【番外編】It is I that want to cry.
翼が見た彼女の意外な脆さ?
そっと、校内を見やる。
そこには、たくさんの笑顔と幸せで溢れている様に私は見えた。
だって、皆笑っていたから……とても幸せそうに。
でも、私はハズレを引いてしまったようだ。
「おはよ、クソ宮~早く死ね~♪」
第一声がそれって。
心の中で思う。無視してスリッパをはく。上履きがなくなるのなんて日常茶飯事。
ま、どうでもいい。
中学1年生の始まりはサイアクだった。
* * *
今日のは流石に……きつかった。
びしょ濡れのまま帰ってくるわけにもいかず、体操服で帰る。
とぼとぼとアスファルトを踏みしめる。
「はぁぁぁ~っ」
帰りたくない。かと言って学校に戻る気はさらさらない。
そこで、ふと思いついたのが公園。と言ってもほぼ学校の敷地と言っていい。
「見つかるかな?」
ま、隅っこなら見つからないよね。そう思ってくるりと踵を返す。
あそこなら、泣けるかもしれない。
―――私だって、泣きたい。
虐められて悲しくないはずがない。怖くないはずがない。
だって、だって……。なんで私ばかりこんな目に会うの?私が何か悪い事をしたの?
幼心に思うのは、悲しいという気持ちだけ。
勇気を振り絞って学校に行けば、『早く死ね』と、お前なんか生きている価値もないと愚弄される。
「私だって……私だってっ!」
傷付かないはずがないのだ。
毎日、毎日……自分の罪を再確認させられている気分だ。
学校では表情を決して変えない、あいつらなんかに泣かされてたまるかっ、と思うけれど……。
やっぱり、普通の女の子のようにきらきらした世界を味わってみたい。そう思って何が悪い!
「…っ……ひ、っく」
嗚咽。
いつの間にか着いていた。
何がいけなかった。
私の態度が悪かったか?それとも醜い嫉妬心か……。
明日が、土曜日で本当によかった。
泣き腫らした顔を誰にも絶対に見せたくなかったから。
「カサっ」
―――!?
後ろで何かが動いた気がした。
ばっ、と後ろを振り向くけれど誰もいない。
ほうっ、と息をつく。
私は、立ち上がって宣言する。
「こんなことで泣くなんてバッカみたいだーー!!」
大きい声で言う。
ああ、すっきり♪
私は、まだ弱みを見せたくなかった。
誰にも……。