月で食べる月見うどんはなんか一味違う。
彼女は己の給料の低さに後輩と憂いていた。
「あーもう!!なんで私の給料はこんなに低いんだよ!!公社に使える身で、その中でもいつ死ぬかもわからない戦闘部員だっていうのに。」
彼女が言う公社とは地球にて全世界の政府組織結託して作った組織である。
「だって仕方ないじゃないっすか。月の連中支えるのにも色々物資とかわけてやらないといけないんっすから。」
「まったく、月に住ませてる連中なんてさっさと切り捨てればいいんだよ。所詮選別で選ばれずに地球から追い出されてる奴らなんだから。変に人類選別なんてして月に落ちこぼれ共住ませてるせいで状況悪化してんじゃん。公社は馬鹿なの?」
「御上なんてそういうもんっすよ。ただの無能ならそれもいいでしょうが、そういう連中の中にも一部の才が優れていたり、例のギルドみたいに数が寄せ集まって技術だけなら馬鹿にできない奴らもいるんすから。下手に完全敵対するよりも一応の救済処置を残してたまーに拾い上げる方がこっち的にも都合がいいんでしょ、それより聞いたっすか?先輩、例の連中の話」
「えっ?」
彼女がそっけなく聞き返すと後輩は学生のとある者たちの話をする。
「とある高校にですね。私ら公社に敵対しながら地球への帰還を目指してる部活動があるっぽいんすよ。」
「はっ、たかが学生風情に何ができるってんだか」
「いや今はまだ、ただの噂なんすけどね。どうやらギルドの大物さんも深く関わっているらしくて。私たちの同僚も何人かそいつらにやられたみたいでぇ。」
「ふーん。ねぇ、そいつらさ潰したら私の給料昇給すると思う?」
「さぁ?可能性はあるんじゃないっすか?ギルドも関わっているし上も対処に困ってるんすから。けどその分大事になったら背負わされるリスクも大きくなるっすよ。」
「だよねー。まぁでも取るリスクが大きいほど、その分リターンも大きくなるっしょ。ってわけでいっちょ行きますか。」
そして彼女はその部活があると言われる学園へと潜入することになった。
その学園ではまた別の少女があることで悩んでた。
「うーん、どうしたものかね。部活を正式化するには最低でも部員が3人必要...一人は私で、二人目は白亜、あと一人どうしようか...」
「輪花様、本日もご登校お疲れ様です。本日の授業は1限目が現代文、2限目生物基礎、3限目美術Ⅰ、4限目体育、5限目世界史探求、6限目数学Bですが、欠席なされたい授業がありましたら、どうぞご命令を。私が代理で出席しときますから。」
「はいはいお疲れ。授業はちゃんと受けるよ。先生共はともかく、他の生徒からの目は痛いしね。それよりあまりベタベタしないでくれる?うっとおしい。」
「だって私はあの日から輪花様の剣ですから。そう紡木輪花様が連中の手から私を護ってくださったあの日から。それよりどうぞ輪花様、ホームルームが始まる前の月見おうどんでございます。はい、あーん♡」
「あーん♡って熱ッ!あっつ!」
「わ、わたしとしたことがなんて粗相を!良かれと思って用意したおうどんを適温まで冷まさずに輪花様のお口をやけどさせかけるとは!!かくなる上は切腹してこの責任を!!」
「いや大丈夫だから!!とてもおいしいよ、ありがとう!!でも、見て白亜ちゃん、周りの皆めちゃくちゃ痛い目線向けてるよ。確かに私はおうどんすきだけど、今後はこのタイミングでおうどん食べさせるのはやめようね!!」
輪花と白亜がそんな茶番劇を繰り返してると、教室の前のドアから制服を着た見知らぬ少女と担任の教師である結樹が入ってきた。
「えー、みんなおはよー、今日は出席を取る前に転校生が来てるから、自己紹介してもらおーね。私は机で眠るから後は学級委員よろしくー」
結樹がそういうと後ろの席から学級委員と思われる少女が前に来た。
「あぁ、またか。すみませんね転校生さん、こんな先生で。私は倉間美弥、このクラスの学級委員を務めております。ここの風紀は私がお守りしますのでご安心を。」
「風紀って、朝っぱらから教室でカップうどん食べてる子たちと転校生の前で寝ている先生がいるんですが大丈夫ですか?」
「大丈夫ですぅ。気にしないでください。後で3人とも焼却して処分いたしますので。」
「怖っ!!あんたが一番風紀乱してるよ!!」
美弥が威圧感があり、恐怖を感じる笑みを浮かべてると輪花がツッコんできた。
「学級委員、質問です。なぜ私も燃やされなければいけないんでしょうか。」
「愚問ですね。輪花さん、その愚かな転校生を連れて来た元凶だからです。」
と白亜を見ながら美弥はそういうので、転校生は既に自分の前に来た転校生の白亜が気になって質問を投げる。
「あの子も転校生なんですか?」
その質問で白亜も話に入ってくる。
「はい、私も少し前に来た転校生です。それより美弥さん?今、輪花様を元凶とかほざいて侮辱しました?どうやらお亡くなりになられたいようですね。」
「あなたがですか?バーナーの準備はいつでもできてますよ?」
「あの、いい加減自己紹介してもいいですか...?」
転校生がそういうと、二人は痴話げんかで彼女の自己紹介を遅らせてしまったことを謝罪した。
「すみません、転校生さん。自己紹介お願いします。」
「ええっと、青ヶ原高校からやってきました。加口千隼っていいます。不束者ですが、皆さんよろしくお願いします。」
「なんか不思議な子が来たね。大胆に見えるけど、ツッコミが得意というか。」
「そうですね、まぁ輪花様と私の間柄を邪魔するなら即座に消しますが。それより青ヶ原高ってもしかして...」
「あぁ、確か公社公認の学校だね。」
さっきまでの茶番とは裏腹に、輪花と白亜は神妙な顔で千隼と名乗り健気に笑顔を浮かべて自己紹介をする彼女の真の胸中について考える。
「無事、校内に潜入できたっすね。千隼さん」
「その名前で呼ぶのやめて。ただ潜入用につけただけの名前だから、いつも通り先輩って呼んで。通信でサポートよろしく。」
「任せてくださいっす。例の連中の足取りはつかめていますから。確か一人は右腕が使えなくなっている元天才剣士の女生徒で、1人は強靭な体でその天才剣士に仕える少女、1人は何かいつも気だるげにしてる女教師っす。ジュルジュル」
「えっ、さっそく目星がついたかも。少なくともめちゃくちゃ気だるげな先生とやらは見つけられた。」
「マジっすか。多分そいつは確定っす。確か名前は結樹、だとか言ったけかな。ジュルジュル」
「BINGOじゃん。名札に書いてあった名前とあってるし、他二人もそれらしいの見つけた。取り敢えず先生から追跡するわ。また何かあったら連絡する」
「あいあいさー、大事にならないうちに速やかかつ内密にお願いしますっす。ジュルジュル」
「はいはい、それよりあんた何か食べてる?さっきからジュルジュルって咀嚼音聞こえてんだが」
「んー?月見うどんっす。マジ上手いっす。」
「あのー、こっちは真剣なんだけど、ほんと頼むよ?」




