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~天使の贈り物~  作者: 麦茶のれんぴっか
Ⅲ今宵は……
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【番外編】It is I that want to cry.

翼が見た彼女の意外な脆さ?

 そっと、校内を見やる。

 そこには、たくさんの笑顔と幸せで溢れている様に私は見えた。

 だって、皆笑っていたから……とても幸せそうに。


 でも、私はハズレを引いてしまったようだ。


「おはよ、クソ宮~早く死ね~♪」


 第一声がそれって。

 心の中で思う。無視してスリッパをはく。上履きがなくなるのなんて日常茶飯事。

 ま、どうでもいい。

 中学1年生の始まりはサイアクだった。


 * * *


 今日のは流石に……きつかった。

 びしょ濡れのまま帰ってくるわけにもいかず、体操服で帰る。

 とぼとぼとアスファルトを踏みしめる。


「はぁぁぁ~っ」


 帰りたくない。かと言って学校に戻る気はさらさらない。

 そこで、ふと思いついたのが公園。と言ってもほぼ学校の敷地と言っていい。


「見つかるかな?」


 ま、隅っこなら見つからないよね。そう思ってくるりと踵を返す。

 あそこなら、泣けるかもしれない。


 ―――私だって、泣きたい。


 虐められて悲しくないはずがない。怖くないはずがない。

 だって、だって……。なんで私ばかりこんな目に会うの?私が何か悪い事をしたの?

 幼心に思うのは、悲しいという気持ちだけ。

 勇気を振り絞って学校に行けば、『早く死ね』と、お前なんか生きている価値もないと愚弄される。

 

「私だって……私だってっ!」


 傷付かないはずがないのだ。

 毎日、毎日……自分のを再確認させられている気分だ。

 学校では表情を決して変えない、あいつらなんかに泣かされてたまるかっ、と思うけれど……。

 やっぱり、普通の女の子のようにきらきらした世界を味わってみたい。そう思って何が悪い!


「…っ……ひ、っく」


 嗚咽。

 いつの間にか着いていた。

 何がいけなかった。

 私の態度が悪かったか?それとも醜い嫉妬心か……。

 明日が、土曜日で本当によかった。

 泣き腫らした顔を誰にも絶対に見せたくなかったから。


「カサっ」


 ―――!?

 後ろで何かが動いた気がした。

 ばっ、と後ろを振り向くけれど誰もいない。

 ほうっ、と息をつく。


 

 私は、立ち上がって宣言する。

 


「こんなことで泣くなんてバッカみたいだーー!!」


 

 大きい声で言う。

 ああ、すっきり♪


 私は、まだ弱みを見せたくなかった。

 誰にも……。






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