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神の座をかけたバトルロワイヤル ~俺が世界を救う英雄になるまで~  作者: さつき


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第4話 ライバル

 フォローノに近づいてみると、10人くらいの人がいる様子が見えた。入口の手前では、剣を抜きあい向かい合う二人の男がいる。


「ここで生き残った奴が一人もいないのなら、あんたが事故死してもおかしくないよな」


 藍色の髪をした目つきの悪い男と、ロナン騎士団の制服である赤い服を着た金髪にオールバックをしている男が、今にも殺しあおうとする様子であった。


「はっ。準備運動代わりに前にちょうどいい」


 金髪の男が、先に紺色の髪の男に切りかかったが、すぐに紺色の髪男が躱した。


「ふん。どうした?お前の攻撃は、そんなものかよ」

「くそっ」


 金髪の男が紺色の男にさらに切りかかるが、紺色の髪の男に方が実力は上みたいだ。


「さっそく真鏡を奪い合っているのか」


 そういうとエリュジオンは「だったら、周りの奴らはなぜ見学しているんだ?」と聞いてきた。

 確かにそうだ。みんなで真鏡を奪い合っていないのはおかしい。


「あの……彼らは、何をしているんですか?」


 そう近くにいた茶髪の男に尋ねると「どうやら因縁があるみたいで殺しあっているようだ」と教えてくれた。彼は、芯のある低めの声をしていた。

 ヨルドが戦う様子を見ていると、黒髪に七三分けをしている男が彼らの間に入った。


「おい。もうやめとけ。体力を消耗するだろう」

「ちっ」


 舌打ちをする金髪の男。


「邪魔するなよ。俺は、こいつを殺したいんだ」


 紺色の髪の男がそうしゃがれた声で怒鳴るが、二人を止めた男は引く気配はなかった。


「フォローノは危険な場所だ。できる限り体力を温存しておいた方がいい。短期間で、大勢の人間が行方不明になっている。ネッド・トタン、クリーク・アボロンも音信不通だ。ポート・モカも一週間前から姿が見えない。油断をすると、死ぬだろう」

「俺の邪魔をするなら、騎士団だって殺してやる」


 そう紺色の髪の男が小型の剣を2本取り出したが、七三分けの男がひるむ様子はなかった。


「お前と殺しあいをしてもいい。だけど、中には、どんな敵が潜んでいるかわからない。俺たちが戦うのは、真鏡を手にしてからにしよう」

「まあ、いいぜ。雑魚でも、少しは役に立つかもしれないし」


 そう紺色の髪の男は、あっさりと剣をマントの下にしまった。それを見た金髪のオールバックをしている男も剣をしまう。すると、丸メガネをした男が、彼らに近づいてきた。


「隊長の言う通りです。ここは、まるで魔境です。650年ごろから、ここには財宝が隠されていると数多くの冒険者が訪れたが、生存率は0パーセントです。おっと言い忘れました。僕の名前は、ケマル。学者です」


 彼は、丸メガネをクイっとしながらそう挨拶をした。ケマルは、黒髪のおかっぱ頭に丸メガネをしている。身長は、160センチほどで、筋肉はあまりついていなくてひょろひょろしている。


「何で学者がこんなところにいる?」


 そう尋ねると、ケマルは眼鏡の奥をランランと輝かせた。


「そりゃあ、もちろん知りたいからですよ!」


 彼は、眼鏡の奥で黒色の目をランランと輝かせた。


「皆さんは知りたくないんですか。紀元前以前、世界はどうなっていたのか。悪魔は、どこから生まれたのか。天界はどうなっているか。魔術師が生まれた理由の詳細を。魔剣の詳細……。ダナフォールの戦いで奇跡はなぜ起きたのか。そして、エデンの中には何があるのか。僕は、この世界にある全ての謎を知りたいんです。それだけじゃない。この世界の歴史も、未来も全てを知り尽くしたい。天界にある図書館に行くことも僕の夢の一つですね」


 ケマルは、瞳に星屑を浮かべたようにキラキラと輝かせながら、夢を語る。ヨルドも以前似たようなことを思ったことがある。ノルフィーの西にエデンという壁で囲われた場所が存在するが、その中は、神々の楽園と言われている。だけど、あんな雪の大地に楽園なんて存在するのだろうか。そして、本当にそこは神様の庭なのだろうか……。足を踏み入れた人間は、皆死ぬらしく、結局、真相はわからない。


「知りたいのはわかるが、ここは危険すぎる。ただの学者が来る場所じゃない」


 そう忠告するが、ケマルの心には全く響かなかったようだ。


「安心してください。僕は、戦って歌える学者ですから」

「歌える要素は、いらないだろ」

「まあ、つまりパーフェクトヒューマンってことですよ」


 いや、性格から残念臭が漂っているぞ。


「さあ、早く中に入りましょう!ここには、どんな謎が詰まっているんだろう!ああ。ワクワクして胸が張り裂けそうだ。さあさあ、早く入ろう。レッツゴー」


 ケマルの目は、すっかりハートマークになっている。


「その前に簡単に自己紹介しよう」


 七三分けの男がそういうと、金髪の男がイライラしたように顔を歪めた。


「そんなことする意味あるか?どうせすぐ死ぬ雑魚の名前覚えたって意味ないだろう」


 先ほど喧嘩をしていた紺色の髪の男も、バカにするようにいった。

 しかし、七三分けの男は自分の提案を帰る様子はなさそうだった。


「中には、どんな敵がいるかわからない。覚えておいた方がいい。俺の名前は、モルス・スタッド。ロナンの騎士団員で、この特殊部隊の隊長をしている」


 隊長か……。つまり、この中にいる赤い制服を着たロナンの騎士団で一番強いかもしれないのか。


「あたしは、メラよ。よろしく」


 メラは、赤髪のショートカットをしたスタイルのいい女の子だ。年は、20歳くらいだろうか。他の騎士団に比べて若そうだ。彼女は、かっこいい見た目に似合う、少し低く艶のあるセクシーな声をしていた。


「お前……確かロックハートの娘じゃないか。その燃えるような赤毛覚えている。何で上級国民の娘がこんなところにいるんだよ」


 茶髪の男が目を丸くしていた。


「あたしは……ロックハートは捨てたの。ただのメラよ」

「もったいないことしたな」

「それがあたしの生き方よ!次の人、早く挨拶をして」


「カフラー・レイルだ」


 彼は、黒髪に黒目をした傷が多い男で、頭にバンダナを巻いていた。彼は、ぶっきらぼうに自分の名前だけを言った。


「僕は、ケマル・オットー。学者です」


 ケマルは、丸メガネをクイッとあげながらそう言った。


「俺は、アルキン・ムンクルズだ」


 そう言ったのは、オールバックの金茶の髪に、エメラルドグリーンの瞳をした男だ。さっき紺色の髪の男と殺しあっていた奴である。


「パピルス・ルイエンだ。俺もロナンの騎士団だ」


 身長3メートル近い大男が、そういった。彼は、顔を隠すように鉄でできた兜を身に着けていた。挨拶する時も、その兜を取ろうとしなかった。武器は、大きな棍棒らしく、2メートル近くある棍棒を軽々と右手だけで持っている。


「俺は、オシリス。俺は……そいつに陥れられ、騎士になれなかった」


 オシリスは、アルキンを指さした。

 彼は、さっきアルキンと戦っていた藍色の髪の男だ。オシリスは、ボロボロにやつれた服を着ている。髪も伸び放題で、目つきは悪く、歯もガタガタであった。まるで浮浪者みたいだ。


「誤解だ。あんたが、俺の財布を盗もうとしたんだろう」

「お前がそう仕込んだんだろう」


 今にも戦いが始まりそうなピリついた空気になる。


「今は、真実はどっちでもいい。大事なのは、戦力になるかだ」


 モルスが、強い口調でそういうと、オシリスとアルキンは、剣から手を離した。


「俺は、金のためにやってきた。俺に一億ラリア払ってくれる奴がいたら、譲ってやる」


 オシリスがそういうと、アルキンがバカにするように鼻で笑った。


「なんだ。お前は、神になる気がないのか」

「俺は、魔術師じゃないし。金だけもらえれば、こんなゲームから抜け出すぜ。世の中全部、金なんだよ。幸せも、人の心も」

「貧乏人は大変だな。金ばっかり求めてもつまらないだろう」

「くだらない。夢なんていつまでも追いかけているんじゃねーよ。みんなお金のために生きているんだよ。金さえあれば、幸せになれるし、何だって手に入るんだよ。夢、夢、バカみたいなことを言った人間は、泥水すすりながら生きて死んでいくだけだ」

「はは。金のない奴の人生は、惨めだな。俺、生まれ変わってもあんたみたいな人生歩みたくない」


 アルキンが笑顔で、オシリスの人生をバカにした。こいつ、嫌な奴だな。正直、嫌いなタイプだ。

 オシリスも、アルキンに対して血管が見えそうなほどぶちぎれていた。


「お前如きが何で俺の人生を否定するんだよ。あんたがここで死ねば、俺の人生、あんたよりも幸せだってことになるのかな」

「はいはい。次は、俺の自己紹介タイムだから、殺し合いはストップだ。俺は、ライル・マタリー」


 ライルは、長い金髪を後ろで束ねている顔立ちの整った男であった。


「好みのタイプは、ミラみたいな女だ」


 そう言いながら、彼はミラの向かって熱い視線を向ける。ミラは、ライルをバカにするように鼻で笑った。


「あたしよりも弱い奴なんてお断りよ」

「俺が君より強かったら、好きになってくれるってこと?」

「ロナンの騎士団にもいないあなたが、私より強いわけない」

「それはどうかな。まあ、いい。君に俺の強さを見せる機会になんていくらでもある」

「まあ、せいぜい頑張ってね」


 メラは、ライルを全然気にしていないようだ。きっとすごい美人だし、たくさん告白されてきたのだろう。


「私は、アイシャ・ラングドンよ」


 アイシャは、ミルクティー色の髪をポニーテールにしている細身の女だ。茶色の一重の目、ニンニクみたいな丸い鼻、薄い唇、ボサボサのまつ毛をしており、あまり顔立ちが整っているとは言えない。

 彼女の武器も重たそうな棍棒である。


「おいおい。てめぇみたいな小娘は、さっさと帰った方がいいって。俺だって女が死ぬ様子は、見たくないんだ」


 ライルは、バカにするようにアイシャの頭をポンポンと叩いた。それをアイシャが振り払う。


「……余計なお世話よ。私は、猪を素手で倒せるわ」

「でも、恐らく実戦経験がそんなにないだろう。ここは、辞めておいた方がいい」

「私にだって、命がけで叶えたいことくらいあるのよ」

「それならいい。死んでも後悔するなよ」

「もちろんよ」


 アイシャは、そう返事をしてライルを睨みつけた。


「俺は、ハゲントス・レイダー。商人だけど、軍人経験もある。足手まといには、ならないと思う」


 ハゲントスは、癖のある茶色の髪に琥珀色の目をした優しそうな青年だ。声も、少し高めのテノールをしていて、他の男性の荒々しい雰囲気とは異なっていた。


「俺の名前は、イース・ハワード」


 イースは、黒髪の短髪に黒曜石のようにまっすぐした黒目をしている。端正な顔立ちをした男で、声は少し低めで凛とした心地よい声である。


(ハワード……。あ!!)


「ナベリウスと知り合いなのか」


 ヨルドは、イースに向かってそう質問をした。ヨルドには、ナベリウスという知り合いがいて、確か彼の苗字は、ハワードだった。


「まさかルートピアからも来ているなんて……。久しぶりにあいつの名前を聞いたよ。ああ、そうだ。ナベリウスは、自慢の従兄だ」


 ナベリウスの従兄ってことは、めちゃくちゃ強いかもしれない。真鏡を手に入れるまでは心強いが、その後、自分は勝てるのだろうか。


「俺は、ヨルド」


 チェルノボグであることは言わず、ヨルドだけ名乗る。


「まだ子供じゃないか。帰ったらどうだ?」


 ハゲントスから、心配そうにそう忠告される。


「もう覚悟は、できています」


 そうきっぱりと言うとハゲントスは黙った。


「俺は、エリュジオン。こいつと旅をしているものだ」


 全員の自己紹介を聞いたモルスは、ゆっくりと辺りを見まわたした。


「これで、全員か。この中で真鏡を持ち帰るのが、1人だけか……。もしくは、全員死ぬか」


 自分を含めて13人いる。辺りを見回すと強そうな奴ばかりだ。

 だけど、戦う前から、諦めてたまるか。


(絶対に生き残って真鏡を手にして見せる!!!)


 ヨルドは、ギュッと右手を握りしめ自分にそう言い聞かせた。

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