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神の座をかけたバトルロワイヤル ~俺が世界を救う英雄になるまで~  作者: さつき


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第19話 決着

 エリュジオンの隣には、剣を抜いて険しい顔をしているモルスも立っている。

 二人もここにたどり着いたのか。


「まるでボロ雑巾みたいだな、ヨルド。俺がいない間に全滅するとは……。こいつは、一体何者だ?」


 突然現れたエリュジオンとモルスに驚いたのか、ディアネロは後ろに下がって距離を取った。


「エリュジオン。そいつは、ディアネロだ。200年以上前に死んだノマリア帝国の皇帝だった男だ」

「何!?」


 いつもは余裕ぶった顔をしているエリュジオンも、尻尾を踏まれた猫のように目を丸くした。


「ディアネロ・サディウスだと!」

 近くにいたモルスの声も裏返る。

「そうだ。私は、ディアネロだ。何十年も前からずっとここにいる。貴様は、珍しい剣を使っているな」

 彼は、エリュジオンの剣をじっと観察するように見ながら、そう言った。

「その剣は、どこで手に入れた?」

「さあな」

「見たことがない種類の剣だ?魔剣か?いや、だけど私の知っている魔剣とは違う……」

「はっ。200年以上生きたくせに、何も知らないんだな」

 エリュジオンが挑発するように、唇を歪める。こいつ……本当に嫌な奴だな。ディアネロ相手にそんな態度とれるの、お前くらいだぞ。

「貴様!!!全身をミンチにしてやる」

 怒り狂ったディアネロは、大量の石の塊をエリュジオンにぶつける。

「エリュジオン!!!モルス‼」

 そう叫ぶが、石の塊は二人の方へ向かいあたりは砂ぼこりに包まれた。

 ようやく砂ぼこりが晴れた時、現れたのは、無傷のエリュジオンだった。

「え……」

 どうして、あいつは無傷だったんだ?何か魔法でも使ったのか?エリュジオンの剣も魔術を無効化するのか。

「ミンチなるのは、お前の方だ」

 エリュジオンは、ニヤニヤしながらそう言い返した。

「貴様‼何をした?」

「あんたの鈍い攻撃を避けただけだ。次は、あんたを殺してやる」

「ふん。俺を殺せるものか」

「余裕ぶっていられるのも今のうちだ。俺は、お前のことがわかる。お前は、生前に黄泉の美酒を飲んだんだろう」

「なぜそれを?」

 その質問には、答えずにエリュジオンはディアネロをバカにするように、鼻で笑った。

「悪霊は、核を破壊すると死ぬ。あんたの核は、腹部にある。黄泉の美酒がそこから吸収されていくからだ。つまり、腹部で真っ二つにすれば、死ぬ」

「お前は……何者だ?どうしてそんなことを知っている?」

「さあ。どうしてだと思う?」

 どこかで珍しい本でも読んだのだろうか。それとも、神の誰かと繋がりがあるのか。

 彼のことが全然、わからない。信用できるのか、裏切るのか、利用しているだけか……何もわからないけれど、彼を頼るしかない。

「それだけわかれば、十分だ。ディアネロは、俺が殺す!!!」

 モルスが、猛スピードでディアネロに突撃していく。

「早いっ!!!」

 二人は、風のような速度で打ち合うが、じわじわとモルスが追い詰められていく。

「くっ」

 モルスも上手いが、ディアネロの剣術は無駄な動きがない。力でもディアネロに負けていて、徐々に後退していく。

 モルスの腕が切られそうになった瞬間、カキンと音がして、エリュジオンが二人の間に入り込んでいたことに気がついた。

「お前の相手は、俺だ」

 今度は、エリュジオンとディアネロが激しく打ち合った。その隙に、モルスが、ディアネロの背後に近づいた。

今なら、やれる‼

 あとは、剣を振り下ろすだけだ。

 しかし、モルスは何かを感じたのか、咄嗟に背後に下がった。

 モルスがついさっきまで立っていた場所には、石の槍が地面から生えていた。

「2対1だからって調子に乗るなよ。貴様らなんて、すぐ殺せる」

「それはどうかな」

 そう言いながら、エリュジオンがディアネロに飛び掛かる。

「ふっ。胴体ががら空きだ」

 ディアネロは、ぺろりと舌なめずりをしながら、エリュジオンを真っ二つにしようとするが、エリュジオンそれを避けて、ディアネロにドロップキックをした。

 キックされたディアネロは、数歩後ろによろめいた。

「貴様!!神への冒涜だ!」

「……お前は、本当の神を知らない」

 そして、そのままディアネロに切りかかるが、床から出現した石の槍がそれを阻止した。

「くっ」

 今度は、モルスがディアネロを殺そうとするが、ディアネロの剣の方が早かった。

「あがっ」

剣で横腹を刺されたモルスが、血を流しながら吹っ飛んだ。

 ……このままじゃ、ダメだ。俺が戦わないと。

 ヨルドは、剣で体を支えながら、何とか立ち上がった。

「貴様、まだ立つのか。本当にうっとうしい」

「ヨルド……」

 エリュジオンも驚いたように、目を見開いてヨルドを見た。

「お前に勝つのは、俺だ」

 ゆっくりと彼に近づき、素早く剣を動かす。こいつは、すごく剣が早い。だったら、それよりも早く動かさないとダメだ。 

「なぜだ?なぜ剣がもっと早くなっている?お前は、怪我をしているはずなのに……」

「俺が強くなっているからだ」

「そんなバカな……。ありえない」

 しかし、俺は先ほどよりも早く剣を動かしディアネロの喉元を切り付けた。けれども、彼はダメージを受けている様子はない。やっぱり胴体を真っ二つにしなければ……。

 何かに気がついたディアネロが、ハッと息を呑んだ。

「まさか……女の剣を使っていたのか⁉」

 そうだ。俺が持っている剣よりも軽いメラの剣を使って攻撃を仕掛けた。しかし、これは魔剣ではないので、ばれたら石の攻撃をされてしまう。

 だけど、もうディアネロの背後にはエリュジオンがいる。

 エリュジオンがディアネロの腹を切り付ける。しかし、その動きは読まれていて、石の槍で止められる。

 しかし、次の瞬間、エリュジオンが左手に持っていた俺の魔剣で、ディアネロの胴体を真っ二つにした。


「お前の負けだ」


 エリュジオンがそう宣言する。


「ああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああああ」


 ディアネロは、悲鳴をあげるが、切られたところから、身体が光の粒みたいに溶けていく。


 私は、死ぬのか。

 嫌だ。嫌だ。嫌だ、嫌だ、嫌だ……。

 死にたくない。

 死んだら、全てが消えてしまう。自分の感情も、記憶も……。

 まだ消えたくない。生きていたい。

 嫌だ。いやだ、いやだ、いやだ、いやだ。まだ死にたくない。消えたくない。

 だって、私は……いや、俺は、まだ神様になれていない。

 あの時、神様になると誓ったんだ。

 何年経っても、忘れることができなかった。心臓をえぐり取り捧げるように忠誠的な信仰心を……。そして、あの時の痛みと誓いを……。

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