小学校低学年
幼稚ながらも二話目を投稿します。読んでいただけたならば幸いです。
頑張ってよい文章にしていこうと思いますのでよろしくお願いします。
最後の所を少し変えました。
「はいはい、今日はこれまでだよ。もう終わり。」
先生が私の目の前で両腕を大きく振りながら声を掛けた。
時計を見ると既に終了時間となっていた。
「すみません。集中してて時計を見るの忘れてました。」
「いいよいいよ。それだけ熱中してたんでしょ?君の熱意は見てて心地いいからね。」
私は立ちあがり先生に礼をした。その後、先生から次回の課題曲と日課を忘れないように言われた。金物類のネジを緩め、ハイハットをクローズさせペダルとスネアをバックに詰めて帰る準備を行った。
スタジオから出ると、次のレッスン時間の生徒が待っていた。時間までまだ三十分前なのに既に来ている所から自主練習を行いに早く来たのだろう。
「お疲れ。良君のドラム、ますます上手くなってるね。」
「ありがとうございます。でも、豪さん程では無いですよ。」
まあなと言い、彼はスタジオの中に入って行った。私が豪さんと言った彼は私より五歳年上の中学生だ。私がこのドラム教室に通う以前から通っていて、私の先輩に当たる。長年ドラムを習っているだけで無く、持って生まれた非凡さ、そしてそれに甘える事無く自分に厳しい人だからその技術は目を見張る物がある。同年代はもちろんの事、大人でも彼程上手に叩ける人はアマチュアではそういないだろう。
階段に向かって歩いていると別のスタジオから女の子が出てきた。
「お疲れ!今終わり?一緒に途中まで帰ろうよ!」
「うん、いいよ。」
彼女は真美と言い、ベースを習っている。歳が同じという事と、レッスン時間が同じ時間帯な所から話すようになり親しくなった。
「今度またスタジオ入ってセッションしようよ!私上手くなったんだからね!」
「いいね。僕も前に合わせた時より上手になったと思うよ。」
真美もそうだが、このレッスンに参加している人は皆総じて上手い。小さい頃から教わっている事もあるのだろうが、講師の質も良いのだ。それなりの年代から参加している人も、事前に自主的に始めている人ばかりだ。そして向上心が高い人ばかりなのだから自ずと上手になる。
「そういえばそろそろ夏休みだよね~、良は夏休みする事あるの?」
「特に無いかな。あらかじめ宿題終わらせて遊んで暮らすよ。」
「え~、宿題先に終わらせるの?絶対最後の日まで何もしないのが良いよ!」
真美は大げさに驚いているようだが、私は何事も先に済ませてしまう方が性に合っているのだ。心配事は先に失くしておいた方が良い。
「じゃあ夏休み暇なんだね?それじゃあ私が呼んだ時は必ず来る事!」
「って言っても僕、真美の連絡先なんて知らないよ。」
私がそのように言うと真美は私に携帯を出すように言った。私が携帯を出すと真美も携帯を出し、私に無理やりアドレス交換をさせた。前世では私が携帯を持ったのは高校生の時からなのだが、昨今は小学生のほとんどが携帯を持っている。そんな世の中なのかなと思うが田舎ではそんな事は無いと思いたい。
「はい、これで大丈夫でしょ。じゃあ駅まで元気よく歩こう!」
真美は張り切って階段を降りて行く。そんなに急ぐと危ないぞ。
それから駅に着き、電車に乗り私と真美は家に向かった。家の近くの駅に着き電車を降り真美と別れ、改札に向かった。夕方六時と言う事もあり駅は帰路に着く人達で溢れていた。私も都会で就職していたのならば同じようにスーツを着て帰路に着いていたのだろうか。
改札を抜けてすぐに母が私の元に迎えに来た。週に三日、レッスンがある日はこのように駅まで迎えに来てくれる。
「お帰り、良。」
「ただいま、母さん。」
私と母は一緒に家へと向かった。
言うのが遅れたが私は小学二年生となった。幼稚園、小学校と私立に通わせてもらい、またドラム教室まで通わせてくれている。父が昇給し、給料の羽振りが良くなったとは言え、あまり楽ではないのではと思う。塾に通わないでここまで来れたのはひとえに、前世の事があるからだろう。いくら怠けていたとしても国立大学を卒業したのだ。中学受験までは少しの勉強で大丈夫だろうと思っていたのだが、テレビ番組で有名私立中学校の試験を見て愕然とした。もし、中学校も私立に通うのならばそれなりに勉強をしなければならない。幸いにも頭が柔らかい今の時期から大学入試レベルまでの勉強をしたら、私は間違いなく秀才として名をはせる事が出来るのだが。
そして、何故あの時ギターを習いたいと父に言い、今ドラムを習っているのか。それは父がギターを弾ける事がきっかけだった。私の家には父が使用しているギターがあった。エレキギター二本とアコースティックギター一本、それぞれそれなりの値段な品物だ。父は大学生の頃にバンドをやっていたらしく、仕事から帰ってくると毎日ギターを弾いていた。そして、私も前世で中学生の頃からギターを始め、高校生になってからずっとバンドを行っていた。何か習い事をするならギターでもやろうかな位と私は考えていたのだが父の、
「ギターなら俺が教えるから大丈夫だ!良、お前はドラムを習え!そして家族でバンドをしよう!」
と言い始めたのがきっかけだった。いやいや、私と父は良くても母は何も出来ないのではないか!だが、その心配も
「いいわね、私も久しぶりにベースを練習しようかしら。」
と、言う一言で全て無くなった。父と母は大学の軽音楽サークルで知り合ったらしい。かくして私はドラム教室に通う事になった。父は最初、私のしたい事をと言ったいたのだが、おそらくギターを、楽器をやりたいと言う私の言葉に感化され家族でバンドをしたくなったのだろう。私がギターでも良かったのだろうが、今からドラムを練習するわけにはいかない。それならば、私がドラムを叩けたら全て丸く収まるのではと考えたに違いない。そしてドラムならば何年間は機材が無くても教室で貸してくれるからお金もあまり掛からないだろう、と間違いなく考えた。ギターは自分のを使わせれば良いのだから。当たり前だが大人用のギターは子供の手には大きすぎる。この事を知ると父は私にギターは大きくなってからと言ったのだが、
「僕もギターを弾きたい!」
と言う、息子の言葉を聞き、母が父の機材を売り、私に子供用のギターを買い与えてくれた。その事を父は知らなかったみたいで、最初は知り合いから譲り受けたのだろうと考えていたのだが、私の持っているギターが新品なのを見て、母に問いかけた所、事の詳細を知った。そして、それと同時に父の持っていた主要なエフェクターを売られたと知り、一人寂しく泣いていた。
かくして、私はドラム教室に通うと同時にギターを手に入れた。初めは父の言うとおり弾き、初心者の振りをしていた。父や母がいない時に前世でやっていた曲をひたすら練習する、という事を繰り返していた。だが、半年も経つとごまかしきれなくなり、父に怪しまれ私が練習している所を見られてしまった。父は大変驚くと同時に、俺の息子は天才だ!と嬉しそうにしていた。メガデスのSYMPHONY OF DISTRACTIONと言う曲を幼稚園児が弾いていたら誰でもそう思うだろう。
それはそうと私は五年前に兄となった。妹が生まれたのだ。私が生まれてからも父と母は事あるごとに励み、新しい命を授かった。生まれたのが妹と解ると父はすぐに加奈と名付けた。私は加奈を見た時、物凄く心を打たれた。それと同時に前世の時も同じように祝福されたのだろうかと思ったら少し悲しくなった。
加奈はそれから健やかに育ち、もう四歳となっている。身内の私から見ても加奈は愛くるしい少女であり、このまま育っていけばさぞ美人になるのではないか。さらに加奈は物凄く〝チート"と言う言葉が似合う。私がギターを弾いていると加奈は「私もやる!」と言って聞かなかった。遊ばせるだけだと思いギターを渡したら、先ほどまで私が弾いていた曲を弾きこなして見せた。一度もギターを触った事の無い少女が初見でいきなり弾いて見せたのだ。私は開いた口が塞がらなかった。また、母が言うには加奈は幼稚園で歳が上の子たちとかけっこをしても負けないらしい。学力面でも非凡さを見せいる。私は天才と呼ばれる類の人間を身内を通して初めて体験した。
「おかえりなさい。」
私と母が家に帰ってくると加奈が玄関に走ってきた。駅まで数分と言う事と、加奈が聞きわけの良い子と言う事もあり母はお留守番をさせている。その間加奈はギターを弾いているのだからそこまで心配していないのだろう。
「お父さん来たらご飯食べるからもう少し待っててね。」
母がそう言うと私と加奈は元気よく返事をした。父が帰ってくるのはだいたい夜七時くらいである。それまでに私は日課のメトロノームを使いリズムを鍛える事を行った。メトロノームの音を頼りに手足を使いリズムを鍛える。ドラムもさる事ながら、全ての楽器においてリズムは重要である。それを鍛える事は楽器奏者としては当たり前の事だ。加奈も私と一緒になって行うために決して辛く無い。加奈が楽しそうにしている姿を見ると自然と私は自然と笑顔がこぼれる。だから決して辛く無い。
「ただいま。」
どうやら父が帰ってきたようだ。夕飯を食べてからギターを弾き宿題をする事にしよう。
学校も夏休みに入り、私は家にいる事が多くなった。たまに学校の友人と遊んだりするのだが毎日では無い。朝、起床し朝食を済ませ、午前中はギターを加奈と一緒に弾き、リズム練習をする。昼食を取り、午後は加奈と遊ぶか学校の友人と遊び、夕方になったら帰宅し、夕飯を取り、それから本を読んだり、ギターを弾くか、ドラムの練習をする。ドラムの練習と言っても自宅がマンションだから生ドラムを置くわけにはいかない。練習パットを使い練習している。
最近、父は仕事が忙しいらしく休日も出勤している。母は家にいる事が多い。たまに昔の友人と会いに外に出かけるか買い物をする位だ。いわゆる専業主婦なのだが、実の所、月に稼ぐ額は母の方が多い。父の収入の足しになればいいと思いFXを始めたのだが母の手際と感が冴えわたり、実に多額の資金を手に入れる事に成功した。おかげ様で私と加奈は実に恵まれた環境化で過ごす事が出来ている。
夏休みのある日、私は真美に呼ばれてスタジオに向かっていた。私と真美が通っている教室の親会社のスタジオと言う事もあり、普通に入るより安い値段で入る事が出来る。私のお金で入っている訳ではないのだから少しでも安く済ませたい、と言う事で毎回このスタジオで私と真美はセッションを行う。たまに家族で入る事もある。
セッションと言ってもそんな難しい事はしない。私が適当に叩くリズムに合わせて真美が弾く、と言う具合だ。そして毎回何らかの曲のコピーをして遊ぶ。それはレッスンでやった曲だったり、自分たちでやりたい曲だったりする。その都度、真美はベースとヴォーカルを担当し、たまに私がコーラスを行う。最初の頃はラモーンズ等を行っていたのだが、最近は真美がレッチリにはまっているらしくレッチリの曲を行っている。決して小学生が弾ける曲では無いのだが、だましだまし何とかやっている。要は楽しければいいのだ。
「あ~!来週までに絶対完璧にしてやる!来週も入るよ!」
「無理だって、僕たちじゃ。ただでさえ難しいんだよ?僕も真美も全然だよ。」
昔はレッチリのドラムなら経験者ならば誰でも出来るんじゃないかと思っていたがそんな事は断じてない。チャドのように迫力があり、要所要所でここしかないと思わせる叩き方をするのは決して楽ではない。しっかりしたリズムを保てないと曲として成り立たないのではないだろうか。
「絶対絶対ぜ~~ったい、来週までに出来るようにしてやる!目指せフリー!」
ベーシストは必ずフリーに影響されるのだろうか。昔もフリーを愛してやまない人達が多かったような気がする。私としては真美がフリーの真似して全裸で弾くと言う事が無いように注意しないといけない。友人が露出狂になるのだけは勘弁願いたい。
読んで頂きありがとうございます。