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中学三年生①-2

 と言う事でその2です。恐らく、前回の良の行動に疑問を感じた人って結構いると思います。良死ねってなると思います。多数の人から好意を抱かれて、特定の人物を選び、その先をってのを書くには私はまだまだ勉強不足なのでこうしてしまいました。すみません。それでも読んで頂ける方々には私自信もっと勉強して、納得のいく文章を書いて行きたいと心がけていますのでどうぞよろしくお願いします。それでは今回もよろしくお願いします。

「それにしてもどこかで見た事ある顔だと思ったらあの天才ピアニスト少女だったのか~。お前も凄いのを妹に持ったな!」

夕食の席で父が加奈を見てどこかで見た事あるような顔だと言ったので、天才ピアニスト少女としてテレビで紹介された事があると説明した。そうしたら、父は非常に興奮し、握手を求め、サインまでねだった。加奈の困惑した顔を久しぶりに見れたので私は面白かった。

「テレビで見るより何倍もめんこいな~。そんなにめんこいと学校の男どもが放っとかないだろ?」

「そ、そうですね~?」

父はただの酔っ払いになっていた。それも達の悪い酔っ払いに。




 父が仕事から帰って来ると、母は私の事を全て話した。母の時と同様に、私と父しか知らない事を話すと(おもにへそくりの場所を話した。そして今も変わって無かった。)、父は私の名前を呼んで、殴った。そして泣いた。

 姉とも会いたかったのだが、明日来る事になっていたので今日は来れないみたいだ。甥っ子を見たかったのだが。

 夕食の前に、小比類巻の母じゃなく、新堂の方の母に、加奈が私を追ってきた事、ついでに真美と増田さんもついてきた事を電話で話した。私はすぐさま加奈と電話を変わった。母からだいぶ絞り込まれた加奈はぐったりしていた。切符の関係上、最低でも三泊しないと電車のチケットが取れない事を伝えると、母は真美と増田さんの親に家に三泊する事を連絡するからきちんと帰って来なさいと言った。あっちに帰ったらだいぶ怒られる事を予想したら、私は頭が痛くなった。


 賑やかな夕食が終わり、三人一緒にお風呂に入っている間、私はまた屋根の上に昇っていた。都会とは違い、真っ暗な夜の中、波の音だけが聴こえてくる。その音を聴くだけで心が洗われるようだった。

「やっぱ、ここにいたか。」

父が酒を持って屋根の上に昇ってきた。

「まだ未成年なんだけど。」

「馬鹿野郎。お前が今の歳で梨木の家で酒を飲んでた事や煙草を吸ってた事もこちとら解ってるんだ。今更良い子ちゃんぶってんじゃねぇ。」

「変わらないな。」

父は私に猪口を渡し、酒を注いだ。私も同じように父の猪口に酒を注いだ。

「取り敢えず、再び会えた事に乾杯だ。」

父と私は猪口を合わせ、ぐいっと一気に中の酒を飲みほした。この体になって初めて飲む酒が日本酒と言う事もあり、久しぶりの酒の味はただ辛くてきつかった。

「きっついな~。」

「口がまたお子様に戻ったんじゃないか?」

父は笑いながら、また酒を注いだ。

「今夜は月が綺麗だな。」

「ああ、満月だ。」

私も酒を注ぎ、月を見上げながら酒を一口、口に含んだ。

「昔は月を見上げながら飲む酒は旨かったけど・・・今はきついな。たぶんビールもだめだろう。」

「もう顔真っ赤だもんな。相変わらず顔に出るんだな。」

「ほっとけ。」

父と私は笑い合った。酔いが速く回ったのか、心臓の鼓動が速くなっているのが解る。

「でもよ」

父は酒を口に含みながら、

「姿形は違えど、生きていて良かったよ。お前が死んだ時、母さん少しおかしくなったんだ。葬式中なんて見てられなかった。あんなに泣き叫ぶ姿を見たのは結婚する前から一度も見た事が無かった。」

酒を一気に飲み干すと、再び月を見上げ

「大勢の人がお前の葬式に来てくれた。それを見て俺は、お前は他所でもちゃんとしてたんだなって思ったら涙が出ちまったよ。母さんも五年もしたら元に戻った。その間、香住が世話してくれてな。あいつも家庭があるのに、毎日来てくれた。あいつの旦那も。あいつは良い奴とくっ付いたよ。」

「父さん。」

私は猪口を下に置き、

「僕、感謝してる。今までの事全てに。高校だけじゃなく、大学まで行かせてくれてありがとう。いつもご飯を食べさせてくれるために働いてくれてありがとう。好きな物を買ってくれてありがとう。父さんと母さんには感謝してもしきれないほど沢山のモノを貰った。僕が今、こうして新堂良として生きていられるのも、もしかしたら神様が僕に父さんたちにまだ何も返してないだろって事で生かしてくれたのかも。」

父は腕を震えながら顔を下に向いていた。

「馬鹿野郎、お前は俺らにいろんなモノを返してくれたさ。金の話じゃねえ。いつも気持ちで返してくれてただろう。帰ってきたら必ず元気な姿見せてくれたじゃねぇか。親はな、子供が元気な姿を見るだけでいいんだよ。」

「悪いな。先に死んじまって。」

「生きてるじゃねぇか。今もこうしてさ。」

「そうだな。」

私と父はそれから酒瓶が空になるまで飲み続けた。酔いで火照った体に、夜風が涼しく感じた。




 翌日、物凄い頭痛と吐き気で私は起きた。昨夜の酒が響いたみたいだ。

「そんなに飲んで無いのにな。」

台所へ向かい、コップに水を入れて一気に飲み干す。少しだけ気持ちが楽になった。

「二日酔い?」

「みたい・・・」

母が二日酔い止めの薬を持って来てくれたので、それを飲み、私はまた布団に入った。


「起きろ~~~~~~~~!!!!!ってきゃああああああああああああああ」

あまりのうるささに目を開けると体の上に被さっていたはずの掛け布団が無かった。横を向くと、掛け布団を持ったままの真美がいた。

「ちょっと頭痛いからあんまり大声出さないでよ・・・・・・」

「だって・・・・・・」

先ほどの声と違い、小さな声で顔を真っ赤にしている真美を見て、何があったのか考えた後、私は今の恰好を思い出した。上半身裸で、パンツ一丁、そしておそらく寝起きなので・・・・・・

「うわああああああああああああああああ!!!!!!!!!真美、布団!布団!」

「う、うん!」

慌てて真美に掛け布団を要求し、投げ渡された掛け布団で体を隠した。

「と、取り敢えずまだ寝るから・・・」

「そ、そう・・・おやすみ・・・」

真美は顔を真っ赤にして部屋を出て行った。私は掛け布団で顔を隠し、恥ずかしさに悶えた。




「ごめん・・・・・・」

「こっちこそごめん!まさかあんな格好だと思わなくて!」

再び起きて、身支度をして居間に向かうと真美がいたので先ほどの事を謝った。真美も突然の事にびっくりしたのだろう、私に謝ってきた。

「でも何であんな格好で寝てたの?」

「多分、夜寝てる時、暑くなって、皆がいる事忘れて脱いだんだと思う。僕の布団の周りに服があったし・・・・・・」

無意識のうちに行っていたらしい。こんな事をしたのは良になってからは初めてだった。

「でも・・・良のって大きいんだね・・・」

「褒め言葉として受け取っておくよ・・・・・・」


「わんこ!わんこ!」

外では加奈と増田さんが犬と戯れていた。この犬は何代目なんだろうか?でも犬は柴犬が一番可愛い。

「可愛いですね~」

犬の首元をさすって増田さんが言った。犬も気持ちよさそうに尻尾を振っている。それにしても犬と戯れる美少女二人。悪く無い絵だ。携帯を取り出し、カメラに設定をし、犬に戯れる二人を隠し撮りした。

「え?」

シャッター音で気付いたのか、二人は私の方を見た。

「おはよう。」

「もう昼だよ~」

「お兄ちゃん起きるの遅い!」

私は二人の元に近寄り、犬の頭を撫でた。

「ちょっと昨日寝たの遅かったからね。」

「そうなんだ。」

犬を撫で続けていると、敷地内に車が入ってきた。家の前で止まると、車の助手席から私と同じくらいの歳の男の子が、後部座席の方から二人の小学生くらいの歳の女の子が降りてきた。

「うわ、マジで新堂加奈だ!」

男の子が加奈を見て驚きの声を挙げた。初対面の人に呼び捨てにされた事に不服な加奈は少し不機嫌な表情をしていたが、

「「加奈ちゃんだ~~~~~~!!!!!」」

二人の女の子が走りながら近寄ってきた事に驚き、私の方を見た。そして、二人の女の子に囲まれ、質問責めに合った。

「こら!博美、幸恵!困ってるでしょ!落ち着きなさい!」

「「だって加奈ちゃんだよ?超可愛いもん!」」

「落ち着け。」

「「はい・・・」」

運転席側から降りてきた女性の言葉に二人の女の子は加奈から離れた。加奈は少し安堵の表情をして胸を撫で下ろした。

「君が良くん?」

「はい。」

「ちょっとあっちに行かない?」

「ええ、良いですよ?」

私はにやりと笑い、女性の指さす方へ向かった。その様子を不思議そうに二人の女の子と、男の子は見送った。加奈と増田さんが後ろから浮気者~!って叫んでたが。


「あんた本当に博之?」

「そうだよ、香住。」

ちなみにこの女性は私の姉だった小比類巻香住だ。そろそろ四十歳だと思うのだが。

「へ~、本当に全然違うね。めっちゃイケメンじゃん。」

「何、そんなに昔の僕って不細工だった?」

「いや、普通?」

二人で笑い合う。何年経っても、姉弟の関係は同じらしく、会話のテンポも昔とさほど変わらない。

「それで今の旦那って昔付き合ってたあの自衛隊の人?」

「そうだよ~。結婚しちゃった!」

「おめでとう。」

「ご祝儀」

「お前中学生からせがむのか?」

出してきた手を叩き、私達は笑い合った。







 それから私達は、久々に前の家族全員揃っての食事をし、会話をして過ごした。他にも香住の子供、加奈、真美、増田さんと大勢いたが、大勢で囲んで食べる食事はどこでも美味しく、楽しかった。父が仕事の無い日に、私達は父にお願いして、車で近くのスタジオまで送ってもらい、父と母に今のバンドの曲を披露した。演奏終了後、父と母から大きな拍手を貰い、私達は二人に演奏を披露する事が出来て良かったと心から思った。

 




 次の日の朝に帰る事が決まっていたために、私達は身の回りの整理を行った。それから、皆が就寝したのを見計らって、私は砂浜に向かった。

 砂浜に向かう途中で枯れ木を何本か拾い、砂浜に着くと拾ってきた枯れ木で焚き火を作り、着火剤を置き、火を点けて燃やした。お盆の迎え焚き火と送り焚き火の、私の、小比類巻博之の送り焚き火を自分自身でしたかったのだ。焚き火の火の勢いが増すにつれ、木が燃える音がしていく。

「も~えろよもえろ~よ、ほのおよも~え~ろ~」

いつの間にか口ずさんでいた歌を歌い、私は焚き火を見ていた。小比類巻家にくるのはこれが最後だ。小比類巻博之はもう死んでいるのだから、むやみに私が来ていい場所では無い。これは私もそう思っていたし、父と母もそう感じていただろう。それでも、ここに来て良かった。

「今日で小比類巻博之は完全に死んだよ。僕は身も心も新堂良になる。」

どこかで博之に戻る事に期待を感じていた自分、ずっと長い夢を見ていて、これは博之が夢見ている世界かも知れない、って。それらを全て捨てる。私は新堂良だ。

 小比類巻博之がずっと吸っていた煙草を取り出し、ライターで火を点け一服をする。昔はあんなに美味しかった煙草も、今となってはただ煙を吸って吐いているだけとしか思えない。

「こんな煙を美味しいなんて感じてたなんて、煙草は麻薬より性質が悪いな。」

私はもう一本煙草に火を点けると、焚き火の前に刺した。そして、煙草を口にくわえ、合掌を行った。私は神様に初めて感謝の言葉を奉げた。死んでもなお、私を両親に合わせてくれた事を、新しい命をくれた事により素晴らしい出会いと生活を送れた事を。そして、今後も送れる事を。

 煙草を吸いきると、持って来ていた携帯灰皿に入れて、砂浜に刺した煙草も燃え尽きたのを確認して灰皿の中に入れた。それから焚き火が完全に燃え尽きるのを見届けた。焚き火が燃え尽き、再び着火しない事を確認すると、

「じゃあな小比類巻博之。安らかに眠れ。」

それだけを言うと、私は砂浜を後にした。



 翌日、私達は父と母に駅まで送ってもらった。

「もう来るんじゃねえぞ。お前は新堂良だ。俺達の息子の小比類巻博之じゃねぇ。」

「解ってるよ。今度会う時はお空の上だな。」

「そうだな。」

父は笑いながら煙草をふかした。

「そうね。博之は死んだもんね。ここにいるのは良くんだもんね。」

母は少し悲しそうにしていた。

「それじゃあ、行くよ。」

「おう、行ってこい。」

「元気でね。」

見送る母と父を後にして、私達は駅の階段を昇って行った。






















<Side Another>






「今日で小比類巻博之は完全に死んだよ。僕は身も心も新堂良になる。」

お兄ちゃんが焚き火に向かって呟く。それまで持っていた小比類巻博之への未練が無くなったのだろう。そして、心の中のどこかにあった新堂良を認めていなかった気持ちが無くなり、身も心も新堂良になる事を決めたのだろう。その背中は堂々としていた。格好をつけて煙草なんか吸ってる。結構、キザなのかもしれない。でも未成年は煙草を吸っちゃいけないから今日以外で吸ってたら注意をしなくちゃ。



 物心ついた時には、私は他の人とは違うと自覚していた。私が初めてギターを触って弾いた時、お兄ちゃんもお母さんもお父さんも凄く驚いていたし、勉強も一度読んで考えたらほとんど解る。運動だってどう体を動かしたら良いか、普通に行っているだけなのに他の人よりいつも優れていた。他の人が出来ない事を見ていると何で出来ないか理解できなかったりした。それは主に勉強面なのだが、他の人が考えているのを見ると何でこんなの出来ないのだろうという気持ちになった。私はそれらを経て、少し傲慢になっていたのかも知れない。段々、女の子の友達は離れて行った。それでも良かった。家にいればお兄ちゃんがいて遊んでくれる。でも、離れて行った友達の数が多くなるにつれ、私は寂しさを感じて行った。ついいに誰もいなくなった時、私は孤独という感情を初めて知った。男の子は寄ってくる。でもそれは対等な立場の友達では無い。それがまた女の子達は気に入らなかったのだろう。無視だけしていたのが、次第にいじめへと発展して行った。



 いじめは決して気持ちの良いものでは無い。男の子も女の子もいじめを受けると心に大きな傷を受ける。暴力は物理的な物だけでは無い。殴られるよりも、蹴られるよりも何よりも、言葉の暴力は私にとって痛かった。私に向かって喋るのならまだいい。反論をしたらいいだけだから。しかし、陰で言われたり、他の人との会話中に私に聞こえるように言うのは物凄くきつい。名前を言わないのだけれど、私の特徴を上げて悪口を言う。決して私個人の名前を挙げないのだからどうとでも言い逃れる事が出来る。悪口から、今度は私の持ち物を破り捨てる、机の中に死ねと書かれた紙を入れる、靴の中に画鋲をいれる、靴を隠される、トイレに入ったら水をかけられる、とエスカレートしていく度に、私は何で生まれてきたのだろうと感じた。誰も私が生きている事を望んでいない、そう思った時、私は死のうと考えた。

 部屋の天井にロープを付けているちょうどその時、部屋にお兄ちゃんが入ってきた。お兄ちゃんは私がロープを付けている所を見るや否や、走って私の元へ向かい、私に体当たりをしてロープからつき放した。そしてロープを掴み、部屋を出て行った。私は茫然としていると、お兄ちゃんはすぐに部屋へ戻ってきて、私を叩いた。

「おまえ、何をしようとした?」

いつもの優しいお兄ちゃんの声じゃなく、低く、小さいけど、はっきりとした口調で言った。私はそれに対して、私は誰からも望まれていない、生きていても意味が無い、だから死ぬんだと言ったら思いっきり叩かれた。

「誰からも望まれていないって?生きている意味が無いって?ふざけるな!ここにいるだろ!お前が生きるのを望んでいるやつが、これから成長していく姿を望んでいるやつが!ふざけるなよ、世の中にはな生きたくても死んでしまうやつだっていっぱいいるんだ。それを自分から死ぬなんて事するなよ!」

その言葉を聞いた時、私は今まで溜めこんでた思いが全て溢れ出した。お兄ちゃんに何が解るの?私はいっぱい傷ついた。いっぱい酷い事もされたし酷い事を言われた。友達も皆いなくなった。お兄ちゃんはそんな事ある?ある訳無いよ!お兄ちゃんにはいつも周りに大勢の友達がいて、いつも皆から慕われている人に私の気持ちなんか解るはずが無い!知った風な事言わないでよ!そう言葉にしていた。私は泣いていた。泣きながらお兄ちゃんに向かって大声で叫んだ。そしたらお兄ちゃんは私を抱きしめ

「痛かったよな、凄く痛かったよな。言葉の暴力って何であんなに痛いんだろうな。不思議だよな。体が傷つくよりも、心が傷つく事の方が百倍もいたいよな。体の傷は消えるけど、心の傷って消えないもんな。」

そういって抱きしめてくれたお兄ちゃんに、私はお兄ちゃんを強く抱きしめて泣いた。いっぱい泣いた。凄く泣いた。

 お兄ちゃんは私がずっと側にいてくれて、一生懸命背中を撫でてくれた。それから私は全てを話した。いじめられた事を。そしたらお兄ちゃんは、

「僕もね、いじめられた事は無いけど、嫌われた事はいっぱいあるよ。僕はその時、相手の事を全然考えなかったんだ。僕が相手の事を考えないで言ったり、行動したらその子は僕の事を嫌い始めた。そして、僕の事を嫌いになる人が多くなった時考えたんだ。何で皆僕を嫌うんだろう?って。考えたら、僕の行動は僕の事しか考えていなかったんだ。そこで初めて気づいたんだ。僕は相手の事を考えていないって、だから嫌われたのかな?って。加奈はどう思う?」

私はお兄ちゃんの話している事を自分に当てはめていた。私は今まで人の事を考えた事があっただろうか?自分が出来る事が出来ないのを不思議に思ったり、自分が、自分が、自分が、全部自分の事しか考えていなかった。

「お兄ちゃん、私も今まで自分の事しか考えて無かった。なんで私は出来るのにあなたは出来ないの?とか、何で私は似合うのにあなたは似合わないの?とか。」

「そうか、じゃあもしかしたら加奈も僕と一緒で相手の事を考えてなかったから嫌わちゃったのかな?」

お兄ちゃんが言う言葉に、私は頷いた。それで嫌われて、憎まれて、いじめられたんだろう。

「お兄ちゃん、私どうしたらいいのかな?」

「加奈にはもう答えが解ったんじゃない?だったらそれをしたらいいよ。それでもいじめてくるような奴とは加奈はその子と仲良くなる必要なんてないよ・・・・・・加奈は凄いからね、皆加奈みたいじゃないよ。人は皆違うんだ。でも加奈には加奈のよさがあって、その子にはその子の良さがある。それを探してみるんだ。そして相手の事を思えば加奈はまた友達が増えるよ。」

ね、と私に向かって笑顔を向けるお兄ちゃんに、私は今までとは違う感情が芽生えた事が解った。何だろう、凄くドキドキする。お兄ちゃんってこんなに格好良かったっけ?

 その時私はお兄ちゃんを一人の男性として好きになったのだろう。


 私はそれから相手を思いやるという事をした、人の悪い所を探すよりも良い所を探す事をした。そしたら少しずつだが私を認めてくれる人が現れてきた。数カ月も経つといじめは無くなった。

 




「加奈ちゃん、それは恋をしたんだよ。その人の事を好きになったんだよ。」

友達に、私の気持ちを伝えたらそう答えてくれた。恋なの?この気持ちは?そう思った時、私は実の兄に恋をした、と友達には言えなかった。

 でも、気持ちが抑えきれなくなった時、私はお兄ちゃんに振り向いてもらうために色んな事をし始めた。時には体に接触して色気仕掛けを行った時もあった。お兄ちゃんは凄く恥ずかしそうにしてたけど、私も凄く恥ずかしかった。寝ているお兄ちゃんにキスをした事もあった。

 私がお兄ちゃんに好意を抱くように、お兄ちゃんの周りもお兄ちゃんに好意を持ち始めた。真美さんや増田さんが良い例だ。真美さんも増田さんも凄く美人で良い人達だ。私と違って結婚も出来る。二人が凄く羨ましかった。何で私はお兄ちゃんの妹で生まれたのだろう?もし、お兄ちゃんと同級生だったら絶対にお兄ちゃんと結ばれる自信があるのに!でも、お兄ちゃんの妹で良かった事は沢山ある。それに、私はまだまだ諦めない。結婚しなくても二人でずっと一緒にいる事や子供を産む事も出来る。だから諦めない!最大のライバルは真美さんと増田さんの二人。でも二人は今お兄ちゃんがしている事を知らない。私は寝た振りをしてお兄ちゃんを襲うと思ってたからずっと起きてたんだもん。だから今夜は凄く運が良い。誰も見ていないはずだから・・・





 お兄ちゃんが去って行くのを見て、私はさっきまでお兄ちゃんがいた所へ向かった。私もお兄ちゃん、博之さんのために合掌をしようと思ったからだ。

 一歩一歩、砂浜の上を歩いてるうちに私の視界の両端に人影が見えた。暗くてよく解らないけど、近くの住人がお兄ちゃんが焚き火しているのを見てて、火がちゃんと消えたか確認しに来たのだろう。そう思って近づいていく。









「え?」

「あれ?」

「ええっ!?」 










 二人の人影はここら辺の住人では無く、真美さんと増田さんだった。

 やっぱりこの二人が私の生涯のライバルだ。




 読んで頂きありがとうございました

 これで一応、良は過去との決別をした、と言う事になります。書いててここまで長くなるなんて思っていませんでした。それはそうと、今月号のカペタは物凄く熱いですね!ノノノノも面白かった!


 ここ最近は音楽と全く関係無くなってしまったのですが、転生、と言う所に重点を置きました。それとラブコメですかね?

 次からはラブコメ<音楽となると思います。話が結構重い話になってたので、次からは明るい話を全面においていこうかな~って思ってたりしています。それと、書いた後に誤字脱字をチェックするために読み直したら、結構良ってキザですね、って事に気付きました!

 それでは、今回も読んで頂き誠にありがとうございます。次も頑張って書き上げますのでよろしかったら、時間があったら読んで頂ければ嬉しいです。

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