ルーシドリーム
世界が燃えている。
いや、僕の周りを囲むようにして燃えている。
周りを見渡すと人の死、死、死。
ドリームランドの管理は完璧だ。火事になんてならない。
しかし風景は僕よく知っているドリームランドの校舎だ。
幸い転がっている死体に知った顔はない。
もっとも焼けていて判別がつかないものばかりであるが…。
目の前には2人の見知った顔がいる。
1人はできれば2度とみたくない顔だ。
全身血に塗れた男は狂ったように笑いながら火炎放射器を左右に揺らしながら放ち続けている。
夢にまで見てしまうほどのトラウマになっているんだ。
そしてもう1人は綺麗な黒髪を後ろに1つ束ねたポニーテールの少女だ。
彼女は両手を前に突き出し炎を防いでいるようだ。
彼女は振り向くと僕の顔を見ると申し訳なさそうに微笑む。
次の瞬間彼女炎に包まれ僕に向かって手を伸ばす。
その手を掴もうと僕も手を伸ばすが届く前に灰となって消える。
さっきまでいなかった男が手を顔の前で振り、灰が顔につかないように払いながら近づいてくる。
炎に照らされたその目には光が灯っていない。
僕の顔を見ると満面のいやらしい笑みを浮かべて手を伸ばす。
目を開けると真っ暗な部屋の中にいた。
また嫌な夢を見た。
びっしょりと嫌な汗をかいて涙が流れている。
喉がカラカラだ。
隣を見ると僕の方を向いてルカは眠っている。
僕の感情の変化を察しないところを見るにやはりルカは独立した存在になっているんだろう。
今は夢のことについて考えたくない。
いろんなことを考えて頭をいっぱいにしようと思うがどんどん夢の記憶が大きくなっていく。
あれは何だったのか。
火炎放射器を放っていたのは忘れることはできないデイブだ。
そして火に包まれ消えてしまったのはルカだった。
その灰を払いながらいやらしい笑みで近づくのは晴だった。
想像したくもないがこれがもし現実に起こることを予見しているとしたら…。
前回も見た夢が現実になった。
寝ているうちに攫われたので夢と現実の区別がつかなかったが今ならあれは夢が現実になった瞬間のように思えてならない。
それならば見た夢は帰れるんじゃないか?
夢が見れないはずの精神体が夢を見ていることには何か意味があるはずだ。
夢の中ですら僕はルカに守られていた。
これが起こるかどうかもわからない。
しかしもしこの状況が起こってしまったら僕はルカを絶対に助ける。
今度は僕が守る番だ。




