表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

24/48

23話

 フィエーリアに流産をさせようとする勢力がある。

 それを知って、ブリルーノは魔法的な側面から防衛することにした。


(差し当たり、妊婦に差しさわりがありそうな魔道具の調査をする)


 魔道具。

 それは魔法の効果を、道具でもって行えるようにしたもの。

 初期は持ち主の魔力を吸って発動する道具だったが、改良が加え続けられて魔石型や自然魔力吸収型などの発動仕組みが多数生まれている。


「魔力視」


 ブリルーノが魔法を使って目で魔力を見られるようにすると、公爵邸内の光景が一変した。


(色々な場所に魔道具が使われているな)


 ブリルーノが今立っているのは、公爵邸にある廊下の一つ。

 素の目では、様々な調度品や芸術品が並べられてはいたものの、ごく普通の廊下に見えていた。

 しかし魔力視を発動して見た景色になると、様々な物品から魔力が発生している様子が見えた。

 まずは、廊下一面に敷かれている赤い絨毯。毛足が長くて歩き心地の良い絨毯が、魔力視で見ると、薄く魔力の光を放っている。

 光り具合の弱さからするに、この絨毯は弱い効果を一日中発動する、自然魔力吸収型の魔道具だ。

 廊下に敷かれ続けている絨毯なのに綺麗な状態なことから、清潔や汚れ落としのような魔法効果を発動しているのだろうと予想がつく。

 清潔も汚れ落としも、物体の表面に作用する魔法。

 仮に妊婦がこの絨毯の上を転げ回ったとしても、影響が出るのは体表の皮膚にだけ。腹の中の赤子に、絨毯が発動し続けている魔法が影響することはない。


(絵画の何枚か、芸術品の台座の何個か、調度品の幾つかも、魔道具のようだが)


 額縁だけが光っている絵は、内に収めた絵を保存する魔法だろう。絵事態が光っているのは、発されている魔力の色がおどろおどろしいものではないことを見るに、何らかの方法を用いると絵の景色が変わる仕掛けのある魔道具のようだ。

 台座は、高価な芸術品が落下しないよう、固定の魔法を発動しているように見える。その証拠に、芸術品と台座の隙間に、拭いきれていない汚れがある。掃除する使用人が、芸術品を持ち上げて、その下を掃除出来ていないのだ。

 廊下に飾られている調度品の内、花瓶と一組の全身鎧には、効果発動待機中の魔道具特有の、物体の一部に光が灯っている。


(危険があるとすれば、この花瓶と鎧だが)


 ブリルーノは、花瓶と鎧にそれぞれ近づいて、詳しく調べてみた。

 その結果判明したのは、どちらも防衛用の魔道具だった。

 花瓶はキーワードを言いながら投げつけると、当たった先で炸裂する魔法の爆弾。

 鎧の方も、キーワードを唱えると、ひとりでに屋敷の者たちを守るために動き始めるゴーレムだった。

 どちらも、いたずらに発動すると危険な魔道具ではある。

 しかし、これらの魔道具を発動するキーワードは、この屋敷の中でもごく一部しか知らないはず。それこそ、アミーコジ公爵夫婦や家令や執事や侍女頭といった、公爵家にとって無くてはならない人たちしか知らないだろう。


(それに、そういった人たちが企てをしていたら、これらを使う意味もない)


 フィエーリアが信用している人たちが裏切っていた場合、もっと直接的な行動を取ることができる。

 それこそ、こっそりと毒物を飲食物に混ぜるなんて、お手の物。出入りの業者に一般人が知らない妊婦に毒になる食べ物を運ばせるなんて、医師のアイスペクタにバレるような企みを行う必要性が皆無だ。


(やはり外部犯説が濃厚か)


 ブリルーノは、廊下の一つの確認を終えると、屋敷の中の探索に戻った。

 その途中で、ブリルーノを世話する役目を担った女性使用人に見つかり、屋敷の中を先導してもらうことになった。


「廊下の光景は、どこも似たような感じだな」

「ご明察の通りでございます。公爵閣下が景観を整えるよう、常に指示なさっております。似たような光景が続くため、初めて当家を訪れた方々の多くは迷子になられます」


 同じ光景を保っている理由は、不意の侵入者に自分の居場所を惑わせるための防犯的な措置だろう。


「俺様も貴女に案内してもらわないと、自室に戻れなくなると?」

「どうでございましょう。ブリルーノ様は宮廷魔法師筆頭だとお聞きしております。魔法を使えば、どうにかなるのではありませんか?」

「そうだな。どうにかなるだろう」


 ブリルーノは言いながら、歩いてきた道を振り返る。

 普通の目では、絨毯に足跡すら発見できないだろう。

 しかし魔力視を使えば、人が歩いた場所に魔力の光が増している光景が見える。これは絨毯が、人が歩いた汚れを魔法で綺麗にしているのだ。

 その魔法の効果が弱いようで、かなり遠くの足跡にも未だ魔力の光が強く残っている。


(この足跡を辿れば帰れそうではあるが、大人しく使用人の世話になっておくのがいいだろうな)


 ブリルーノは、使用人の案内で色々な場所を見せてもらったが、妊婦が立ち寄りそうな場所に存在する魔道具に危険なものはないことだけが分かった。


評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
既に仕込まれてるって線はほぼ無さそうですかね しかし、持ち込もうにも協力者は必要でしょうよなあ
芸達者な道具が多いな。 絨毯はアレルギーになりやすいから使ってないけど、こんな機能があるなら欲しいわ。(笑)。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ