中学一年生④
本編第七話です。今回も読んで頂ければ幸いです。ここ最近というか数日の間にこんなに書けたことに自分でも驚きを隠せないです。完成度はともかく・・・・・・取り敢えず、書き続けて、勉強していけばより良い物が出来ると信じていますので頑張って続けたいと思います。では宜しくお願いします。
「も~い~くつね~ると~♪ク~リ~ス~マ~ス~♪」
準備室の窓際にクリスマスツリーを組みたてながら小倉は歌っていた。正月の歌をクリスマスに変えているのは突っ込み待ちなのだろうか?周りに真美も増田さんもいるのに二人とも小倉を無視し、読書にふけていた。誰か突っ込めばいいのに、誰も突っ込まない。外の寒さと二人の小倉への態度が比例しているかのように冷たい。小倉の替え歌もついに歌詞が思いつかないのか鼻歌になってきた。これはいよいよまずい。
「クリスマスには~か~のじょと~ちちくり「おい!それ以上いけない。」・・・・・・」
下ネタに発展しそうになった所を、急いで止めた。だが、何を言いたかったのか察しが付いた二人は今までよりも冷たい視線で小倉を包み込んだ。さすがにそれに耐えきれなくなった小倉が、
「な、何で二人は私をそのような目で睨みつけるのでしょうか?」
と、怖々とクリスマスツリーを組み立てていた手を止め尋ねた。しかし、二人は何も答えようとしない。直ぐ様に視線を読んでいた本に戻した。二人とも小倉が来るまでこのような態度では無かった。いつものようにオリジナル曲について話し合い、それから適当に会話をしていたはずだ。それが小倉が準備室に入ってくるなり急に会話を辞め本を読み始めた。
「なあ、なんかしたの?」
無言の状況に耐えられなくなり、私は小倉に二人に何かしたのか尋ねた。
「と、特に何もしていないとは思うんだけど・・・・・・ひっ!」
何もしてないに反応して二人はまたしても小倉を睨みつけた。小倉は蛇に睨まれた蛙のように縮こまった。
さすがの私もこの状況に耐えれなくなってきた。
「じゃ、じゃあ俺先に帰るね。また明日ね。」
私が荷物を持ち、準備室を出ようとすると、
「私も帰る。」
「私も帰ります。」
真美と増田さんの二人も身支度を整え準備室を出ようとした。私が呆気に取られていると、
「良、はやくして。」
と急かされたので、
「じゃあ、一人で頑張って頂戴。なんだったら明日の朝に来て俺やるから。」
私は小倉にそう言うと、準備室を後にした。
「あいつさ、私にクリスマスは一人なんでしょって聞いてきたんだよ!?どういう神経してんのよ!」
「私も言われました!まったくデリカシーが無いですよね!」
二人は互いに小倉についての愚痴を言い合っている。察するに、個人個人にクリスマスの時に一人なのかと聞いていたらしい。おそらく、一人ならば一緒に過ごそうと誘う手はずだったのだが、聞き方に問題があったようで、クリスマスの時は一人なんだろ、とからかわれたと思ったのだろう。
「多分さ、小倉は一緒にクリスマスを過ごしたかったんだよ。ちょっと言い方が悪かっただけで・・・・・・」
「そうだとしても!普通そういう話を笑いながら話す?だからあいつはモテないんだよ!」
少しだが小倉に同情したくなる。私もモテた記憶が無いので、小倉がクリスマスまでに彼女を作って一緒に過ごしたいという願望は解らくもない。
「そういえば良くんはクリスマスは予定あるの?」
増田さんが話を切り替えようと私に話を振った。
「いつも通りに家族で過ごそうって思ってるよ。学校もあるし、夜遅くまで出歩くわけにはいかないからね。」
特定の誰かと一緒に過ごすにはまだ早い年齢だ。そういう事は高校を出てからでも遅くないだろう。
「そうなんだ・・・・・・」
顔を足元に向けて増田さんが答える。確かに小倉も含めて皆で盛大に楽しく行うのは面白そうではあるが、今はまだ家族で過ごしてもいいかも知れないと考えている。
「まあ、増田さんも僕のことは気にしないで楽しく過ごしなよ。」
「うん・・・・・・」
励ましたつもりがさらに暗くしてしまった。既に断られたのだろうか?
「ほんと良って・・・・・・」
「うん、そうだね・・・・・・」
二人はそう言い残すとトボトボと歩いて行った。二人の後を追ってはならないような気がしたので、私は挨拶をして一人、違う道を行くことにした。
「お前は本当に解ってないな。」
師匠との個人レッスンが終わり、今日の事を話すと呆れた顔をしてそう言った。
「普通さ、女の方からクリスマスの予定聞かれる事って無いぜ?あったとしたら、それは気がある証拠だ。」
自動販売機の前のベンチに腰掛けている師匠が頭を掻きながら言った。
「ま~、普通はそう感じますよね。」
「そう思うなら気の利かせた言葉位言ってやれよ。お前が最後に言った言葉は人によっちゃフラれたと捉える奴もいるぜ。ま~、あっちはお前が鈍感って事で終わらせてるけどよ。」
師匠の言っている事は解る。確かに最後の台詞はまずかったのかも知れない。
「僕は二人の事は好きです。でも恋愛感情としての好きって気持ちをまだ感じた事がないんです。二人はもしかしたら僕の事をそういう気持ちで見ているのかもしれません。だからこそ僕は、恋愛感情を抱いて無い時にそれに答えるのは相手に失礼だし、何より僕自身が許せません。」
私だってそこまで鈍感なわけじゃない。違う可能性もあるだろうけど。だが、違わなかった場合、今の私の感情でそれに答えるのは私は出来ない。
「お前の言う事はもっともだ。そんな気持ちで受け入れられても相手に失礼だよな。だが恋愛感情ってのは解らないもんでな、最初は何とも思わないで適当に付き合ったとしても、場合によっては付き合っているうちに好きになってくる、って事もあるんだぜ。俺の今の嫁さんがそうだった。」
いつの間にか師匠は私の方を指差して熱く語ていた。言い終えると師匠は立ち上がり、
「ま、お前は少し大人びているからな。そんなお前だからこそ悩んでいるんだろうけど。多いに悩め、少年!悩む事は良い事だぜ。」
それだけ言うと、師匠は私を置いてこの場を去った。
「良は今年のクリスマスは真美ちゃんと二人っきりで過ごすんだろ?あまり遅くなるなよ。」
珍しく早く帰ってきた父が夕飯の席で私に聞いてきた。
「今年も家族で過ごそうと思ってるんだけど。」
私の言葉に父は心底驚いた表情をした。
「何で?クリスマスだぜ?彼女と一緒にいたいって思わないの?」
「お兄ちゃんは誰とも付き合ってないよ!」
父の言葉に私が反論しようとするよりも先に加奈が表情を顕にして言った。
「お兄ちゃんは今年も来年も家族皆でクリスマスを祝いたいんだよね!?」
「そ、そうだね。」
妹の加奈の迫力が凄いためにそう言うしか無かった。別に家族と過ごすのが嫌ということではないのだが、最近の加奈は私の手に負えない時がある。
「付き合ってないのか~。まだ良には恋愛は早いのかな・・・・・・」
疑問に思いながら、父は食事を口に運ぶ。
「ま~家族で過ごすのもいいけど、友達で集まるクリスマスもいいもんだぜ?俺が高校の頃は男だけで集まってむさ苦しいクリスマスを過ごした事もあったな。あの時は悲しかったな~。何が悲しくてカップルが幸せそうに過ごしている時に男で集まってるのかって思っちゃって。」
昔を思い出しながら喋る父を見て、私も同じ事をしたのを思い出した。大学二年生の時、彼女がいない友人を集めて、クリスマスイブの日に海で騒いだ。寂しい気持ちをまぎわらすために集まり、馬鹿騒ぎをしてクリスマスイブを過ごした。
「でも大学の時はずっと私と一緒だったじゃない?」
「ま~、付き合っちゃったもんな。まさか結婚までするとはその時絶対思わなかっただろうけど。」
父と母が仲良く笑いあう。学生時代から交際を始め、今に至っても仲の良い所を見ると、運命の人同士で結ばれたのだろうと思う。もしあの時、私が死んでいなかったら父と母くらいの年代になっている。私は結婚をして、家庭をもつことが出来たのだろうか?子供を作り、幸せな家庭を築くことができたのだろうか?
「お兄ちゃん、どうしたの?」
加奈の言葉が耳に入った。加奈を見ると心配そうに私を見ている。
「何でもないよ。ちょっと考えてただけ。」
「お父さんとお母さんを見て?お父さんも高校生の頃は寂しかったみたいだけど、今は凄く幸せそうだよね。」
父と母が楽しそうに会話しているのを見て、加奈が微笑みながら言う。加奈の“今は”という言葉に、私は昔の自分では無いことを思い出した。今の私は良だ、どうあがいても過去の私に戻る事は無い。良として人生を歩んでいくしかないのだ。その事を思い出すと自然と笑みがこぼれた。突然笑顔になった私を見て、加奈は不思議そうな顔をしていた。私は加奈の頭を撫でて、
「ありがとう。」
と、言った。私の突然の行動と言葉に首を傾げていたが、私が元気になったのだと感じたのか、
「どういたしまして!お兄ちゃんは私がいなくちゃ駄目だね!」
加奈は飛び切りの笑顔を私に向けた。
クリスマスイブまで一週間を切った日の夜、父がクリスマスイブの日に仕事で出張に出かける事になったので、今年は父のいないクリスマスイブになる事が決まった。その話をしている時の父の顔は物凄く残念そうであった。
「そういう事だから良も加奈も友達とクリスマスパーティしてもいいんだぞ?別に家で行ってもいいし。な?」
「ええ。大勢で賑わうってのも悪くないわね。」
父の言葉に母も頷いた。その言葉に、加奈は勢い良く、
「それなら真美ちゃんと増田さん呼ぼうよ!ね、お兄ちゃん!」
私に同意を求めた。私は少し考えてから、
「ま~、二人がいいって言うなら僕は構わないけど。」
「そうね、真美ちゃんも増田さんもきっと喜ぶわ。良、連絡してあげたら?」
真美と増田さんが来るかも知れない事に嬉しそうな表情をし、手を叩きながら母が答えた。私は直ぐ様、真美と増田さんに連絡を取り、二人とも喜んで当日来てくれる事が決まった。ついでに小倉も誘ってみた所、電話の向こうで泣きながら感謝された。
「「「「「「メリークリスマス!!!!!!」」」」」」
クラッカーを鳴らし、皆一斉にメリークリスマスと叫んだ。ダイニングで行うには少し狭いために、広いリビングで行われた。
「それにしても豪華な料理ですね!皆手作りなんですか?」
リビングテーブルに所狭しと並べられた料理を見て、小倉がはしゃぎながら喋った。それを聞いて母は微笑みながら、
「そうよ。家では手作りなの。お口に合わなかったらごめんなさいね。でも、多く作っちゃったからもしよかったらいっぱい食べてね。」
「めっちゃ美味いですよ!こんなに美味しかったら外で食べる必要ないです!」
いつの間にか小皿に料理を載せて食べていたのか、小倉は肉を頬張りながら答えた。あまりに美味しそうに食べている小倉を見て、母は満足そうであった。
「本当に美味しいです。今度私に料理教えてくれませんか?」
「おばさん、私にも教えて!」
増田さんも真美も、母の料理の味に感動をしたのか母に料理をご教授してくれないかと頼んでいた。
「お兄ちゃん、何か料理お皿に盛ろうか?」
「うん、お願い。」
加奈に私の小皿を渡し、料理を盛ってもらう。その間にコップについであったジュースを口に含んだ。
「お前、毎日こんな美味しい料理食べてるのかよ?」
「毎日こんな豪華な料理が出る訳ないよ。でも、母さんの作る料理は何でも美味しいよ。」
小倉が羨ましそうに聞いてきたので私は正直に答えた。確かに母の作る料理は美味しい。店で出される料理と比べても遜色無い。それこそ下手な店よりかは比べ物にならないくらい美味しい。友人が口々に母の料理を美味しいと言ってくれるのは息子の私にとっても喜ばしい事だ。口に運んだ後の表情から決してお世辞で言っているのでは無いと解るのでなお嬉しい。
「いや~料理も上手でそんなに綺麗なら若い時はモテたんじゃないですか?もちろん今でもお美しいですけど。」
「お前、人の母さん口説いてるんじゃないよ。」
食事が進み、一段落してくると女子は女子同士で会話に夢中になる。
「でさ~どうしたらいいと思う?」
「私も知りたいですよ!てか、真美さんには負けませんからね!」
「言ってくれるね~、私だってまっちゃんには負けないから!」
「二人とも!私の存在を忘れないでください!私が一番ですから!」
女の子同士仲良く、とは見えないが話をしている。母は後片付けを行っており、私と小倉はテーブルで将棋を指していた。
「な~、何でお前ん家ってゲームないの?」
「あるじゃん、今してるだろ。」
「いや、そうじゃなくてテレビゲームの事!」
「必要ないもん。」
私の家にはテレビゲームが無い。なので大勢で遊べる物といったらテーブルゲームしか無いのだ。その事に小倉は少しばかり不満を顕にする。
「お前普段何やってるの?」
「勉強か本を読むか、ギターを弾くか、ドラムパット叩いてるか、リズムトレーニングしてるよ。勉強はともかく、ゲームするより楽しいだろ?」
私の言っている事にいまいちピンとこない表情を小倉はしている。
「小倉ってさ、ギター弾いてて楽しいって思わないの?」
「いや、練習だもん。楽しいって思わないよ。バンドでライブしてる時は楽しいけど。」
「そっか。僕はね、ギターを弾くだけで楽しいんだよ。ドラムもね。それに別に練習と思って曲を弾いたり、リズムトレーニングしていないんだ。楽しいからしてるんだよ。出来ない曲を練習している時も僕は練習をしているって思った事は一度も無い。そうだね、例えるなら物語を読んでいる最中みたいな感覚なんだ。曲を完璧に弾けるようになった時は物語を読み終えた時のように感じてる。その積み重ねが今の僕の技術なんだと思う。好きこそ物の上手なれって事だよ。」
唖然とした顔で小倉は私を見ている。別にこの感覚は今になってからでは無い。前世の時もそうだったのだ。ただギターを弾くだけで楽しかった。スポーツをするよりも、他のどんな遊びをするよりも楽しかった。だから、苦に思う事なんて一度も無い。より上手くなりたいと思って様々な練習をしている時もそれは同じだった。
「なんか、お前が上手な理由が解ったよ。俺はお前程楽しめていないんだな。」
「ま、そのうち楽しいって思えるようになるさ。出来ない時は誰でも楽しくはないからね。」
落ち込み始めた小倉を軽くフォローしておく。こんな私の自論を聞いて腐るのは勿体無さすぎる。
「そろそろ遅い時間になってきたからお風呂入って寝ましょう。」
母がそう言うと、女子は皆で風呂に入り、私と小倉はそれぞれ別々に風呂に入って寝る準備をした。
今日だけ、私は小倉と一緒に楽器が置かれている部屋で寝る事になっている。私と加奈の部屋が一緒の部屋なので、それぞれの部屋に男女別れて寝るということが出来ないからだ。なので、私と加奈の部屋に、加奈と真美と増田さんが寝る事になった。私の持ち物で見られて恥ずかしい物は無いのでそこら辺は大丈夫である。
「うわ、すげ~。このギターめっちゃいいやつじゃん!アンプもこんなに良い物を・・・・・・」
部屋に置いてある楽器類を見て小倉は興奮していた。主に父と母の楽器が置いてあり、この部屋で私も加奈も音を出している。
「全部父さんと母さんの物だよ。僕のギターは部屋においてあるし、ドラムパットは・・・・・・まあ、僕の物ってわけじゃないしね。」
「え、お前の両親楽器弾けるの?」
「うん、父さんは昔からギターを弾いていて、母さんもベースをね。二人共、大学の軽音サークルで知り合ったみたいだよ。だから僕は小さい頃から楽器を演奏してるんだ。」
「環境ってやつか・・・・・・」
小倉の言う通り、環境ってのは思う以上に人を左右する。別にそういう環境で無くても才あるものは上に行くのだが、普通の人ほど環境次第でどうともなる。もっとも、環境だけでなく自分の心構えの方が大事なのは言うまでも無いが。
布団を敷き、電気を消して私達は床に着いた。いざ目を閉じよう
とした時、小倉が声をかけてきた。
「なあ良、お前真美さんと増田さんどっちが好きなんだ?」
私は小倉の問いに答えられないでいた。恋愛感情を無しで言えば両方好きだ。だが、不思議な事に二人には恋愛感情と言うものが芽生えない。それは他の女性に対してでもある。私が同性愛者だからという事ではなく、おそらく、精神面で思春期を迎えていないからであろう。身体面では二次成長期を迎えた。それと同じくして、普通は思春期に差し掛かるはずである。それなのに、今の私は異性として好意を抱くという感情が未だに芽生えない。
「二人とも好きだよ。」
「そういう事じゃなくて!女としてどっちが好きかって事だよ。」
小倉の口調が激しくなっている。私はその問いに答えれなかった。小倉は深く問いただす事もせず、私たちは眠りについた。
<Side Another>
今日は凄く楽しかった。この前良くんにクリスマスの事を聞いたときには考えられない状況。
私が良くんと深く関わるようになったのは小学校6年生の頃からだけど、今みたいな気持ちになったのは小学校最後の発表会のライブ後。以前から勉強も出来るし、顔も全然カッコいいほうだと思ってたけど、バンド練習してる時は全然違った。学校で見せる表情よりも活き活きとしてて、凄くカッコよかった。あんなに楽しそうな顔できるんだって思った。その時から何となく良いなって感じだったのがライブを通して好きって感情になった。私はこの人以外を好きになるなんて有り得ない!そう思った。
中学校に上がって、同じクラスになれたらいいな~なんて思ってたら、なんと、同じクラスになった!これでまた良くんと一緒にいる時間が多くなる、そう思ったらとても嬉しかった。でも、同じクラスにいたのは良くんの友達の真美さん。一度だけみたことがあった。バンド練習中に勝手に入ってきた子。しかも良くんの手を引っ張って!それから真美さんは良くんと一緒にセッションを始めたんだけれど、その時の良くんの顔が私達とやっている時よりも楽しそうだったのが悔しかった。
始めの頃は真美さんは苦手だった。私とは違って明るいし、活発的だし、美人だし。でも、プールの一件以来、私は真美さんと友達になった。真美さんの良くんへの思いが私と同じだということが解ると、絶対に負けない!って気持ちになった。でも同時に、私以外と結ばれるなら真美さんしか認めないって気持ちにもなった。
良くんは文化祭以降、学校内でも有名人になった。女の子からの人気も凄い。だけど絶対に負けない!真美さんにも負けない!
私は二人が寝静まったのを見て部屋を飛び出した。ちょっと卑怯だけど、良くんの寝顔が見たかった。ついでにキスもしちゃおうと思ってる。あと少しで良くんが寝てる部屋だ!勇気を振り絞って、
「増田さん、そこはトイレじゃないですよ?」
声のした方へびっくりして振り向くとそこには加奈ちゃんがいた!
「さあ、トイレはこっちですよ。ほら、行きますよ!」
加奈ちゃんに無理やり連れられて私はトイレに向かわされた。加奈ちゃんもしかして、
「増田さん、私の目が黒いうちはお兄ちゃんは渡しませんから。」
・・・・・・真美さん、もしかしたら最大の敵は加奈ちゃんかもしれませんよ・・・・・・
読んでいただきありがとうございました。今回は良とは別の視点を入れたかったので、最後は視点が変わったのを解りやすくするようにしました。そんなのいらねーよと感じる人もいるでしょうが、一応、ということで。では今回も読んでいただき誠にありがとうございました。次回も早ければ今日中に書き上げたいです。