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中学一年生①

テストやら、バルドスカイやらのために四話目は少し書くのに時間が掛かりました。

幸いにも少しずつですが読んでくださっている方がいらっしゃるようで嬉しく思います。それでは宜しくお願いします。

 中学生の時期が心身ともに変わる。本格的に成長期を迎え、少年だった見た目から青年へと変化する。また、性というものに興味を抱き、今まで以上に異性の事を気に掛けるようになる。学校においても小学校の時のように全て先生が片付けてくれるような環境から少しだが自主性を求められるようになる。前世で私はこれらの変化に大いに戸惑った。女性とは話せなくなり、それまで無かった、先輩との上下関係に苦しんだ。


 入学して数カ月も過ぎると、皆、やっと中学校生活に慣れてきた。目まぐるしい変化に最初こそは驚くが、人は慣れる生き物であり、この時期になると皆適応してくる。

 放課後になると、クラスの友人達はそれぞれの部活動へと向かう。うちの学校は部活動に強制参加では無いので私は部活動に入らなかった。音楽の方に力を入れる事を、優先したからだ。中学校に入学してすぐ、私はドラム教室とは別に週に一回、プロのドラマーから個人的にご教授して頂いている。どのようにしてその経緯に至ったかというと、私は、ドラム教室の先生の知人にプロのドラマーがいる事を知った。その時に、先生にその知人の人が私の演奏を見て頂く事は出来ないか聞いた。先生はすぐさま知人に連絡をし、次のレッスンの時に私の演奏を見てくれるよう取り付けた。次のレッスンの時、私の演奏を見て頂いた後に、個人的にご教授して下さる話になった。元々、こちらの方からお願いしようとしていただけに、その話は願っても無い事だった。



 昼休みの時、私の携帯に一通のメールが届いた。それは薫さんからであり、薫さんの都合により、個人レッスンが出来ないという内容だった。薫さんとは私にご教授して下さっているプロのドラマーの人だ。

「あ~、今日は大人しく家に帰るかな。」

「今日って薫さんとのレッスンの日なんじゃないの?」

私が独り言ちていたら、隣にいた真美が話しかけてきた。

「今薫さんから中止ってメールが来た。」

「じゃあさ、放課後に楽器屋に行かない?弦買いに行きたいんだよね。」

「いいよ、暇だし。」

久しぶりに楽器屋に行くのも悪くない。何か新しいものが入荷しているかもしれない。

「あの、真美さん、良くん、私も一緒に付いて行ってもいいかな?」

「いいよ。ね、真美?」

私が真美の方を向くと、真美は少しだけ嫌そうだった。一見何も変わっていないように見えるのだが、付き合いが長い事もあり、ほんの少しだけだが嫌そうにしているのが解った。

「うん、増田さんも一緒に行こう!」

表面上は笑っているのだが、どこか増田さんと距離を置いているように感じる。何かあったのだろうか。

 増田さんは小学校の頃に行ったバンドのキーボードの子であり、あのライブ後、私と増田さんはよく喋るようになった。中学校でも同じクラスになり、増田さんは私の数少ない女子での親しい友人だ。もっとも、女子で親しいのは真美と増田さんしかいないのだが。

 放課後、私達はいつも行っている楽器屋へ向かった。そこへは学校の近くの駅から二駅程であり、通っているドラム教室から近いこともあり、私と真美は常連客となっている。

「お、良くんと真美ちゃんじゃないか。もう一人の子は初めて見る顔だね~。」

「お久しぶりです、松本さん。こっちの子は同じ学校の友達ですよ。」

「増田と言います。宜しくお願いします。」

松本さんはこの店の店長だ。増田さんと松本さんが話しているうちに、真美はベース弦を探しに行っていた。

「増田さん、僕ちょっといろいろ見てくるね。」

「あ、私も一緒に行く。」

 私が最初に向かったのはギター関連の場所だった。身長の伸びにより、手が大きくなったため、今まで使っていたギターではサイズが合わなくなってきたのだ。幸いにも、今まで貰ってきた小遣いやお年玉をこまめに貯金していたため、それなりに纏まったお金はある。PRSや、ギブソンのヒスコレ等は高くて手が出せないが、フェンダーUSAのストラトや、ギブソンのレスポール等を、買うお金はある。

 ギタリストはギターを眺めているとどれも欲しくなってくる。お金に余裕が無い時は強がって、今のままで良いと口ずさむのだが、本音は欲しくて仕方がない。自分の持っているギターとは別の種類、用途が展示されているなら尚更だ。前世で私はギブソンのSGとフェンダーのストラトキャスターを使っていた。うまい具合に、ピックアップがシングルとハムバッカーの両方を持っていただけにその時々で求められる音毎に分けて使っていた。今現在使っている子供用ギターは正直な話、音に関してはアンプ任せである。バンドでギターを弾いていないので今はいいが、私としてはバンドでギターを弾きたい気持ちは常にある。

「またSGにしようかな・・・・・・」

私がSGの前で呟いていると、増田さんが不思議そうな顔をして私に訪ねてきた。

「良くんってこのギター持ってたの?」

「い、いや、父さんが昔持ってたんだよ!それで僕も弾いてたからそれで・・・・・・」

「そうなんだ~。」

危ない所だった。上手く誤魔化せたが、次からはこのような事が無いようにしよう。何か疑われたら誤魔化しようが無い。

「お、良くん、弾いてみるかい?」

「お願いします。」

松本さんは、壁に掛けてあるSGを手に取り近くのアンプに繋げた。軽く音を出してからチューニングを合わせ、私に手渡した。

 Aのコードを鳴らし、クリーンの音を確かめるとSG独特の音が流れた。SGの特徴は何と言ってもその中域の音にある。よくゴバゴバと言い表されている。ギターの音が中域が強いためにこもりがちな音ではあるが、決してバンド内で埋もれる事は無く、単音においては逆に前に出てくる。一音一音の音が太く、まさに目立つ音だ。ただ、相変わらずフロントピックアップの音が気に食わない。無駄に高域が出るために、前世でも直ぐに違うピックアップに取り替えた。次に、歪みの音を確認していったのだが、特に前世の頃のSGとの違いは無かった。オリジナルで付いているコンデンサーを変えて、フロントピックアップを変えたら正に、私が使っていたSGの音になるだろう。

「そう言えば良はギターが弾けるんだったね。」

いつの間にか真美が私の後ろにいて話しかけてきた。手に店のビニール袋を持っている所を見ると、既にベース弦の会計を済ませたのだろう。

「真美の前じゃ弾く機会無いからね。ドラマーよりギタリストだと僕は思ってるよ。」

「ベースは弾けないんだ、と言ってもルート弾きは出来るか。リズムはしっかりしてるし。」

「でもギタリストの癖が出るかもね。」

「そういうものなのかな~。」

一度だけベースを弾いた事があったのだが、私には難しいものだった。弦は太いし、重いし、何より指弾きが出来なかった。ビリー・シーンが好きな私としてはどうしても指で弾きたかったのだが、バンドに迷惑がかかるのでピック弾きに甘んじた。

「それにしてもSGね~。私はアイバニーズの方が良いと思いけどな~。」

確かにアイバニーズは良い。安価な値段でそこそこの物を買えるし、Jカスタムは見た目も音も素晴らしい。

「私はこのギター、良君に凄く似合ってると思うな。」

増田さんに似合ってると言われ、前世でSGと言えば私と言われてたのを思い出した。やはり、SGと私は切っても切れない縁なのだろうか。

「良君、SG買っちゃう?買ってくれるなら安くしとくよ~。今のうちにギブソン買っておかないと次から大変になるよ。代理店変わっちゃうしね。」



 


「SGでよかったの?SG持ってると長門だ~とか言われるよ。」

「バカ野郎。SGって言えばトニー・アイオミだろ。」

結局、私はSGを買った。私にとってSG使いはトニー・アイオミである。日本人なら人間椅子の和嶋さんが直ぐに思いつく。和嶋さんは物凄くアイオミの影響を受けているのが解る。あの音とプレイは聴いてて心地が良い。去年の冬頃に放映されたアニメにSGを使った場面があったらしく、ネタでSGを使っている人をそのキャラの名前で呼ぶ、その影響で使っているのかと問う風潮が出来てしまった。オタクがアニメの影響でギターを始めた!と嘆く人もいるだろうが、楽器演奏者は総じて〝音楽オタク″の部類に入ると私は思う。だから全く気にしない。と言うより、私の周りのバンド仲間はアニメオタク、ゲームオタクが多かった気がする。楽器屋も新規の顧客を獲得出来る機会を得たのだから悲観する事も無いだろう。

「白のSGだったら完璧だったのにね。」

「くどい。」

ふと空を見上げると少しずつだが日が傾いている。

「ごめんね増田さん。予想以上に長く居すぎたみたい。」

「全然大丈夫だよ。今日は特に何も無いし。」

増田さんは放課後にピアノ教室に行く事が多い。レッスンが無い日でも自主的に通い、日々鍛錬に励んでいる。そんな増田さんが私達のために時間を割いて一緒に来てくれたと思うと申し訳なく思う。

「でも、そろそろ発表会じゃないの?」

何気なく私は増田さんに発表会について聞いてみた。

「うん、来週にね。課題曲は終わってるし、そんなに焦らなくても大丈夫かな~って。焦って練習して手を痛めたらどうしようも無いから。」

「そうなんだ。それじゃあ応援しに行くよ。」

「ほんと!?」

増田さんが嬉しそうにこちらを向いた。

「うん、多分何も無いしね。真美も無いよね?他にいろんな人連れて応援しに行こうよ。」

私が真美に話を振ると、

「え、ま、ま~私は別に何も無いけど・・・・・・行っていいの?増田さん?」

「え、う、うん。来てくれるなら嬉しいよ・・・・・・」

真美と増田さんの間に何とも言えない空気が流れた。そんなに二人は仲が悪いのだろうか?





 家に着いた時には外が暗くなっていた。楽器屋を出て駅に向かい、外で話をしていたら予想以上に話が弾み、気が付いたら一時間近く時間が経っていた。本来ならば、早い時間に帰れたはずだったのだが、結局いつも通りの時間に帰ってきてしまった。

 中学生になったからと言って一人部屋になったという事は無い。一度、父からそれぞれの個人部屋にしようかと問われた時に加奈が猛反対したからだ。加奈は私に物凄く懐いているので、恐らく第三者視点から見たならばブラコンに見えるのだろう。何にせよ、可愛い妹が懐いてくれる事は全然嫌では無い。思春期を迎える頃にどうなるか解らないが、もし拒絶されたのならば私は今までに無く落ち込むだろう。

「お兄ちゃん、ご飯だよ~。」

「直ぐ行く。」

私はいつものように夕食を取りにキッチンへ向かった。


 夕食後、私は部屋に戻り買ったばかりのギターをハードケースから取りだした。ハードケースから取り出す感覚は最初の頃は心地よいのだが、運搬方法が徒歩の場合、持ち運ぶ際に非常に重量感があるために結局ソフトケースに入れる事になる。

「お兄ちゃん新しいギター買ったの?」

私がギターを取りだしたのを見て、加奈が私に問いかけた。

「うん。いっつも使ってたギターが小さく感じるようになったからね。貯金使って買ってきたんだよ。」

へ~と加奈が呟いてるのを横目に、私はギターを弾き始めた。ギターを弾いているうちに、ふと一つの感情が生まれた。

 やはり、ギタリストとしてライブに出たい。

 ドラマーとしてはもちろん楽しいのだが、今ならば前以上に楽しめるかもしれないと思ったからだ。リズム感も確立してきたし、テクニック面も言う事無い。ならば、以前よりも高いクオリティでバンドを組み、ライブを行えるかもしれない。もちろんドラマーとしてもバンドを組んでいきたい。これは欲張りなのだろうか。

「ねえ加奈、加奈はギターとピアノどっちが好き?」

私と突然の問いに加奈は驚き、そしてしばらく考えた後にこう答えた。

「どちらかと言ったらギターだよ。ずっとお兄ちゃんとやってきたからね!」

「そっか。それじゃあ一緒にギター弾こうか。」

「うん!」

私は加奈と一緒に流行りの曲を弾きながら歌った。



 翌日、私は教室に向かう途中に、壁に貼ってあった一枚のポスターが目に入った。







  〝顔見せライブ ○月○日土曜日 at 音楽室 OPEN 12:30 START 13:00 入場料無料"







「軽音なんてあったんだ。」

私が独りごちていると後ろから声をかけられた。

「君、軽音に興味あるの?興味あるんだったら入らない?」

後ろに、私より頭一つ背の高い男性がいた。察するに軽音学部の人で、私より上の学年なんだろう。

「いや、僕は部活に入ろうと思ってないので・・・・・・」

「取り敢えず!取り敢えず顔見せライブに来てみなよ!まずはそこからね、合わないって思ったら入らなくても大丈夫だから。取り敢えず、来てね!あ、それじゃあこの紙にクラスと名前書いてね。え?そんな時間無い?大丈夫大丈夫!喋ってくれるだけでいいから!ほらほら。」

半ば強引な手口で私は軽音楽部の人にクラスと名前を教える事となった。だが、この手の勧誘にはうんざりするほど慣れていたので適当な名前と違うクラスを教えておいた。人が多い学校なだけにもう二度と会う事もないだろうと思ったからだ。



土曜日、家でギターを弾いていると、携帯に電話が掛かってきた。

「もしもし?」

「もしもし?良か?お前今日暇だよな?」

電話の相手は小倉だった。彼は小学校の時にバンドを組んだギタリストだ。

「暇と言ったら暇だけど何?」

「それじゃあ、今から学校の音楽室に来てくれ!出来たら真美さんと増田も誘って!」

「良いけど、増田さんは来週ピアノの発表会あるから無理かもよ?」

「じゃあ真美さんだけでいい!取り敢えず来い。解ったな?」

それだけ言うと、向こうから電話が切れた。何事か解らなかったが取り敢えず真美に連絡をして、私は学校へ向かった。


「ねえ、学校の中、凄く煩いんだけど。学校内でライブしてるの?」

私と真美が学校に着いて音楽室のある方へ向かって廊下を歩いていると真美が話しかけてきた。それもそうだ。物凄く煩い。それも聞きなれている音でだ。その時、私は思い出した。今日は土曜日、軽音楽部のライブの日と言う事を。

「まずい。今日は軽音のライブの日だった。」

「え、何それ?」

真美も私と同様に軽音楽部なるものが存在する事を知らなかったみたいで、初耳だという顔をしていた。ともかく、これは非常にまずい展開だ。小倉が軽音楽部に入部していたなんて知らなかった。違うクラスなのであまり会う機会が無かったから情報が全然入ってこなかった。

「取り敢えず、帰るか。」

「ちょっと、何それ?学校に来たばかりだよ?」

「そうなんだけど、取り敢えず帰ろう!何ならミスド奢る「お~~い!良!やっと来たな~~~!」」

真美に帰ろうと喋っていると遠くから大きい声で私の声が遮断された。真美と私が声のする方を向いたら、遠くから小倉が走ってくるのが見えた。

「小倉君じゃない?」

「うん・・・・・・」

小倉が私達の前まで来ると、型で息を整え、私達の方を見て

「それじゃあ、音楽室へ行こう。今から俺出るから。」

と言い、真美を連れて行った。私が唖然としていると小倉から早く来い!と言われたので、私は覚悟を決めて音楽室の方へ向かった。


 音楽室に入ると、調度次のバンド演奏のための転換中だった。そのせいか、中には人が少なかった。音楽室の外は軽音楽部の部員とその友人、観に来た人達で溢れていた。

「結構本格的なんじゃない?」

真美が音楽室の中を見回してそう喋った。

 確かに、本格的だった。中はカーテンで暗くして、照明機器でステージを照らしている。アンプやドラムにもきちんとマイキングがささっており、パワーアンプを通して後ろの卓で音量バランスを取っている。返しもきちんと置かれていて、小さいライブハウスと同じくらいの設備が整っていた。業者に頼んでもらったのだろうか。

「確かにこれは凄いね。人も多いし、ライブって感じがするね。ステージの後ろに黒板があるけど。」

これはこれでライブ感が養えるのかもしれない。学校側からお金が出ているなら、タダでライブが出来る事になる。アマチュアバンドの出演料、ノルマが無い分、ここで腕と場慣れをするのは良いかもしれない。

「そういえば小倉君、次のバンドで出るって言ってたね。私、練習の時しか小倉君の音聴いてないから楽しみだな。」

「僕もライブの時以降聴いてないな。どうなってるのかな。」

真美と話していると、次のバンドの準備が出来た。会場の音楽が違うのに変わり、バンドのメンバーが入ってくる。それに伴い、音楽室の中にも外にいた人達が入ってきた。

 メンバーの一人がPA側に手を挙げ、曲を止めると小倉のギターから始まり、演奏が始まった。演奏している曲を私は知っていた。ニルバーナのSmells Like Teen Spiritだ。中学生には調度良い難易度だからこれを選んだのだろう。もしくは、バンドメンバーがニルバーナが好きなのか。中学生の演奏にしてはそれなりの演奏でかつ、曲がニルバーナと言う事もあり、周りは盛り上がっていた。私が中学生だった頃はメタル全盛期でラウドネス等をコピーしたものだ。今はグリーンデイやニルバーナなのだろうか。

 一曲目が終わり、二曲、三曲と演奏していくうちに小倉は緊張感が解けたのか楽しく弾いているようだった。大きく動き周る等のパフォーマンスを行い、場を盛り上げていた。そして、最後の曲が終わり、バンドは履けて次のバンドのための転換が行われた。

「小倉君、前より上手くなってるんじゃない?」

「そうだね。良い刺激を貰ったよ。」

「でも全然良のレベルじゃないよ?」

私が刺激を受けたと言う事に驚いたのだろう、真美が少し驚いた顔をしていた。

「テクニックとかじゃないんだよ。しいて言うならバンドで楽しそうにしてるのが凄く刺激を受けたのかもね。」

どれだけ他者より上手くても、楽しくなかったら意味が無い。初めてバンドを組んだ時に技術は全然無くて演奏は酷かったけど、それでもやってて楽しかった。一つが出来る度に喜びを感じそれを糧に頑張ろうと思い皆で笑いながら切磋琢磨していった。それらがこのバンドには見えたのだ。恐らく今日出る他のバンドもそうなのだろう。

「バンド組みたくなってきたな。」

バンドを組むと色んな事がある。それを私は経験してきた。いくら仲の良い友人同士で組んでも些細な事で離れたりもするし、逆に色んな事を学んで仲が深まる事もある。だが、大概が前者が多い。

「それじゃあ、私ベースやるよ。」

「やってくれるの?」

「良の相棒が務まるのは私しかいないでしょ?」

笑いながら真美が私の方を向いた。その笑顔に私は少しだけドキっとした。真美の笑顔は見慣れているはずなのに。気持ち的に歳下としか思っていなかったのだが。

「お、お前この前の!俺に嘘教えやがったな!」

ハッとして振り返るとこの前ポスターを見ていた時に話しかけられた人がいた。

「え、え~っと」

「お前の事を探していたんだ。さあどうしてくれようかな。」

顔を見るに怒っている事が解る。隣で真美は何が何だか解らない顔をしているし、この場をどうやって切り抜けようか考えていた所、

「先輩どうしたんですか?良と知り合いでしたっけ?」

小倉が何とも言えないタイミングで現れた。今現れたら私の名前が知られてしまう。

「小倉か、こいつ知ってるのか?」

「はい、小学校の頃からの友達ですよ。」

小倉の言葉を聞き、にやりと笑みを浮かべて

「そうか、名前何て言うんだ?」

と小倉に聞いた。

「良って言いますよ。」

「そうか、良君って言うんだ。なあ良君、これで俺から逃れられなくなったな。お前の選択肢は二つだ。俺に焼きを入れられるか、軽音楽部に入って俺のパシリとなるか。どっちがいい?」

笑いながら、私の方を向いた。小倉は何かしたのかと言いたげな顔をして私を見て、同じように真美も私を見た。







 かくして、私は軽音楽部に入部する事となった。ついでに真美も入部した。

読んで頂きありがとうございました。今回は専門用語やら、楽器のメーカー等、いろいろ知ってる人にはなじみの深い、知らない人にな全く解らない単語を使ってしまいました。要望がありましたら軽くですが説明をしたいと思います。

それでは今回も読んで頂きありがとうございました。もっと語彙力、文章力が付くように頑張って行きたいと思います。

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