。生き物でもね。あなたも壊してみたいな」

「(今、わかった...。ここに送り込まれたのは罠だ...。あの女の仕組んだ罠だ...)」

 自分はこの部屋で始末されるように仕向けられたわけだ。このままぼ~っとしていればさっきの積み木と同じ末路をたどるだろう。

「やるしか無いな......。やらなきゃやられる」

「さあ、遊びましょう。お兄さん」

 少女の目は紅く光っていた。

「ああ、遊ぼうか。命のゲームをな」

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