自分たちの世界
飛び込んですぐに後ろに向かい扉を押さえつける。
しばらく待ってみたが何のアクションもない。
もしドリームランドと繋がったままなら、すぐさま扉を開けるなり体当たりなどされててもいいはずだ。
扉を背にし、もたれかかりながらズルズルと腰を落とす。
ひとまず安心だ。
思わず大きく息をつく。
「ルカ、ここは君の世界で間違いないな?」
「うん、多分。」
そういうと部屋に明かりが灯っていく。
「うん、今度は確実。」
ルカは満面の笑みで答える。
その笑顔に微笑み返し床に倒れている仗を抱えてルカに聞く。
「仗を休ませたいんだけど、何かベッドとか椅子とか出せないかな?」
ルカはいつの間にか星のついた棒を持っている。
そうして楽しそうにその杖を振っている。
杖を向けた先にはダブルのベットが二つ、間隔を開けて並んでいる。
「これでいかがでしょうか?」
パンツスタイルのルカは来てもいないドレスを持ち上げるようにして大袈裟に丁寧にお辞儀する。
それをみて思わず吹き出しながらルカのノリに付き合う。
「うむうむ、結構である。しかしベッドは二つしかないぞ?其方はどうする?」
僕は大きく胸を張り腰に手を当て頬を膨らませながら話す。
「あらあら、ほんとですわ。でしたら、あなたとご一緒させていただいてもよろしいでしょうか?」
そう言ってしばらくお互いを見つめ2人で吹き出す。
ドリームランドの時間にして一日も経っていないのにずいぶん久々に安心して笑い続けていられている気がする。
止まらない笑いに心地よさを感じながら仗を運んでベッドに寝かせてやる。
この世界に来てから仗の傷もいつの間にか傷跡になっている。
ルカに濡れタオルを用意してもらい、仗の体中の血を拭ってやり新しい服を着せてやる。
散々な目にあった仗にさらに酷い扱いをしてしまった。
これでようやく仗をゆっくりさせてやれる。
一息つける。
笑いすぎたせいなのか安心して気が緩んだせいなのか涙が溢れてくる。
そんな僕をみてルカは抱きしめてくれる。
ここはドリームランドではないはずだがどっと疲れが押し寄せてくる。
ルカが気を回してくれたんだろう。
今日は色々ありすぎた。
ルカの腕の中で微睡んで世界が閉じていく。
「おやすみ…。」




