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~天使の贈り物~  作者: 麦茶のれんぴっか
Ⅱ君とボク
11/21

11:闇の名をもつもの

更新数がだんだん遅くなっております麦茶です.。o○

私は学生なのですが!――後輩入ってきてほしくない!切実に願う!

皆入試で落ちろ~!どーせ「おい○○!菓子パン買ってこいよ!」とか言われるに決まっております!……ごめんなさい、でした。では本編をどうぞ)^o^(

11:闇の名をもつもの




闇。何処を向いても――闇。


「アイエオス、“殺戮”を連れて帰ってまいれ。悪魔が夢などを見てはいけない…」

「御意」


闇の中で響く声。

その闇で唯一光り輝くそれは…魂。

数ある命の中の光りある魂。


「…“殺戮”の心を掴んだ“漆黒”はメモリーを消し生かせ。あの“漆黒”は死ぬ運命にはなかった…“殺戮”…優秀な悪魔でありながら何故…?」

「発言の許可を?」

「良い」

「恐れながら“殺戮”は堕天使…ですから…」

「うむ。それもわからんでもないが、まぁ良い!……散れ!我が子らよ!アイエオスについて行くが良い」


闇の中で声は響く。

その声は天空の天使にも届く。


‐‐‐‐‐‐


すーすー。


規則正しい呼吸音が聞こえる。

ここは早朝の教室。本来ならば立ち入り禁止の筈の“第2校舎”(3階建ての“第1校舎”の約2分の1の大きさである)。

その校舎の1階の教室の隅で黒髪を惜しむことなく光に晒し、眠っている少女、通称“漆黒”。


「…む!まだいけるにょか!?……負けないぜよ………すぴー」


ときどき聞こえる寝言は御愛嬌。

まるで光の加護を受けているかのような“漆黒”は名前に似つかず光り輝いているように見えた。

そっと“漆黒”に忍び寄り、額をやさしくなでる。ほんのりと温かいその感触はずっと触っていたいほど心地のいいものだった。


「……お母ぁさん?」


突然発せられた声にびくりと体が反応する。

舌ったらずな口調から見てまだ眠りの中にいるのだと知る。

幸せそうに呟くその姿は、庇護欲を擽られる。


「いや、やだぁ…お母ぁさん……!」


先程まで心地よさげに瞳を閉じていたのに、今は苦しげに顔をゆがめている。

思わず抱きしめて安心させたくなったが…今自分がすることはただ無力に額をなでることだけ…。

彼はただ“漆黒”の額を撫でつづけた。


「闇の名を持つ哀れな少女…今宵…貴方を苦悩の中から救って進ぜよう」


彼の声はただ宙をさまよって、誰にも届くことはなく消えた。





私は、夕暮れの中で目を覚ました。


「ん~……あぁもう夕方かぁ…」


秋の夕暮れは冷える。

寒さに身を震わせながらも、教室から出る。


「それにしても寒いなぁ…今度からホッカイロ持ってこよ…」


次のさぼりの為に用意するものを頭の中で考える。

私は自分の欲望の為ならなんでもできる子です!と自負しております。

もう倉庫的存在になってている“第2校舎”はなんだか図書室の空気に似ていて居心地がよかった。

私は、考え事があるとよく図書室にこもっていた。

でもあそこは危険だ。月夜にばれてしまっているから。駄目だな。

私の考え事とは…


1今後のこと。

2天使と悪魔…所謂「翼」と「月夜」の事

3悪魔の目的について。


大まかにこんなとこ。

これは翼に聞けば分かることだからそこまで悩む必要はないのだけれど。

変な薬を飲まされたり(舌がしびれるアレ)、翼の正体だったり、殺すだの、殺戮だのと、私の日常とはかけ離れた出来事が起こりまくって自分で思っているよりも精神的にも肉体的にも(キスとかキスとか)

疲れていたらしく、近頃眠くて眠くてたまらない。

ダメージそんなに大きかったのかい?自分よ。


そんなことを思いながら校門を出る。

さすがにこの時間帯は遅くまで部活をやっている人かなんかでなければ残っていないだろう。


「はぁ~」


思わずため息が漏れる。


「どーしたの?樹」

「うひゃっぁ!」


いきなりしな垂れかかってくるな!


「んん?やっぱまだ体調悪い~?」


しゃべるなよ。

首筋に吐息かかってくすぐったいです!

毎日私の送り迎えしてくれるのはありがたいけど…行き成り出てくるのはやめろ!

……でも、好都合だ。


「翼、あく…」


まって何が目的なの。と続けようとした時、


「悪魔については答えられませーん」


何故分かったし…。

悪魔は意地悪でした。

天使は教えてくれたのに…。


「そんなこと言われても誓約に縛られてるんです~」


そうなのか。

悪魔も大変なのね。

きっと、人間社会みたいに使えない悪魔はリストラされるんだ。しかもリストラされても再就職の機会がない恐ろしい社会なのかも。

と、私が考え込んでいると


「くん、くん。何だか嫌な匂いがしますな…」

「ちょっ?!何してんの?!」


首筋の匂いを嗅がれていました。公共の場で。


「ぐえっ」


絞めた音。


「みきゃ~」


投げた音。

はい。分かりましたか?皆さん。人を投げるときは背負い投げを行いましょう~。

今回は少し危険ですが襟を掴み自分の背中を軸に投げて見ました。見てください!相手はダウンしていま……、


「樹~誰に説明してんの?」


…せんでした。

そういえばコイツ2階から落としても、絶食させても、血祭りにしても死ななかったしな…。


「そういえば…」

「なによ」

「樹、今日何処でさぼってた?」

「第2校舎の1階の一番隅の部屋だけど?」

「ふぅん…」


なんだ?私のさぼりポイントを掌握して、いざという時になんかしてやろうという魂胆か?

でも、なんだか翼の表情が険しい。

なんだろ。

そういえば…今日余りに昼寝に適した小春日和だったのですこし寝たのだが…。

いつものように悪夢を見ていたのだけれど、今日はなんだか悪夢の前に幸せだった日の夢を見た。


「樹…着いたけど」

「はへ?あっ、ああ…いつもありがと。」


気がつくと家の前だった。

いつになく険しい顔で、


「今日は満月だから…気をつけて」

「?満月だけら何よ?」

「…魅せられないようにねって…」

「はぁ?んなわけないでしょ」


魅せられるって…。詩人かおまえはっ!


「まぁいいや…でも気をつけてね?」


そういって闇に溶けていった。


「なによ…あれ」


呆然としながら見送った。


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