ルカ
帰路に着く中で今日もルカを出す。強がったけどやはり1人になるのは怖い。角を曲がったところでルカと出くわす、両手にはマイバッグを下げている。
「あ、よかった!さっき買いもんしてきてな、大特価大特価でいっぱい買いすぎてもうてんよ。したら、重たくて重たくて。そしたらどうや?目の前にあんたがくるんやからついてるわ。荷物片方持ってくれる?」
そう言って僕に大きい方のバッグを突き出してくる。僕は力無く笑いながらそのバッグを受け取る。
「なんや、また元気ないんかいな?もう、自分何でもかんでも考えすぎやで?もっと気楽に行こーや。」
「そうだな、僕は考えすぎなのかも知れない。あの夢だって本当は眠れてなくてずっと考えちゃってるだけなんだよ。そうに決まってる。ドリームイーターの話を聞いて想像しちゃっただけだよな。」
そういうと思わず目が眩むような眩しい笑顔をルカが見してくれる。本当に僕には勿体無い、そしてイマジナリーフレンドにしておくには勿体無いくらいいい女だ。
今日も美味しいご飯を作ってくれて僕のやっているゲームに付き合ってくれる。できれば眠りたくない。けどこの世界のドリーマーは規則正しい(早く寝て早く起きろということではない、あくまで睡眠の長さや周期のことだ)をするように世界を設定している。朝早くに起きたせいでもう眠い。ルカはそんな僕を見て察したのか片付けを始める。
「ほな、そろそろ帰る準備でもしようかな。」
そう言って部屋を軽く片付け荷物を持つ。いつもの僕なら所詮ルカはイマジナリーフレンドなんだと割り切って見送る。しかし今日はどうも調子が悪い。気づくとルカの手を握り
「嫌じゃなければ今日は一緒にいてくれないか?」
僕が望んでいるんだ。ルカは断るわけがない。だけどすこし不安になる。気持ち悪いと思われたらどうしよう?もう会ってくれないかも知れない。瞬時に色々考えるがそれを吹き飛ばすようにルカは笑みを浮かべ
「ほんまに?ええの?初めてやん!お泊まりなんか〜。あ、でも手出したらあかんで?うちら別に付き合ってる訳やないんやから。」
ルカは冗談のつもりだったのだろうけど僕は思わず
「そんなことしないよ!ただ、今日は調子が悪いから一緒にいて欲しいってだけで…」
ムキになりつい本音が出てしまい思わず口籠もってしまう。
「ごめんって、冗談やって。大丈夫やで?うちが今日は一緒におるから。」
ルカは優しい口調で頭を撫でてくれる。今日は悪い夢を見ないで眠れそうだと思えるほど安心する。この先僕はルカ以上の理想の女性と出会うことはないだろう。
ルカが来客用の敷布団を敷いているのを見ながら
「本当に下でいいの?僕は床でだってねれるからベットで寝ていいよ?」
「何いうてんのよ、家主がええ環境で寝るんは当たり前のことよ。それにトイレ行きたくなったりしたら跨いで起こしてまうようなこともないやろうしね。」
そう言ってニコニコしながら寝る準備をする。ルカが寝る準備を終える頃には睡魔はそこそこ限界まで来ている。がここ最近お世話になってばかりなので渡したいものがある。僕は手の中にそれを握ったまま、ルカの方を向きベットと敷布団の境目で手を垂らして握ってもらう。
「ほんま甘えたやなぁ。寝るまでの間だけやからな。」
そういうルカの口調は優しい。子供に戻ったような気分だ。ルカは僕のプレゼントに気づいているだろうか?そんなことを考えてるとあんなに寝るのが怖かったのにルカと繋がっていると思うだけで安心して瞼が落ちてくる。