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~天使の贈り物~  作者: 麦茶のれんぴっか
Ⅳさぁ、君は何を失くしたの?
20/21

18:別れの時は静粛に。

ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい、ごめんなさい。

とバイオレンスに謝ってみた。

--反省中---

 

  17.別れの時は静粛に。






  クリーム色の四人部屋。

  清潔な、でも不安になるような消毒の匂い。

  朝のニュースを写している黒い縁のテレビ。


「……哀れだ」


   普段、といっても余り長く居た訳ではないけれど、友達として……異性としての記憶は君が初めて。

 そんな君が普段出さない大きな声を出した。

   喉、大丈夫かな?


「……そ、かぁっ。」


  哀れだ。と言われても、私には『神崎翼』君は趣味も性格も誕生日も知らない、親戚以下の存在なの。

  彼氏、と一口に言ったって、仲が悪かったかもしれない。

  別れる一歩手前だったかも知れない。


  神崎翼より一之瀬連翔の方が、連翔が――好き。なのに。

  逢って見なければ分からないかも知れないけれど……。


「翼…だっけ? そいつは樹の事をずっと待ってるんでしょ」

 

  知らないよ。

  だって一度もお見舞いに来てくれなかったんだよ。

  メールさえ来なかったんだよ。


「―――分かった。バイバイ、一之瀬君」


  明日、退院しても大丈夫カナ?

  今の私は、前の私じゃないんだよ。神崎くん。

  それでも私を愛せるならば……やってご覧よ。

  私は君を好きになるかもしれないけれど……きっと君は私を嫌いになる。


「樹っ……」

「何?」


 自分でも驚くくらい冷たい声が出た。

 ゆっくりと後ろを振り向く。

 そこには

 ゆっくりと後ろを振り向く。そこには傷ついた顔でこちらを向いている連翔。

 

「大丈夫、また会えるよ」


 にこり、と微笑んで。

 また……逢おうね?




 * * *


 


「――・――様。本当に…宜しいのですか?」


 果ての無い、漆黒。

 

「仕事を寄越せ……アイエオス」


 そこに……膝を抱えて座る髪の長い男。

 どこか窶れ気味の…。


「しかし……っ」


 そこには、同じく黒尽くめの青年。

 何事か言い募る。


「黙れ……我の犠牲者はどこだ」


 その声には優しさなど欠片もなく…ただ深い慟哭と、悲しみだけがあった。

 威厳に満ち溢れたその姿、その声。

 

 


その空気。


彼はもう……求めない。

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