表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
~天使の贈り物~  作者: 麦茶のれんぴっか
Ⅳさぁ、君は何を失くしたの?
19/21

17:君がいい

無事京都研修から帰ってきましたぁ!

生八橋うめぇぇ(Д`*)

美味でした。しかーし麦茶は餡子が嫌いです!じゃぁなんで食ったといわれた方、おっしゃるとおりでございます……。

 16:君がいい。 



 その日、連翔はいつまで経っても帰ってこなかった。

 余りにも遅いもんだから、私はダルイ体を起こし、談話室へと足を運んだ。


 ――すると。

 

 連翔は、談話室の緑色のソファーで丸くなって寝ていた。


「かわいい……」


 つい、呟いてしまう。

 連翔は一見、女の子と間違えられるほど綺麗なのだ。

 本人は、“可愛いね”と言うと不貞腐れるけど本当に可愛くて、綺麗なのだ。

 指先で目にかかった前髪を払う。

 すると出てくるのは包帯で覆われた右目と閉じられている左目。

 痛々しいはずなのに、なぜか芸術作品のようで……って!私何してんの!?

 変態さんみたいじゃない!

 独り悶々としていると、


「んっ、」


 と、連翔の瞼が僅かに動き、唇から吐息が漏れ始めた。

 ――うわ、エロ。

 女の私でさえそう思う。

 どんだけな色気を醸し出しているのだろう?


「な、ん……で……」


 ん?何をいっているんだろう?

 よく分からない。


「お……れ、じゃ……」


 うー。じれったい!

 起こそう。本来の目的はそこにある。

 ゆさゆさと身体をゆする。

 

「起きて―、もう夜ー昼寝、長いー」


 ぐだぐだと、言い連ねながらゆすりまくる。

 初め連翔は、眉を顰めて不快そうな顔をしていたが、だんだん覚醒してきたようだ。


「……誰……」 


 細く目を開けながら、連翔は言った。

 

「誰って……わたし、(いつき)です」


 どうやら寝ぼけているようだ。

 

「ちょっと、起きなさいよ」

 

 いくら、気が長いと言っても、いい加減苛々してくるというものだ。

 ぺちぺちと頬を叩く。

 すると、手で払う仕草をした。

 子供かお前は。


「寝ぼけてるでしょ? 連翔ーー」


 私が呆れ半分、顔を覗き込むと……。


「うるさい……」


 と言って……え?

 唇に柔らかい感触。

 ――え、え?何?


「れん、しょ……」

「まだ……足りない?」


 そういって嫌に整った顔を近づけてくる。

 嫌、待て。

 何が起こっている?

 もしかして、連翔の素はこれ?

 天然たらし?

 ……。

 埒があかない……。

 だから、私は顔に満面の笑みを張り付けて、


「起きようか?」


 と()()()起こしてあげた。



 * * *


 次の日。


「おはよ~」

「お、おはよう」


 私は、昨日の事を引きずるつもりはないけれど……。

 あっちは、満々、みたいね。


「あ~、昨日の事だけど、……事故ってことでいいんじゃない?」


 少し気まずいけれど、そういうしかない!

 私の言葉を聞いて、連翔は吃驚した顔になっていたけれど、そのあと……、


「――彼氏いるって本当か?」


 重々しく、問うた。

 ――来た。

 絶対に聞かれると思っていた。

 私にも良く分からない、彼氏“神崎 翼”のコト。

 逢ったこともない。

 触れたことすら、私の記憶にはない。

 ただ、懐かしい、と言う感情だけ――…。


「そうだけど……私は逢ったことすらない……」


 私がそう答えると、怪訝な顔をする。

 当たり前か……。

 

「記憶を失う前の話だもの……覚えてるはずないでしょう」

「……!」


 連翔は目を見開く。


「だからね……私は別に、連翔でも……」


 私が言いかけたその瞬間、


「駄目だろ……!“翼”が哀れだ!」


 普段穏和で怒鳴ったりしない彼が私に向かって――怒鳴った。

 私は呆然としながらも、その言葉を受け止めた。


評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ