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神の座をかけたバトルロワイヤル ~俺が世界を救う英雄になるまで~  作者: さつき


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第24話 再会

 怪我が治ったヨルドとエリュジオンは、真鏡が示す方角であるロナンの北西を目指して、進んでいた。旅の途中で、エリュジオンとはしょっちゅう練習で戦っているが、今まで一度も勝てないでいた。

その日も、剣の練習試合を行い、一休みした後、月明かりで真鏡を確認するとおかしなことが起きた。


「「あ……」」


 真鏡を見た二人は、驚きの声をあげた。


「嘘だろう」


 エリュジオンが持つ真鏡と、ヨルドが持つ真鏡が、別々の方向を示していたのだ。


「おかしいだろう!同じ距離に、真鏡を持つ奴が二人いるってことかよ」


 エリュジオンも顔を歪めながら、頭を抱えている。


「じゃあ、俺は、こっちに進むから、お前はあっち行けよ。そして、1週間後にここに集合な。その時、どっちかが来なければ、真鏡をたどって助けあおう」


 ヨルドがそう言うと、エリュジオンにガシッと肩を掴まれた。


「ちょっと待った。お前、自分がどこに行くかわかっているのか」

「こっちは、たぶんドレシア国だろう」

「あの国では、ここ数年行方不明者が増えている。一度、踏み入れたら、もう二度と帰れない国とまで言われているんだぞ」


 エリュジオンがヨルドの肩を掴む手に力が入った。


「知っている。外国人を捕まえて、奴隷として働かせるんだろう」

「そうだ。今、ドレシア国を支配しているのは、反逆者ロドリゲス・バルツァーは、極悪非道な人物で、よそから来た人間を奴隷送りにして、死ぬまで働かせるんだぞ。そんなところに一人で乗り込むつもりか」


 エリュジオンは、イライラとした様子で怒鳴るようにそう言ってきた。


「でも、行かないと真鏡を得られないだろう」

「入国では、武器が取り上げられる。素手で、どうやって、真鏡の持ち主に勝つつもりだ?」

「そうか……。とりあえず、これをエリュジオンが持っておいて欲しい」


 ヨルドが、エリュジオンに自分の持っていた魔剣を渡すと、彼の目が点になった。こんなに驚いているエリュジオンを見るのは、初めてで思わず笑ってしまいそうになる。


「は?お前、脳みそ寄生虫にでも食われているんじゃないのか?」

「失礼な奴だな。だって、どうせ取り上げられるなら、お前に預けておいた方がいいだろう」


 両手を広げながら、ひょうひょうとした態度でそう説明するが、エリュジオンの眉間の皺はますます深まった。


「これは、魔剣だぞ。俺が、これを持って逃げるとか思わないのか」

「そんなチャンス今までいくらでもあっただろ。それに、武器が取り上げられるなら、二人で入らず一人で入って潜入捜査した方がいいだろう」


 そう言うと、エリュジオンは頭を押さえながらため息をついた。


「はあ。やっぱりお前、頭おかしいな」

「そんなことないって」

「いや、お前を含むチェルノボグ家は、頭のおかしい奴らばかりだ」

「いやいや、そんなこと……あるかもしれない」


 ある日、魔術師の国家に反逆して独立国家をつくった祖先だったり、ディアボロン帝国に戦争を仕掛けたエリザベスやヨエルだったり……。

(俺の一族って、頭のおかしい奴ばかりなのでは……。でも、俺は普通だよな……)


「とりあえず、今日は寝よう。また明日相談しよう」

 そうヨルドが言うと、エリュジオンもため息をつきながら同意した。

 


 次の日、ヨルドは、エリュジオンと相談した結果、別々の道に行くことにした。

 ヨルドは、エリュジオンに自分の剣を預けて、ドレシア国に潜入する予定である。1週間後の日が沈むころ、ここにあるイチョウの木の下で再度逢う約束もした。


「じゃあ、ちょっと潜入捜査に行ってくるよ」


 そう手をひらひらと振りながら、挨拶をすると「ヨルド‼」と思っていたよりも、強い声で呼び止められた。エリュジオンの伸ばされた空を切る。


「何だ?」

「……何でもない。絶対に帰って来い」


 ヨルドを見つめるエリュジオンの顔が、真剣そうで、ふざける気になれない。


「お前こそ、真鏡手にして来いよ」

「ああ」


 ヨルドとエリュジオンは、軽くハイタッチした。

 どちらかが、帰ってこられなかったら、これが永遠の別れになるかもしれないのか……。

 いや、そんなこと考えるな。エリュジオンは、強い。自分さえ死ななければ、きっと、もう一度ここでエリュジオンに逢えるはずだ。

(絶対に、俺は、新たな真鏡を手にしてここに戻る)

 ヨルドは、右手を握りしめながら、振り返ることなく歩き出した。




 ドレシア国に入国したヨルドは、すぐに収容所に送られたわけではなかった。ドレシア国で食事をした後、強烈な眠気に襲われ、気がついたら牢獄のようなところにいた。食事に睡眠薬が入っていたのだろう。前にも似たような話を聞いたことがあったから、特に驚かなかった。

 起き上がったヨルドは、あたりを見まわした。ここは牢屋のような場所で、3段ベッドがたくさん置いてある。3段目と2段目は埋まっていて、1段目しか残っていないようだ。おそらく一番下は、ギシギシとうるさいのだろう。


 ベッドに布団はなく、硬いベッドには布切れしか置かれていない。

 あたりには、大勢の男がいる。女性は、ここにはいないみたいだ。ドレシア国は、顔立ちの整っている男が多いのだろうか。辺りは、美青年でいっぱいだ。

 さらに周囲を見たヨルドは、驚きのあまり目を見開いた。

 そこには見知った人がいたのだ。

 サラサラとこぼれそうな茶髪に琥珀色の瞳をした美少年……。憎たらしい笑顔をしながら、ヨルドをしょっちゅうバカにしてきた男……。


「ザドキエル‼どうしてこんなところに!」


 思わず大声をあげながら、口をポカンと開けてしまった。

 そこにいたのは、フィオリの道場でヨルドの天敵だったザドキエルだった。

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