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外伝② さらに別の転生者の場合①

 だいぶ時間が置いてしまいました。今回の外伝はだいぶ話が違います。良が出る事もありませんし、匠が出る事もありません。日本が舞台でも無くなります。まだまだ全然話が出来上がっていないのでこれからどうするかは決めてませんが、漠然と最後の方は元から決めています。ただ、学園モノではないのでどうなるか・・・・・・と。

 まだまだ良達の方は終わりまで書いていないので続きますので、そちらを楽しみにして下さっている方々はこの話が合わなくてもどうか見切らないでください。では、宜しくお願いします!

 何故、僕は生れて来たのだろう。家族からは出来そこないと言われ、学校ではクラスメイトとはなじめずに、仲の良い友達どころか、皆は僕の事を嫌っている。嫌っているという表現が正しいのかどうか解らないけど、色んな人に虐げられている事だけは事実だ。何がそんなに僕をこんな苦しい状況に陥らせているのか、見た目が悪いから?勉強も運動も出来ないから?

 そんなに・・・・・・持って生まれた物だけで人の人生って決まるものなの?そういう風に人生って出来ているの?だったら、持って生まれてこなかった人は他の人に虐げられるために生まれてきたの?




「アハハ。でさ~、昨日のあれだけど。本当に面白かったんだよ。」

「マジで?見逃しちゃった~・・・!・・・あいつまだ学校に来てるんだ。よく平気でいれるよね?」

「ほんとほんと!私だったら自殺するし!」

「だよね~。」

僕がクラスに入るやいなや、それまで世間話をしていた女子が僕の話をしてきた。わざわざ僕に聞こえるか聞こえないかくらいの声で話している声を聞いていると、僕だって嫌になる。人は慣れる生き物だ、とは言うけど僕には全然慣れる事なんか無い。

 自分の席に着き、座ろうとした時、

「っ!」

机の上に落書きが書かれていた。消えないと問題になるから鉛筆で、机一面に僕の悪口を。それを消しゴムで必死に消している間も、周りの人からの声が聞こえる。



__________何で学校に来てるの?マジきもいんだけど。死ねばいいのに。あいつって生きてる価値あるの?___________



 何でここまで言われなきゃいけないんだろう。僕が君達に何をしたというのだろうか。僕は君達に関わらないようにしてきたじゃないか。なのに何でここまで言われなきゃいけないの?

「おい。」

誰かに呼ばれた気がして、僕は消しゴムで消すのを止めた瞬間、

「てめぇ、何キレてんだよ!」

机事、僕は蹴られた。

「お前何キレてんだよ!うぜーんだよ。学校に来るなよ!」

「アハハ。そうだそうだー!」

「死ねよ。」

周りが僕を死ねとはやし立てる。なんでこんなに・・・・・・こんなに僕は酷い目に遭わなければならないのだろう・・・・・・





  






 その日の夜、僕は自らの命を絶った。

















「ハル様、夕食の時間でございます。」

「解った。」

召使いの言葉に僕は読んでいた書物を閉じ立ち上がり、その足で食卓へと向かった。


 長いテーブルに所狭しと置かれた料理を目前に、僕達は食前のお祈りをする。それを済ませると、召使い達がそれぞれの料理を皿に盛り、飲み物を僕達に注いでくれる。僕はそれを静かに、食器の音を立てる事無く口に運ぶ。美味である。専属の料理人達が腕を奮うのだ、万が一、僕達の誰かが口に合わない等と言えばそれだけで首になる。神経の一つ一つを張り巡らせ、慎重に作らなければならない。一流シェフのそのような料理が不味い訳が無い。

 だが、

「ハルお兄様、今日のスープは少し微温くありません?」

妹のセリアの言葉に辺り一面の空気が凍る。これを良しとしない考えを父様と母様が思えば最後、スープを作った料理人、もしくは運んだ召使いの気遣いが無いと判断され処刑される。

「セリア、このスープはね、これくらいの温度が一番味が良くなるんだよ。それに僕も母様も父様も熱いスープは苦手だからね。」

「そうなのですか。お兄様は物知りですね。」

僕の言葉にセリアはほほ笑みながら口元をナプキンで吹いた。召使い達は表に出さずとも、安堵したのだろう。母様と父様も何事も無かったかのように食事を続けている。



 

 僕のいるこの家は侯爵家、要は貴族の中でも比較的高い地位にある家だと思ってくれてもいい。何故僕がここにいるのか?という事は解らない。僕はあの日確かに死んだのだから。だから僕の今の名前はハル、ハル・クラリス=コンチェス、クラリス家の次男であり・・・・・・・要するに良い所の坊ちゃんって事だ。僕が生きているこの時代は封建制度であり、前に暮らしていた時みたいに民主主義、平等なんて言葉は無い。生まれながらに全てが決まっている人が大勢いるのだ。僕みたいに良い所で生まれたのならば色々出来るのかも知れない。それでも自由に、なんて出来ないだろうけど。

 僕より歳上の人達が頭を下げて様付けして呼ぶ、最初は違和感しか感じなかったのだけれど段々と慣れていき、今では当たり前となってしまった。こうして、自殺をしたのに何事も無く、むしろ前よりも良い身分で生まれ変わる事が出来るなんて夢にも思っていなかった。今、身分が下の者達が僕を見て侮辱的な言葉を並べただけでそいつは首が飛ぶだろう。前に生きていたあいつらが侯爵よりも上の地位にいるわけが無い。せいぜいいたとしても農民だろう。まあ、一生会うことも無いだろうから復讐する事は出来ないのだけれど。

「お兄様、いらっしゃいますか?」

セリアの声が廊下の方からしたのと同時に扉が叩かれた。僕は扉の前まで行き、扉を開け

「どうしたのセリア?」

と、声をかけた。セリアは私の顔を見るなり、

「お兄様、明日は何をするのか覚えています?」

と、聞いた。その様子はさながら遠足前の子供みたくそわそわしていた。僕は一寸考えたのだが、何があったのか思い出せず、腕を組み熟考していたら、

「憶えてないのですね・・・・・・・」

と、溜め息をつき呆れながらセリアは言った。その様子から何か大事な用事があったのだろうか?と頭をひねっていると、

「明日はお兄様と一緒に海へと行く予定です!お忘れになるなんて酷いです!」

そこでようやく僕は思い出した。確かに一月前程にそのような約束をしたはずだった。僕が勉強やら何やらで忙しかったためにすっかり忘れてしまっていた。

「ごめん!ほら、僕も忙しかったから・・・・・・・でも楽しみにしてたのは本当だよ!」

「本当なのですか?またいつものように学問の事ばかり考えていらしたのではないですか?」

「ち、違うよ!さっきはたまたま忘れていただけだから!」

疑る目で僕を見るセリアに、物怖じしながら僕は答えた。中々苦しい言い逃れだったのだが、

「解りました。明日は楽しみにしています。」

と言うと、セリアは踵を返し、僕の部屋の前から去っていった。





 翌朝、馬車に僕とセリア、召使いが二人程乗り込み、僕達は海へと向かっていた。約30分程走ると海が見える。僕はこの場所が好きだった。崖を登り、水平線を眺めているだけ、これだけなのに何故か心が洗われるような気がしてならなかった。ボーっと崖に腰掛けながら眺める、たまに海鳥の鳴く声が聴こえ、崖下を覗き、それだけをするだけだった。いつからかセリアも来るようになり、一緒に会話をしながら眺める事が多くなった。

「もう少しでお着きになります。」

馬車の中から外を見ると、既に海が見えていた。もう少しで着く、そう思っていた時、馬車の中が大きく上下に揺れだした。

「!!!」

体が大きく揺さぶられる、中に置いてある物が大きな音を立て崩れ落ち、割る音がする。召使いの人達は必死にセリアと僕を覆いかぶさるようにして抱きしめる。何か大事が起きても僕達に問題が無いように。上下していた動きが左右にも動き出し、その度に僕達は中で大きく揺さぶられた。僕を必死に抱きしめている体が中の側面に勢い良くぶつかり、僕は体を投げ出された。その衝撃のせいなのか、何かで反対側のドアが開かれてしまった。そして、その方向に僕の体が勢い良く放り出され、ドアの隙間から僕は外に飛び出た。

「ハル様!!!!!!!!!!!」

地面に着いても大怪我をするのだろう、そう考えていた。







 



 だが、僕の体は地面に着く事が無かった。






 



 僕の体は地面に着く事無く、崖下へ向かって落ちていった。

 今回も読んで頂きありがとうございました!

 え~、だいぶ違う設定、内容、話なのでお見苦しいかもしれません・・・・・・元々の方も酷いんですけどね。

 前書きでも書いたように、これはある意味博打です。超博打です。1000円札を持って慶次の等価を打つような感じで書きました。ですので、宜しければ感想等私に書いてくださいましたのならば嬉しいです。学園物、って登録しておいて学園物じゃないのを書いてしまったので問題もあるんでしょうけど・・・・・・

 あ、近日中には良の方は確実に書き上げたいと思います。もしかしたら匠の方になるかもしれませんけど(笑)

 それでは、今回も読んで頂き誠にありがとうございました!どうか、この話も書き続けていけるようになったのならば嬉しいです!

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