【番外編】Do you teach to me?
私に教えて?
両親を殺した貴方――…。
どーしよう。おかあさんが、息してないよ。
大丈夫。ただちょっと長い眠りについてるんだ。
そぅなの?
そうだよ。だから安心してお休み?
うんっ!わかった!
* * *
優しい光が差し込む。
ふわりと髪をなでる優しい感触。
幸せなはずなんだよ?なのにどうして胸が苦しいの?
痛いの?破裂しちゃいそうなの?鼻がツーンとして嗚咽が止まらないの?
何も怖くないし、痛くもないし……。
嗚呼、悲しいのかなぁ?
「んっんん……あ、さ?」
目を開けると、お父さんよりも若い男の人が私の目の前にいた。
とっても綺麗な人だと思った。灰色の瞳に、茶色い髪の毛。少し冷たい感じのする目だけれど。
でも、嫌いじゃない。
それにこの人の手はとってもあったかい。
「おはよ…う?」
「おはよう」
笑うと、冷たい顔じゃなくなるな。
嬉しいな。嬉しいな。
ただ、その人が笑っただけなのに、とっても嬉しいな。
「おと、さんは?おかぁさんは?」
私が眠たい目で聞くと、
「ん~、天国?」
てんごく。
それは、何?
「心が綺麗な人が死んだら行くところだよ?」
へぇ~。おとーさん達はそこに行ったのか。
じゃあ、ここは天国?
「樹はここで、お父さんたちは天国、かな」
へ?
ぽかん、と口をあける。
なんで?
私も天国に行きたいよ?おとーさんとおかーさんと天国に行っちゃだめだったの?
「だーめ、」
優しいこの人が少し怖く見えた。
私の怯えを感じ取ったのか、彼は優しく笑った。
「ボクは、君の大事な人……」
そうなんだ。
でも涙が止まらないよ?
「泣かないで、お姫様」
「だって、だって……私ひとり置いてかれちゃった……」
私が、ダメな子だったから?
置いて行かれたの?
「樹は、いい子だから……まだ天国に行っちゃいけないんだ……」
そう言いながら、愚図る私を抱きかかえると、
「悲しみは恋愛の次に人生を彩る最高のスパイス、考えて御覧?」
最高の……すぱいす?
「悲しみがなかったら人は幸せがわからない……」
うん?
「だから、ねぇ、樹が悲しいおかげで幸せを感じられる人もいるってこと……忘れないで」
……?
首をかしげて彼の言葉を瞳を閉じて噛みしめ、頭の中で租借するように考えていると、ふっと温もりが なくなった。
吃驚して目を開けると今まで抱きかかえられていた私はカーペットに横たわっていた。
血塗れのカーペットに。
『忘れないで』
『忘れません……』
私の両親を殺した貴方――…
一気に2本!
なぜなら友達の誕生日だから。
関係ねー(ーー゛)