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高校一年生②

 今回はちょっと遅れたかも知れないですね。楽しみにして頂いている方、すみません。

 では、今回も皆さんが楽しんで読んで頂ければ幸いです。それでは宜しくお願いします!

「はいはい、この機械にこの紙を入れて、ボタンを押すと・・・・・・何とお札になっちゃうんですね~。あ、これ決して偽札じゃないよ?マジックだからね?」

教壇の上で割かし危ない事が繰り広げられていた。一万円程の大きさの真っ白の紙をプレス機に入れてボタンを押してプレスした所、その紙の模様が一万円札の模様になったのだ。遠くから見たら本物と遜色が無い。近くで見たらどうなのだろう。と、言うより何故生物教師がこのような機械を持ち出してきたのだろう?





 高校の教師は少し変わっている人がいる。これはどこの地域でも同じなのだろうか?現代語の教師なのに白衣を着て授業を行う先生。普段はぱっとしないのに、愛車がインプレッサWRX STiに乗っているもう少しで定年を迎える家庭科のおばあちゃん先生。毎日、良いマフラー音を響かせながら登校しているので、あだ名が走り屋おばあちゃんとなった。そして、担任なのだが、

「え~っと・・・・・・はい。今日は特に何も無いんだけど・・・・・・球技大会前にクラスの団結を一致するために今から体育館に集合!大丈夫、今の英語の時間と、次のLHRの二時間もあるから!それじゃあ十分以内に着替えて集合!」

初めてのクラス担任に意気込む若い先生だった。





「何でだでさえ暑い夏の時期に体育館で運動をしなければならないのか。朝一で体育があったのだから今日だけで三時間分体育を行こんな暑い時期に二回も体育館で体動かさなきゃいけないのよ!」

真美が不満を言っているが、その気持ちは私も解る。たう事になる。体育会系や、体を動かすのが好きな人は良いのだろうけど・・・・・・例えば、

「よっしゃー!英語が体育になった!」

小倉は張り切り過ぎている。それぞれ思う事があるのだろうが、私達は体育館に向かい、更衣室で制服から学校指定のジャージに着替えた。着替えが終わり、体育館で気だるそうにしていると、

「良、なんかお前嬉しそうじゃないな。」

「そりゃね・・・・・・暑いし。」

私の言葉に大げさな手ぶりをつけて小倉が、

「おいおい、ライブの時の方が暑いじゃねぇか!それによ・・・・・・見てみろよ。」

私は小倉が指刺す方を見た。そこにはクラスの女子がいるだけであるのだが、小倉は目を輝かせて、

「女子のジャージ姿だぜ?暑いから上はもちろんシャツ。下はハ―パン、何人かズボンもいるけどよ。見てみろよ、あの膨らんだ胸を。シャツの上から大きく主張している二つのおっぱいを。眺めるだけで興奮しないか?あれが動くと上下左右に揺れるんだぜ?しかも、ズボンもヒップラインがしっかりと現れている!これを見るだけで俺は・・・・・・俺はもう!」

いつかの時のように力説した。気が付いたらクラスの男子連中も頷いている。それほどまでに魅力的なのだろうか?私も凝視してみるが、

「いや、僕は小倉ほど・・・」

「はい出ました~!やっぱりいつも増田のような大きな胸を目の前で見てるやつは言う事が違うよな~。増田みたいに大きい胸でスタイルも良い、顔も良いなんて滅多にいないもんな~。それに、真美さんみたいな貧乳属性も一緒だもんな~・・・・・・死ね!すぐ死ね!」

またしても、いつかのように小倉の言葉に頷きながら男子達は私を睨みつけた。だが、それ以上に小倉の言葉がまずい。真美の事をそう言うと、

「死ね!」

案の定、小倉は真美に殴られた。真美の胸の事にたいする悪口は禁句である。真美が小倉を殴り、去って行った後、

「もう学習したら?」

「馬鹿野郎!!!!!!!!!」

私の言葉に小倉は血相を変えて、

「俺だって学習していない訳じゃねえ!真美さんに胸の事を言うと殴られる事くらい知っている!でもな、貧乳と言われて頭にくる真美さんをみたいからやってるんだよ!裏返せば、貧乳という事にコンプレックスを持っていると言う事だ!そんな女性を見ない事ができようか?いや、出来ない!・・・・・・俺は巨乳の方が好きだ。でもな、貧乳の事に悩んでいる、その事に恥ずかしがっている女性はもっと好きなんだ!!」

またしても小倉に拍手が送られる。女子は冷めた目で見ている。それと同時に真美を励ましている。真美も、「いつか殺す。」と呟いている。何とも言えない状況だった。また一つ、小倉が遠くへ行ったような気がしてならない。








「おかえり~~~~!!!!!」

家に帰宅すると加奈が私を出迎えてくれた。実に一月半ぶりにその姿を見ることとなる。メールや電話で近況は教えてくれたのだが。

「今日帰ってきたの?」

「うん。お昼には帰ってきたよ~。んで、はいお土産。」

と、加奈が私に手渡したのは・・・・・・

「いや、ビールが名産なのは解るけど、僕、未成年だよ?」

「大丈夫!ノンアルコールだから!それとソーセージ!」

ベルリンに行っていたのだからこのようなお土産になるのは予測していたのだが、本当に予想通りだとは思わなかった。まあ、ドイツのソーセージは絶品らしいし、これでフランクフルトを作り食べる事を考えたら口の中に涎がたまった。



 久々の家族四人での夕食を終え、私と加奈は部屋でお土産のビールを飲むことにした。

「本当にノンアルコールだよね?」

「本当だってば~。それじゃあ乾杯しよう?」

加奈はビール瓶を開け、私と加奈のグラスにビールを注ぎ込んだ。冷蔵庫に冷やしておいたので、今日のような暑い夜には最高なシチュエーションである。アルコール入りならば・・・・・・

「それじゃ~乾杯!」

「乾杯!」

グラスの合わさる音が響き、私はビールを一気飲みした。この喉越し、苦さ、疲れた体に心地良い程染みていく感じがたまらない。

「っ~~~!やっぱ美味しいな~。ドイツのなんてビールだろう?それにしてもアルコール入りと変わらない美味しさだね。これってす・・・・・・」

何のビールか確認しようと瓶のラベルを見た所、私は言葉を無くした。明らかにアルコール分5%と書いているからだ。

「ちょっと、加奈!これノンアルコールじゃないよ!」

私はそう言った後、加奈の方を見た。だが、加奈の様子がいつもと違う。手に持つグラスは既に空になっており、顔が見る見る前に真っ赤になっていった。明らかにアルコールにやられた顔だ。私は加奈の酔いを冷ますために水を持ってこようと立ち上がろうとしたその時、

「どこに行くの?」

私の腕を掴み、加奈が言った。

「加奈、酔ってるでしょ?もうこの際アルコールが入っていたとかどうでもいいから水を持って」

「そんな事どうでもいいでしょ?お兄ちゃんは私といっしょにいるのいや?」

そう言うと、加奈は私の腕を胸の辺りに持ってきた。いつのまにこんなに成長したのだろうか?とても今年中学一年生になったばかりの女性の感触と大きさでは無い。これではまるで増田さんのようである。非常にまずい。アルコールを摂取したせいもあるのだろうが心臓の鼓動が速い。まるで、実の妹に欲情しているかのようである。そして、加奈の鼓動も腕を伝って感じる。加奈も同じように鼓動が速い。何をしているのだ、私は。そう思っていると、

「聞こえる?私、こんなにお兄ちゃんの事を考えると胸がどうにかしそうなんだよ?」

真っ赤な顔だが、上目遣いで言い寄る加奈に確かに女性を感じてしまった。

「あの時、お兄ちゃんの事好きって言ったの嘘だと思った?でも本当の事・・・・・・だって、こんなにもお兄ちゃんを欲しがっているんだもん。」

加奈は私の掴んでいた腕を自分の服の中に入れた。段々と私の手を上に上げていき、胸の辺りに持ってくるとブラジャーの中に入れた。加奈の体温が私の手のひらを伝わり感じる。とても熱く、そして体温ばかりではなく柔らかさまでも感じてしまった。素直に言えば、私は加奈に女としての魅力をこれ見よがしに感じさせられたのだ。

「ね・・・・・・解るでしょ?本気なんだよ・・・・・・だからお兄ちゃん、私を一人の女として・・・・・・」

「っ!」

私が、気合を入れて冷静さを保とうとすると同時に、加奈の体から力が抜けていき、私の元に倒れた。何か悪い事でも起きたのか?と思って加奈を見ると、加奈は寝息を立てて寝ていた。どうやら初めてのアルコールにやられて、潰れてしまったらしい。

 私はほっと胸を撫で下ろすと、加奈をベットまで運んで寝かせた。運んでいる時に、もう加奈は少女ではなく、大人の女性に近づいている事を解ってしまった。そして、恐らく最後の言葉も酔いで自制心が効かなく発したのだろうが、本心なのだろう。

 加奈が私のことを兄として見ているのでは無く一人の男性として見ている。嬉しい気持ちとは裏腹に侵してはいけないタブーだという気持ちが生まれる。正直な話、私はあの時加奈に欲情してしまった。兄なのに、妹にだ。あれほどまでに寄られて大胆な行動をされた事が無い、という事があったとしても、あってはならない事なのだ。

「まいったな・・・・・・」

私は残っているビールを開け、一人で飲み始めた。未だに鼓動の速さは続いている。真美、増田さん、加奈。もうそろそろ答えを出さなければならないのかも知れない。今までのようになあなあで済ます訳には行かない時期かも知れない。次に加奈が免疫を付けて私に言い寄ってきたら、私は断れる自信が無い。加奈だけ無く、真美や増田さんでもそうだろう。そうなってしまった場合、答えを出していないのに手を出すことになる。不可抗力と言って免れる事など出来ようも無い。

「高校までだな。それまで愛想つかされるかも知れないけど。」

いつの間にか空になったビール瓶を見た後、時計を見てもう夜も更けてきた事に気づいた。私はビール瓶とグラスを片付け、布団に潜り込んだ。



 翌日、加奈が物凄く体調を悪そうにしていた。

「ごめんお兄ちゃん・・・・・・昨日ビール飲んでから記憶無いんだけど、ノンアルコールでも酔ったりするものなの?」

「あれね、アルコール入ってたよ。多分二日酔いだから今日はゆっくりしたら?」

私の言葉に黙ってうなずき、加奈は再び眠りについた。初めてのアルコールに記憶をなくしていたらしい。昨夜の事を覚えていないのは、私にとって好都合だった。

 それから、母にビールの事を話し加奈を休めさせる事にした。母がきちんと確認をしていればよかったのだが、

「ま~お酒位この歳になったら飲むでしょ。」

の一言で終わった。確かにそうだが、親公認でそれはいささかまずいのではないかと感じてしまった。






 終業式が終わり夏休みに入ると、私達はよりいっそうバンド練習に力を入れた。時には一日中部室で曲作り、練習を行った。あまりの暑さと真剣さに脱水症状になるのではないか、と思ったくらいだった。個人個人が自らの実力のレベルアップを図り、私達のバンドはより一層の実力を付けたと自負している。


「今日はここまでだね。珍しく次が入ってるみたいだし。」

額の汗を拭き、私はそう言い練習を終えた。二人ともここ連日の猛練習にさすがに疲れた表情を隠せないでいる。

「一応、新曲が出来た、と言う事でいいのかな?」

「そうですね。そういう事で良いんじゃないですか?」

部室の中の熱気を少しでも和らげるために、クーラーの温度を下げて、二人はマイクを片付け始めた。私も自分の楽器を片付け、それらを持ちいち早く外に出た。

 外に出ると、次のバンドの人達が既に待っていた。

「お疲れ~。」

「お疲れ様です。」

「気合入ってるね~。何かあるの?」

私はそう問われ、

「今月にコンテストがあるんですよ。優勝するとレーベルから声がかかるとか、もしくはお目にかかれば同じような結果になるとか。」

そのように答えた。

「そんなのがあるんだな。俺らも来年出ようかな。お前らは出るなよ、俺らが上に行けないからな。」

「僕達がお目にかかればいいんだけどね。」

真美と増田さんが部室から出てくると、その人達は部室に入っていった。

「何話してたの?」

真美が私にそう言ったので、

「いや、何でも無いよ。」

とだけ、答えた。





「前より広い場所だとは聞いてたけど、そこまで変わらないものなのね。」

会場を目にし、真美が呟いた。大会本番、私達は会場に来ていた。出演者達が集まる時間より少し早めに来ていた。中に入り、楽屋に行くと、既に何組か来ているようだった。

「お疲れ様です。」

「お疲れ様です。」

私達の挨拶に、皆こちらを向き挨拶を返してくれた。ぱっと見だが、緊張を隠しきれ無い人が多く見える。それだけで、この大会に意気込んできている事が解る。だが、私達も皆と同じ、それ以上に努力してきたと自負している。

「あ、この前はどうも。あなた達の演奏を聴いてちょっと自信無くしましたよ。」

一人の青年が私達に話しかけてきた。その青年は、以前見たことがあった。それもそのはずであり、私達と同じ地域のもう一つの出場バンドである。小学生の天才ギタリストを筆頭に全てのパートが高いレベルを持っていた。

「いえ、私達もあなた方の演奏には感激しました。何より、あのギターの子には私も驚かされました。」

「あいつは俺の弟なんですよ。俺らの仲間でバンドを組むときにあいつ以外に良いギター弾けるやついないんで。でも、貴方も私と同じ位の年代のはずなのに凄いですね。プロの演奏かと思いましたよ。」

謙虚で低い物腰のまま言い続ける彼に、私はより一層の好印象を抱いた。私達の事を教えると、彼は納得したかのように、

「それならばその実力も頷けますね。しかし、本当にプロでしたか。今度一緒に対バンしませんか?俺らも貴方達から学びたい事はいっぱいあるし、何より面白そうです。」

「ええもちろん。一緒にやりましょう。その時は是非オリジナルが聴きたいですね。それではお互い頑張りましょう。」

「ええ、今回は負けません。」

互いに握手をして、私達は健闘を祈った。


 会場に移動し、主催者からに挨拶を聞き、私達は出番を待った。今回も中番だったので、出番が近づくまで他のバンドの演奏を聴いていた。さすが全国各地から予選を勝ち抜いてきたバンドや、人達だったので、その演奏力、オリジナル性はどれも引けを取らなかった。様々なジャンルがあるのかと思っていたのだが、やはり中高生に人気のジャンルがオリジナルにも現れている。だが、それぞれの良さをきちんと出し、観客達を盛り上げさせていった。審査員席の人達も固唾を飲んで聴き入れ、それぞれのバンドの評価をしていた。その中に、お世話になっているディレクター、そして何故か師匠もいた。

「ねえ、良の先生いるよ。」

「うん、僕もびっくりしてる。」

「私達が考えているよりももっと凄い人だったんですね・・・・・・」

増田さんの言葉に私は黙って頷くしかなかった。影響力のある人だと思っていたが、ここまで多方面に関わっているとは思わなかった。考えてもみれば、いくら長年、トップクラスのプロのミュージシャンだったとしても、ドラム奏者だけであんなに豪華な家を持つ事は厳しい。そして、顔の広さ、慕われよう、もしかしたら私が知らない以外にもまだまだ師匠の秘密は多いのかも知れない。

 

 先程の青年のバンド、小学生ギタリストのいるバンドの演奏が始まった。今回も同じくエクストリームのようだった。出演しているギタリストは彼のプレイを食い入るように観ていた。私も、気になっていたので始まる前に色々聞こうとしたのだが、

「あんたギタリストじゃないだろ。そんなやつに教える事なんて無い。」

と、一蹴されてしまった。なんて可愛げの無い子だろう、と思った。だが、彼のプレイは凄まじい。以前の棒立ちのプレイから、所狭しと動きまわる姿はさながらヌーノのようである。

「彼も何か一皮剥けたかな。」

音の変化以前に、ライブでの立ち振る舞いからそう思った。



「そろそろ私達の出番ですよ!」

増田さんが私と真美にそう告げたので、私達は楽屋の方へ向かった。楽屋に入り、今朝したスネアのチューニングを再確認し、ペダルとスティックを取り出した。軽い準備運動を行い、私達の出番を待った。

 次に出るバンドが楽屋に入り、準備を終えた所で、

「君達さ、何処の代表?私達北海道なんだよね。」

と、話しかけてきた。

「僕たちは関東です。家がこっちにあるので地元ですかね。」

「そうなんだ。じゃあ、交通費とか出ないのかな?私達は北海道からこっちまでの交通費出てさ。飛行機代だったからフェリーで来て差額分儲けちゃった!」

こういう事が出来るのが地方の強みだろう。私も、同じことをしたと思う。北海道から来たと言うこの人達は、どうやらガールズバンドのようであり、地元の学校の制服を着ていた。私服や、そのバンドの個性に合わせた衣装も良いのだが、制服と言うのも女子ならば良い。見ていて清々しい気持ちになる。もっとも、文化祭で真美と増田さんの制服姿でのライブをメンバーとしては観ていたが、観客として観るのはまた一つ違う意味合いを持っている。

「でも君はまさに両手に華だね。こんな可愛い子達とバンド組んでるなんて周りからうらやましがられない?」

「そうですね。僕もそう思いますよ。」

僕が素直にそう言うと、茶化すはずだったのだろう、反応が薄い事に少し顔色を変えた。遠くで真美や増田さんが、それ見た事か、といいたげそうな顔をして私達を観ていた。すると、彼女は他のメンバー全員を呼び、私を囲むと、

「あの子達も可愛いけど、私達も悪くないでしょ?」

「そうそう、私達来年上京するからその時はね?」

「私達と遊ばない?」

「手とり足取り色々教えるよ~。」

と口々に言ってきた。言うだけで無く、制服のスカートを捲し上げる等もしてきたのだが、私には彼女達の色気等どうとも思わない。真美や増田さん、加奈といった三人に比べたら天と地ほどの差があるのだ。だが、真美と増田さんは彼女たちの行為に腹を立てたのか、こちらに寄ってこようとしていた。始まる前につまらない事で騒ぎを起こしたくなかったので、

「遊ぶのは良いですけど、そんな事までしてくださらなくて良いですよ。間に合ってますんで。」

と笑顔で拒絶の言葉を差し向けた。その言葉が面白く無かったのか、

「そ、そう?あ~・・・・・・イケると思ったんだけどな~。ま、いいや。お互い頑張りましょう。」

と、最初に話しかけてきた彼女が言った。そして、手をさし出してきたので、私はその手を取り、

「ええ、頑張りましょう。」

と、言いながら握手をした。その後、彼女らはステージの方へ向かった。

「良って誰にでも付いていく奴じゃないんだね。私達が迫ったときにすぐ狼狽えたから弱いと思ってたよ。」

「私もそう思ってました。でも違うんですね!」

彼女たちがいなくなると同時に、真美と増田さんが私にそう言ってきたので、

「そりゃ、真美や増田さんほど色気があって魅力のある女性なんていないからね。それに比べたら他の女性が迫ってもどうとも思わないよ。」

と答えた。二人は私が褒めた事に嬉しそうに笑い、

「そうですね!ありがとうございます!」

「ま~、加奈ちゃんって言う例外がいるけどね。」

と答えた。確かに、加奈と言う例外がいる事に同意をせざるを得ない。


 前のガールズバンドが終わり、私達はステージへ向かった。表に立つと、多くの観客と終えたバンド、これから出るバンドの人達が私達を観ていた。そして、中央に審査員達。これほどの目に見られたのならば、よほど場慣れをしている人以外ならば足が竦むだろう。近くを見ないで、遠くを観る、足元をみているだろう。人それぞれであるが、緊張をほぐすのは重要だ。私とて、決して緊張しない訳ではない。程良い緊張感があるだけだ。緊張しすぎていると体に力が入りすぎていけない、逆に全く緊張しないのはそれはそれでいけない。私としては緊張感がなさすぎると、全くやる気が出ず何をしてもつまらなく感じてしまうからだ。そんな中では決して良い演奏、音楽が生まれる訳が無い。これが私の自論だからだ。

 長く照明が当たっていた事もあり、ステージ上は程良いくらいの熱気だった。もっともっと熱ければ良いが、それは私達が演奏している間に暖めれば良い。会場全てを熱気につぎ込むくらいに。

 音を出し、PAと確認を終えた所で準備が終わった。二人は私よりも早く終えていたようで、黙ってこちらを見ていた。




「終わった?それじゃあやろう!」

「オーケー!真美も増田さんも、今日も楽しもう。」

「はい。またいつものようにですね!」

「うん、それじゃあ精一杯楽しもう!」

「「おーーーーー!!!!!!」」














 軽いタム回しの後、タメを作り、皆で同時に音を出した。ベースから放たれるA音、増田さんの弾くスケールにのせ、私は金物類を叩き続けた。その後、ハイハットで勢い良くカウントを刻み曲の開始を告げた。熱い熱気に包まれながら、私達は大勢の客、バンド、審査員の前で自分達だけの演奏を開始した。



















「皆さん盛り上がってますか!!!?私達は見て解る通り盛り上がっています!今日は・・・・・・コンテストの全国大会って事でもう次が最後の曲なんですけど・・・・・・あ、ありがとうございます!頑張りますよ~!もう演奏が終わったバンドの方はお疲れ様でした!これから演奏する方は頑張ってください!審査員の方々もお疲れ様です!そして、見に来てくれている人達ありがとうございます!私達の事を初めて知った方々は、良かったら応援してください。もし、知っていて来て下さっている方がいらっしゃったらありがとうございます!もっともっと頑張ります!それじゃあ、最後の曲です。盛り上がりましょう!多いに弾けましょう!

jump to one's feetです!行くよ~~~~~~!!!!!!!」















 二曲目だが、最後の曲を私達は始めた。観客が盛り上がっているのが見えた。真美が楽しそうにベースを弾き、マイクに声を通す。増田さんも流れる汗を拭くことも無く歌い、弾き続ける。嬉しい事に皆が熱狂してくれていた。コンテストなのに、ライブとは言えないのに。皆が熱くなっていた。ドラムを叩く手に力が入る。前ノリになるから、皆をもっと盛り上げさせるために。そして、私は気が付いた。この中の誰よりも、私が熱狂して、楽しんでいるんだと。

 今回も読んで頂きありがとうございました!

 え~、今回結構時間がかかってしまった理由としましては、外伝を考えていたからです。結構書き進んだ、と思ったらデータが消えたり、等とハプニングもありました。そして、いまだに外伝進んでません!どうしよう・・・・・・テーマが難しすぎて進まない・・・・・・

 と、愚痴を書きましたが、今回も読んで頂き誠にありがとうございました!

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