怒り
どうやらここはまだ学校のようだ。
リックの脆弱な体では学校から連れ出すのは無理だったろう。
僕は体がどうこうよりも泣き過ぎて頭が重いしずっと頭がぼんやりした状態が続いて本当は動きたくない。
ただ、じっとしてたってこの状態が良くならないこともわかる。
むしろじっとしていたら色々考えてもう何できなくなる。
それでなくてもずっとルカのことが離れない。
リックも動きが鈍い。
こいつの場合はただ体力がないだけだろうが。
こいつをみて住人たちに変化が起きていることに気づいた。
それぞれが抑制されていた、隠されていた感情や考えが出てきているようだ。
もしかするともうドリーマーの思うように操れていないのかもしれない。
「ね、ねぇ、どこまで…行く気なの?」
リックは歩いているだけで息が上がってきている。
「どこまでって、お前…。まだ学校からも出てないぞ?目的地はセンター街だ。」
「センター街!?遠すぎるよ!とてもじゃないけど歩いてなんて無理だよ。」
こいつをぶん殴ってやりたい。
早くも助けてやると言ったことを後悔している。
「じゃあ、どうする?進まなきゃつかねえだろ?お前には足がついてないのか?文句ばっかりいい加減にしろよ!」
リックはたじろぎながら目を合わせないように下を向く。
「で、でもさ、君はドリームイーターだろ?なにか…こう…早く楽に移動できないの?」
「お前は楽になるかもな。だけど僕は能力を使って疲れる。それに限りがあるんだ。使い切ったところでドリーマーやその使い、晴なんかに会ったらどうする?そうなったらなったでお前も僕も楽にはなれるかもな。」
フンと鼻を鳴らしこれ以上の発言を許さない。
リックは気まずそうに周囲を見渡し後ろをついてくる。
リックにはイライラさせられているがこいつがいなかったら自分の殻に閉じこもって身動きが取れなくなってただろう。
怒りは原動力だ。




