第6話 遭遇
モルスが先頭となりランプを持ちながら、進み続けていたが、突然、彼は足を止めた。その先には、二つの大きな穴があった。
「道が二つに分かれている⁉」
アルキンも目を丸くしている。
「どっちに行くべきか」
モルスが腕組みをしながら、ジッと二つの道を比べている。
「右側の方が広いわね。でも、どっちも暗いし、先もよく見えないわ」
メラが右側の洞窟をよく観察する。
みんなも広い右側の方へ入ったが、奥までは進もうとしなかった。
「どっちかが正解でどっちかが、罠とか」
ライルが、顎に手を当てながらそう呟く。
「罠ならどうなるの?」
メラが聞くと、いたずらっ子のようにニヤリと笑った。
「さあ?悪魔がたくさんいるとか」
「怖いことを言わないでよ」
青ざめて震えるメラ。
「ははは。冗談だよ。でも、怖がる君も美しいな」
「こんな時にそんなこと言わないで」
メラとライルがおしゃべりするなか、オシリスは、勝手に右側の道を歩こうとしていた。
「おい。グズグズしてないで、さっさと行くぞ」
それを見たアルキンが、イライラした態度で彼に話しかける。
「勝手に行くなよ。お前のせいで、みんな危険になるかもしれないだろう」
「はっ。ビビっているのかよ。進まないと意味ないだろうが」
「だとしても、モルス隊長の判断を待てよ」
「いいか。モルスは、お前らの隊長かもしれないが、俺の隊長じゃない。奴に従う理由は、俺にはない」
確かに……。モルス隊長には、リーダーシップがありついつい従って動くが、彼は騎士団の特殊メンバーの隊長であるが、ヨルド達が選んだ隊長ではない。しかし、ここでオシリスが自分勝手に進み始めていいのだろうか。ヤバい敵が急に現れるかもしれない。だったら、まとまって歩くべきじゃないか……。
その時、パラリと天井から砂が降ってきた。
(ん?何が起きた?)
上を見ると、天井にひびが入ったような跡がある。
「危ない!!!」
モルスが叫ぶ声がする。
「うわあっ」
ドンッと誰かに突き飛ばされて、4メートル先まで吹っ飛んだ。そして、気がついたら大男パピルスをクッションのようにして受け止められていた。
背後からは、ズドーンという天井が崩れ落ちる派手な音が聞こえる。
周囲には、ハゲントス、メラ、アルキン、オシリスなどはいるが、エリュジオンがいない!!もしかして、押しつぶされてしまったのだろうか
「エリュジオン!!聞こえるか」
そう叫ぶと、落ちた岩の向こう側からエリュジオンの「ああ。問題ない。モルスとこっちにいる。お前は、無事か」という声が聞こえた。
ヨルドは、胸に手を当てながらホッと小さなため息をついた。
「俺は、大丈夫だ。そっちにいるのは、モルスだけか」
「そうだ」
モルスとエリュジオンと分断されてしまったのか。
「あっちは、二人しかいないのか」
ランプを持っているライルがそう言いながら、周囲を見た。
「モルスなら、強いから大丈夫だ。こっちの方が、人数が多いが、統率力を取れる奴もいないし……このメンツで大丈夫か」
そう不安そうに言ったのは、アルキンだった。確かに彼の言う通りだ。リーダー的な存在であったモルスがいないだけで、安心感が全然違う。エリュジオンとも、離れてしまうとちょっと心細い。自分たちだけで、この先、生き残れるだろうか。
その時、暗闇から何か音がした。
「ガルルルル」
「グルルルルルルるるるるるるるるるるるるるるる」
獣のうめき声みたいだ。
「何かが来る」
メラもそう言って、剣を抜いた。
暗闇から金色の目が見える。よく見ると、巨大な黒豹の群れがいることがわかった。体調は、1匹あたり2メートルほどありそうだろうか。
獲物を見つけた黒豹達は、涎を垂れ流しながら目をランランと輝かせていた。




