表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
ドリーム  作者: りとかた
悪夢のはじまり
2/12

2. ドリームランド

ドリームランドの朝は遅い。本当の肉体がない今、飲食、睡眠、勉強、仕事ひいては時間さえも無意味だ。だけど人間は何もしないと狂うらしい。これには単独でドリームランドにいた人たちの話が有名だが、長くなるのでまた今度にしよう。そのためドリームランドでは、狂わない程度(やりすぎも厳禁だ)には毎日何かをしている。

僕も最初のうちは怠惰を極めていた。それはもう見事な怠惰ぶりだ。怠け者と言われるロバも目を見張っただろう。しかし、飽きやすい僕はもののひと月でこの生活が嫌になった。今はドリーマー(ドリームランド同様安直な名前でどうかと思うがこの世界の選ばれし支配者のことだ)の作った学校に通っている。もちろん勉強する科目も自由選択だ。知識を役立てる先がほとんどない以上、しっかりとカリキュラムを組む必要はないとの判断だ。

僕は歴史が好きでよく授業を聞いている。基本的には生身の先生が立つが、その人が飽きて誰も教員がいなくなるとイマジナリーティーチャーが登場する。ほぼ人間に変わりないが、ほとんど僕らとは関係を持たないように設定されているようで、イタズラをされても無関心を貫き通す。そのおかげでイタズラだけをしにくるような悪ガキは学校には来ない。

今日は歴史、担任はイマジナリーティーチャーのジェーンだ。ドリームランドでは言語の壁はない。だから、学校には国籍の違う生徒がたくさんいる。しかし歴史の教室は人気がなくいつも3、4人しかいない。

「今日は前回に引き続き、戦争の歴史に重点を置いて授業をしていきます。前回の内容は覚えていますか?」

これは僕に対してだ。みんな選んでる範囲が違うからそれぞれ違うことを言われているはずだ。

「戦争の始まりからそれに伴って武器が進化したことまでやりました。」

と僕がいうと、満足そうに微笑む。

「そうですね、紀元前から戦争は起こっていて、争いなんかだと原初の時代から起きていました。そして、もともとは狩りに使っていた道具が戦争に使う武器に変わっていき、それは殺害する方向で便利になり、また残虐性を増していきました。では、本日は戦争の背景に注目します。なぜ戦争は起こったのか、なぜ人は争うのかについてですね。」

そういうと今日の授業は始まっていく。正直今日の授業は退屈なハズレ日だ。途中で止めることもできるが、一度聞いたら最後まで聞いておきたい性分なので一応聞いておく。今回の授業で得た教訓は、昔の人は人に分け与えるのは好きじゃない。そして分けてもらえないなら自分たちの国や領土がどうしようもなくなる前に奪ってしまおうということだ。もちろん他にも見上げた理由があるのかもしれないけど、この世界にいると争う奴なんてそれくらい馬鹿に見えるのだ。

さて自由な時間だ、ここのドリームマスターはある程度カリキュラムを組んでいるが、緩いものと勤勉な人向けのものがある。もちろん僕は緩い人向けだ。

僕らのいる世界は現実とあまり変わらないように時間が存在し眠気や食欲なども存在する。そしてある程度の自由と他者との関わりが持てるようになっている。この世界にだって友達は何人かいる。ということで今日の授業を終えて友達のいるところに向かおう。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ